別線往復乗車券

東京都区内から福岡市内への往復乗車券です。


往復乗車券は往路と復路で区間と経路が一致するというのが発売条件(※1)ですが、この乗車券は往路が「東海道・山陽・鹿児島線」と在来線経由、復路が「博多・新幹線」で新幹線経由と経路が異なっています。
※1 東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第26条(2)
通常、新幹線と在来線では運賃は同じなので区別する意味はあまりないのですが、この乗車券では新下関(下関)〜博多間が在来線はJR九州・新幹線はJR西日本の異なった体系の運賃が適用されます。新幹線・在来線は同じ路線として扱うため往復乗車券として発売は可能(※2)ですが、往路と復路で運賃が異なるためこのように経由を区別する必要があります。
※2 規則第16条の2、第16条の3

この時に発売されるのが別線往復乗車券と呼ばれる特殊な往復乗車券です。マルス端末においては乗車券メニューの中に「別線往復乗車券」のボタンが用意されています。
往復乗車券ですので、有効日数は片道の2倍(※3)となり片道601km以上であれば往復割引も適用(※4)されます。
※3 規則第154条第1項(1)ロ、※4 規則第32条第94条

東海道本線(新幹線)、山陽本線(新幹線)、東北本線(新幹線)、高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)、信越本線(新幹線)及び鹿児島本線(新幹線)に対する取扱い)
第16条の2 次の各号の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区とは、同一の線路としての取扱いをする。
(1)東海道本線山陽本線中神戸・新下関間/東海道本線(新幹線)及び山陽本線(新幹線)中新神戸新下関

(新幹線と新幹線以外の線区の取扱いの特例)
第16条の3 次の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区に関し、第26条第1号ただし書、第2号ただし書及び第3号にそれぞれ規定する普通乗車券の発売、第68条第4項に規定する旅客運賃計算上の営業キロ等の計算方並びに第242条第2項に規定する区間変更の取扱いにおける旅客運賃・料金の通算方又は打切方については、前条第1項の規定を準用する。
山陽本線新下関・門司間及び鹿児島本線中門司・博多間/山陽本線(新幹線)中新下関・小倉間及び鹿児島本線(新幹線)中小倉・博多間

(普通乗車券の発売)
第26条 旅客が、列車に乗車する場合は、次の各号に定めるところにより、片道乗車券、往復乗車券又は連続乗車券を発売する。
(2)往復乗車券
往路又は復路とも片道乗車券を発売できる区間であつて、往路と復路の区間及び経路が同じ区間を往復1回乗車(以下「往復乗車」という。)する場合に発売する。ただし、往路と復路の経路が異なる場合であつても、その異なる経路が第16条の3に掲げる左欄及び右欄の経路相互である場合は往復乗車券を発売する。

(往復割引普通乗車券の発売)
32条 旅客が、片道営業キロが600キロメートルを超える区間を往復乗車する場合は、往復の割引普通乗車券を発売する。

(往復割引)
第94条 第32条の規定により往復乗車する旅客に対して往復割引普通乗車券を発売する場合は、往路及び復路ごとの区間について、それぞれ普通旅客運賃の1割を割引する。

(有効期間)
第154条 乗車券の有効期間は、別に定める場合の外、次の各号による。
(1)普通乗車券
 ロ 往復乗車券
片道乗車券の有効期間の2倍とする。ただし、第26条第2号ただし書に規定する場合は、往路及び復路の区間ごとに片道乗車券の計算方法によつて計算した有効期間を合計した期間とする。


それでは、実際に運賃を計算してみます。
運賃計算上、東京〜博多(営業キロ1179.3km)に対する運賃となります。このうち、JR九州区間は下関〜博多(営業キロ79.0km)です。

【往路】旅客営業規則第85条(3)イの規定により、全区間JR東日本・東海・西日本として計算した運賃(※1)に、JR九州区間営業キロに対するJR九州の運賃(※2)からJR東日本・東海・西日本の幹線として計算した運賃(※3)を引いた額の合算です。
【復路】JR東日本・東海・西日本内相互発着ですので、幹線1179.3kmに対する運賃13440円です。

※1 復路と同じで、13440円
※2 JR九州の79.0kmに該当する運賃は1430円
※3 JR東日本・東海・西日本の79.0kmに該当する運賃は1280円
これより※1+(※2-※3)=13440+(1430-1280)=13590円が往路の運賃となります。

片道1179.3kmと601kmを超えていますので、前述のとおり往路・復路がそれぞれ1割引となります。

【往路】13440×0.9=12096円、10円未満切り捨てで12090円
【復路】13590×0.9=12231円、10円未満切り捨てで12230円
合計で24320円が発売額となります。


券面をみてみるとゆき券にかえり券の、かえり券にゆき券の無割引運賃とキャンセルコードが印字されていたり、ゆき券に(24320)と合計の発売額が印字されているのが通常の往復乗車券と異なる特徴です。これはどちらかの券片を使った後に払い戻しを申し出た際の計算に用いられます。
「復:博多→東京」「往:ーーー」と新幹線利用区間が印字されているのも運賃計算および端末への入力に必要となるためです。

なお有効期間は1179.3kmの場合片道で7日ですので、往復だと14日となります。

(他の旅客鉄道会社線を連続して乗車する場合の大人片道普通旅客運賃)
第85条 次の各号に掲げる旅客鉄道会社線内発又は着若しくは通過となる場合で、他の旅客鉄道会社線を連続して乗車するときの大人片道普通旅客運賃は、発着区間営業キロ又は運賃計算キロに基づき、第77条、第77条の5若しくは第81条の規定により計算した額又は第84条に規定する額に、次により当該旅客鉄道会社線ごとに計算した額(以下「普通旅客運賃の加算額」という。)を合計した額とする。
(3)九州旅客鉄道会社線
   九州旅客鉄道会社線内の乗車区間に対して次により計算した額
 イ 幹線相互を乗車する場合
   第77条の4規定により計算した額から第77条の規定により計算した額を差し引いた額

分岐駅通過特例を適用しない乗車券

呉から名古屋市内への片道乗車券です。出札補充券により発売されました。

経由は矢野・広島・新幹線とあります。
呉から呉線で広島に向かい、新幹線に乗り換えて名古屋に向かう経路です。
呉から名古屋に鉄道で向かう一般的なルートであり、補充券で発売する必要は無いように見えます。


この経路であれば、通常は以下のマルス券の乗車券が発券されます。

運賃はどちらも8510円です。同じ乗車券に見えますが、経由を見ると矢野・新幹線・名古屋とあります。
マルス券と補充券との違いは経由に広島を含むかどうかです。

どちらも新幹線の乗換のために広島を経由するのですが、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第151条、同第151条の2において海田市を通過する列車に乗り継ぐためであれば、海田市〜広島間で途中下車をしないという条件で折り返し乗車を運賃不要で認めるという特例があります。
このような折り返し特例は50箇所あります。広島〜海田市間の折り返しに限り、新幹線利用時(広島〜三原以遠)も適用されます。

上記特例を適用したのがマルス発券の乗車券です。運賃計算上の経由としては、以下と同様となります。便宜上【特例適用の乗車券】と呼称します。
呉(呉線)海田市(山陽本線)神戸(東海道本線)名古屋 541.8km、8510円



一方で、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第16条の2において、新幹線と在来線の並行区間は原則同一路線として扱いますが、同第16条の2第2項には、新幹線単独駅を含む区間は別線として扱うと定められています。
同(6)では広島〜三原間には新幹線単独駅である東広島があるため、山陽本線山陽新幹線を別線として扱うと定められています。呉〜広島〜三原〜名古屋間は、経路が重複することなく片道乗車券として発売することも可能です。

この場合の運賃計算上の経路は以下となります。便宜上【経路通りの乗車券】と呼称します。
呉(呉線)海田市(山陽本線)広島(山陽新幹線)新大阪(東海道新幹線)名古屋 554.6km、8510円


【特例適用の乗車券】と、【経路通りの乗車券】の運賃計算上の営業キロの差は12.8kmです。これは広島〜海田市間6.4kmの往復と一致します。
どちらの経路での発売も制度上正当ではあるのですが、通常は運賃が安くなる【特例適用の乗車券】が発売されます。なお、【経路通りの乗車券】はマルスシステムでは発券できません。このため出札補充券で発売されました。
経路自動案内で広島・新幹線経由は候補に現れます。また経路入力で広島経由と入力もできます。ただしどちらの発券方法でも、マルスシステムは自動的に特例を適用させたものに置き換えて発券してしまいます。
マルスシステムが対応していないため、駅によっては【特例適用の乗車券】しか発売できないと回答することもあるようです。



今回は偶然どちらの経由でも同じ運賃となっていますので途中下車しないのであれば差はありません。
ただし、【特例適用の乗車券】は「途中下車をしないこと」が条件となっています。折り返し区間である向洋・天神川・広島での途中下車はできません。広島駅の新幹線乗換改札を除き、自動改札機も通過できません。
これらの駅で途中下車する場合は、海田市からの片道運賃が必要となります。なお広島〜海田市の片道は190円、往復は380円です。

例えば、呉〜岡山間を考えます。
【特例適用の乗車券】174.9km、2940円 経由:矢野・新幹線・岡山
【経路通りの乗車券】187.7km、3260円 経由:矢野・広島・新幹線・岡山

【特例適用の乗車券】を使い広島で下車する場合、合計2940+380=3320円が必要です。
このことから、広島での下車を希望する場合、【経路通りの乗車券】との運賃差が380円以下であれば【経路通りの乗車券】の方が得となります(※)。
※折り返し区間の乗換駅の場合は、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第145条に規定される特別下車が適用される可能性もありますが、現在では行なっていないようです。原則どおり、折り返し区間の運賃を収受するのが一般的な扱いのようです。

なぜ別線の山陽新幹線山陽本線(広島〜三原間)にも、このような折り返しの特例が定められているのかというと、これは歴史的な経緯によるものです。元々広島〜三原間は東広島駅は存在せず、広島の次は三原でした。
このため広島〜三原間は別線と扱う特例は存在せず、呉線方面から三原以遠に広島経由で向かう場合は必ず分岐駅通過列車の特例が適用されていました。
東広島駅開業後に制度が変更となり広島〜三原間の山陽新幹線山陽本線は別線扱いされるようになりましたが、呉線内からの旅客は着駅によっては運賃が上る可能性があったため、救済措置として山陽新幹線開業後も引き続き分岐駅通過列車の特例は残りました。
これにより分岐駅通過列車の特例と、新幹線・在来線を同一視しない特例の両方が適用されるJR線で唯一の場所が発生するようになりました。

類似の例としては高崎線上越新幹線八高線の乗継が同様な形態ですが、この区間には「八高線〜倉賀野〜高崎〜本庄早稲田〜熊谷(以遠)」と乗車する際に「八高線〜倉賀野〜熊谷(以遠)」とする特例は設定されていません。


今回広島駅で【経路通りの乗車券】を購入したい旨を伝えると、出札担当者は制度自体はご存知だったようで発券に取り掛かって頂けました。
券面の途中下車印の通り、海田市・向洋・広島で途中下車をしました。

【旅客営業規則】
東海道本線(新幹線)、山陽本線(新幹線)、東北本線(新幹線)、高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)、信越本線(新幹線)及び鹿児島本線(新幹線)に対する取扱い)
第16条の2 次の各号の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区とは、同一の線路としての取扱いをする。
(略)
2 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間内の駅(品川、小田原、三島、静岡、名古屋、米原、新大阪、西明石、福山、三原、広島、徳山、福島、仙台、一ノ関、北上、盛岡、熊谷、高崎、越後湯沢、長岡、新潟、博多、久留米、筑後船小屋及び熊本の各駅を除く。)を発駅若しくは着駅又は接続駅とする場合は、線路が異なるものとして旅客の取扱いをする。
(6) 三原・広島間

【旅客営業取扱基準規程】
(接続駅等で一時出場させる場合の取扱方)
第145条 接続駅で駅の設備、接続関係等によつて、直通乗車券を所持している旅客を一時出場させる場合は、途中下車の取扱いに準じて、乗車券に途中下車印を押さなければならない。途中下車を認めない乗車券を所持している旅客を一時出場させる場合もまた同様とする。

(分岐駅通過列車に対する区間外乗車の取扱いの特例)
第151条 次に掲げる区間の左方の駅を通過する急行列車へ同駅から分岐する線区から乗り継ぐ(急行列車から普通列車への乗継ぎを含む。)ため、同区間を乗車する旅客 (定期乗車券を所持する旅客を除く。)に対しては、当該区間内において途中下車をしない限り、別に旅客運賃を収受しないで、当該区間について乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。
 海田市・広島間

(海田市・広島間に係る区間外乗車の取扱いの特例)
第151条の2 矢野以遠(坂方面)の各駅と三原以遠(糸崎方面)の各駅相互間を乗車する旅客が、新幹線に乗車(広島・東広島間を除く。)する場合は、規則第16条の2第2項の規定にかかわらず、三原・広島間を同一の線路とみなして、広島・海田市間において、途中下車をしない限り、別に旅客運賃を収受しないで当該区間について乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。

伊勢鉄道発行の乗車券・特急券

伊勢鉄道はJR線からの直通特急があり、広範な連絡運輸を行なっています。
線内はほとんどが無人駅なのですが、鈴鹿駅は駅員配置駅できっぷ類の発売も行っています。
出札用の端末はないため、硬券・補充券での発売となっています。


鈴鹿から東京都区内への片道乗車券です。鈴鹿駅で購入しました。伊勢鉄道の出札補充券による発売です。
なお、鈴鹿駅窓口の営業時間は7:50〜10:20、10:35〜12:20、13:00〜14:20、15:05〜15:40、16:00〜17:15です。



JRへの連絡乗車券に限らず特急券の発売も可能です。

鈴鹿から名古屋への自由席特急券です。伊勢鉄道の料金専用補充券で発売されました。


伊勢鉄道線内の特急料金は距離にかかわらず310円(指定席・自由席同額)です。
これにJR線名古屋〜河原田44.1kmの特急料金が加算されます。
この区間東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第97条の2(4)アおよび第129条の2(3)アの規定に従い、自由席利用の場合は特定特急料金630円が設定されています。新幹線乗継ですので乗継割引が適用されますが、割引対象となるのはJR線の特急料金で310円(10円未満切捨て)となります。
合計で310円(伊勢鉄道)+310円(JR線・乗継割引適用)=620円です。

特定特急料金で乗継割引適用ですので、事由は6の○特特急と10の乗継となります。
8 船、9 自動車はすでにJR各社の料金専用補充券からは削除されていますが、伊勢鉄道の料補では未だに残っています。


新幹線乗継割引を適用するには新幹線特急券も同時に購入する必要があります。
このため、鈴鹿駅では新幹線特急券も発売しています。

名古屋から東京への新幹線自由席特急券です。JR東海の料金専用補充券での発売です。
通常の特急券JR東海の補充券で確実に購入できるのは、今や伊勢鉄道鈴鹿駅くらいではないでしょうか。

発売範囲は、名古屋からの東海道新幹線のみと思われます。



河原田を接続駅とする伊勢鉄道とJR各社への連絡範囲は以下のとおりです。

JR東日本東海道本線 東京・横浜・小田原・熱海(※)
JR東海東海道新幹線関西本線 蟹江〜亀山間、紀勢本線 下庄〜新宮間、参宮線
JR西日本東海道本線 米原・京都・新大阪(※)、紀勢本線 新宮〜紀伊勝浦
伊勢鉄道:各駅

ただし、伊勢鉄道を経由し津を着駅とする経路(JR線〜河原田〜伊勢鉄道〜津)に限り、JR6社各駅との連絡が可能です。
※東京都区内、横浜市内、名古屋市内、京都市内の各駅を含む。


(特定の特別急行券の発売区間)
第97条の2 規則第57条の3第2項の規定による特別急行券の発売区間は、次の各号に定めるとおりとする。
(4) 東海旅客鉄道会社線内の次に掲げる区間とする。
ア 関西本線中名古屋・亀山間及び紀勢本線中亀山・新宮間(伊勢鉄道株式会社線が中間に介在する場合で、これを通じて特別急行券を発売するときを含む。)、身延線飯田線高山本線中岐阜・猪谷間又は中央本線中多治見・塩尻間に運転する特別急行列車の50km以内の停車駅相互間とする。ただし、立席特急券及び自由席特急券に限る。


(大人の特別急行料金の特定)
第129条の2 規則第125条第1号ロの(イ)の規定にかかわらず、次の各号に掲げる特別急行券に対する特別急行料金は、当該各号に定める額とする。
(3) 第97条の2第4号の規定により発売する特別急行
ア 同号アの規定により発売する立席特急券及び自由席特急券に対する立席特急料金及び自由席特急料金は、次表に定める料金とする。

営業キロ地帯 30キロメートルまで 50キロメートルまで
料金 310円 630円

紛失再発行の乗車券・特急券

東京都区内から名古屋市内への乗車券と、東京・品川から名古屋への新幹線自由席特急券・特定特急券です。
なお、私が購入したものではありません。

右上に(紛失再)とありますが、これは東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第268条に規定されるきっぷ類紛失時における再発行の手続きを行ったものです。
東京から名古屋への乗車券・自由席特急券をあらかじめ購入していたのですが、自宅に置き忘れてしまったとのことで、取りに戻る時間も無いため再購入となりました。
旅行開始前の申し出ですので、同第3項に規定される取り扱いとなります。

きっぷ類を紛失した・忘れた場合は、再度同じものを購入するのが原則です。
その上で到着駅において再収受の証明を受け、1年以内に見つかれば、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第269条の規定に基づき、乗車券・自由席特急券などの場合は210円、指定席券・(指定席の)特急券などは320円の手数料を差し引いた差額が払い戻されます。
今回の場合は乗車券と自由席特急券ですので、払戻し額は購入額の10070円から210円(乗車券)+210円(自由席特急券)=420円の手数料を引いた、9650円となります。
きっぷとしては1枚になっていますが、2種類のきっぷですので手数料も2種類分必要となります。


紛失再発行の手続きにあたり、一度通常の操作で発券した後、再度マルス端末を操作し発券済みのきっぷを投入していました。
赤字で券面右上に「(紛失再)」、見づらいですが右下に「○の中に×」の記号が印字されました。
○の中に×の記号は、自動改札機を通過できないきっぷであることを意味します。

券面右下を拡大したものです。マルス端末で紛失再印字を行うと同時に、磁気情報も無効化しているようです。
再収受証明・払い戻しを受けるには再購入したきっぷが必要となります。磁気情報を無効化することで自動改札機を利用できなくし、誤って下車駅で集札されてしまうことを防ぐためと思われます。

(乗車券類紛失の場合の取扱方)
第268条 旅客が、旅行開始後、乗車券類を紛失した場合であつて、係員がその事実を認定することができないときは、既に乗車した区間については、第264条・第266条又は前条の規定による旅客運賃・料金及び増運賃・増料金を、前途の乗車区間については、普通旅客運賃・料金を収受し、また、係員がその事実を認定することができるときは、その全乗車区間に対する普通旅客運賃・料金を収受して、増運賃及び増料金は収受しない。
2 前項の場合、旅客は、旅行終了駅において、再収受証明書の交付を請求(指定券にあつては、同一列車の場合に限る。)することができる。ただし、定期乗車券又は普通回数乗車券を使用する旅客は、この限りでない。
3 第1項後段及び前項の規定は、旅客が旅行開始前に、乗車券類(定期乗車券及び普通回数乗車券を除く。)を紛失した場合に準用する。

(再収受した旅客運賃・料金の払いもどし)
第269条 前条の規定によつて普通旅客運賃・料金及び増運賃・増料金を支払つた旅客は、紛失した乗車券類を発見した場合は、その乗車券類と再収受証明書とをもより駅に差し出して、発見した乗車券類1枚につき手数料210円(指定券にあつては、320円)を支払い、再収受証明書に記入された旅客運賃・料金について払いもどしの請求をすることができる。ただし、普通旅客運賃・料金及び増運賃・増料金を支払つた日の翌日から起算して1箇年を経過したときは、これを請求することができない。

JR東海の地図式補充券

8月7日に市川三郷町で開催された神明の花火大会に行って来ました。
日本三大花火として有名ですが、曜日に関係なく毎年8月7日に開催です。このためなかなか日が合わなかったのですが、今回ようやく訪問できました。


会場最寄駅である市川大門駅は、普段は自動券売機も設置されない無人駅なのですが、この日は駅員が配置され旅客の誘導、乗車券の発売や精算を行います。
JR東海委託駅にもマルス端末の設置を行なっているところもあり常備券・補充券での発売は殆ど無いのですが、この花火大会の日は補充券での乗車券の発売を行なっています。

市川大門→立川の片道乗車券です。
経路は市川大門(身延線)甲府(中央本線)立川で、115.2km(1890円)です。
営業キロが100kmを超えており、身延線は大都市近郊区間に含まれない路線であるため、有効期間は2日となり途中下車も可能となります。甲府と八王子で途中下車しました。

身延駅発行とありますが、市川大門駅前の臨時発売所で購入したものです。
JR東海の地図式補充券(※)を確実に購入できるのはもはやこの日くらいではないでしょうか。
(※)本項ではこの補充券を地図式補充券と呼称していますが、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第226条(1)によると「特殊区間用特別補充券」の「地図式大人小児用」です。


裏面です。

表面はスペースの関係か駅名がかなり省略されています。身延線長泉なめり(H14)」、東海道本線「愛野(H13)・豊田町(H3)」、東北本線「さいたま新都心(H12)」などが省略されています。ただし、昭和61年開業の六合、昭和4年の高塚、昭和15年の舞阪も省略されており、未開業だったのか省略されたのか判断しづらいところです。
裏面の特定都区市内の記述を見ると、大阪市内から新加美(H20)が、福岡市内から九大学研都市(H17)が除外されていません。
いつ頃作成されたものなのでしょうか。おそらく平成一桁の時代に作成されたものがそのままとなっているものと思われますが……。括弧内は開業年を示します。

なお、事由欄にあるとおり、新幹線や在来線の特急券としての発売も可能です。
静岡までのふじかわ号+新幹線(乗継割引適用)や、甲府接続の中央本線あずさ・かいじ号特急券の発売も可能でしたが、身延線の列車が混雑で遅れており乗継できるかどうか微妙だったため購入しませんでした。



拡大図です。姫路、岡山、広島といった豪快な場所まで様式上は対応しており、特定都区市内着の乗車券の発券も可能です。
ただしよく見ると「小淵沢」が「小渕沢」と誤植?されています。

JR東海と豊橋鉄道の連絡乗車券

二川から柳生橋への片道乗車券です。豊橋(豊橋鉄道では新豊橋)を接続駅とする連絡乗車券です。

マルスシステムに豊橋鉄道の運賃は登録されていますが、券面の経由印字は「豊橋」で、連絡会社線名は印字されていません。
過去にJR東海と名古屋鉄道の連絡乗車券をご紹介しましたが、豊橋鉄道についても名古屋鉄道と同じく2012年4月21日からのTOICA/manaca相互利用開始に合わせて4月20日で連絡運輸が廃止されました。
現在の豊橋鉄道の駅においては、運賃表に名鉄線主要駅の連絡運賃は掲出されていますが、JR線は上から紙が貼られ隠されていました。
豊橋鉄道名古屋鉄道については、引き続き名鉄線全線が連絡範囲のようです。

経路は以下のとおりです。
二川(東海道本線)豊橋・新豊橋(渥美線)柳生橋

運賃はJR東海:190円(6.9km)、豊橋鉄道:130円(1.0km)で合計320円です。


なお、JR東海豊橋鉄道の連絡範囲は以下のとおりです。上述の通りこの連絡運輸は廃止されました。
JR東海東海道本線 浜松〜岡崎間
豊橋鉄道渥美線 柳生橋・南栄・高師・大清水・三河田原

指定席券売機で購入した120mm乗車券(2)

新小平から北府中への片道乗車券です。
昨日ご紹介したものと発着駅は同じで120mmの乗車券ですが、経路が異なります。


昨日と同じく、JR東日本ポータルサイトえきねっと」で申し込んだ乗車券を指定席券売機で受け取りました。
経路は以下のとおりです。
新小平(1.武蔵野線)西国分寺(2.中央東線)代々木(3.山手線1)4.品川(5.東海道新幹線)6.新横浜(7.横浜線)東神奈川(8.東海道本線)横浜(9.根岸線)大船(10.東海道本線)茅ヶ崎(11.相模線)橋本(12.横浜線)八王子(13.八高線)拝島(14.青梅線)立川(15.南武線)府中本町(16.武蔵野線)北府中

経路数は16です。営業キロ168.9km、運賃2940円です。新幹線を経由しているので大都市近郊区間内相互発着の乗車券ではなく、途中下車が可能となります。
今回もマルス券として発売できる最大の経路数の乗車券です。

券面の経由印字は以下のとおりです。
「武蔵野・品川・新幹線・新横浜・横浜線根岸線・相模・八高・青梅線・南武・武蔵野」
2.中央東線、3.山手線1、8.東海道本線、10.東海道本線、12.横浜線の印字が省略されています。
昨日ご紹介した乗車券よりは、経路がわかりやすい省略と思います。東海道本線が2回とも省略されていますが、「横浜線根岸線・相模」から東海道線を経由することは明白です。

経路の印字がどうなっているかは意外と重要なので、通常はマルス端末の「印字省略・補正禁止」キーメニューで経由印字を省略したり、手書き事項で追記したりします。
ただし指定席券売機では係員の手を経ること無く乗車券を購入できてしまうため、現状では発券してみるまでどのような印字になるかわからないというデメリットがあります。
もっとも、経路が不明確となるような複雑な乗車券を購入するような物好きが多数いるとは思えないのであまり実害はないのかもしれません。