旅客営業規則第16条の2に係る乗車券(基準規程不適用)

2024年4月1日から有効の矢野から松永への片道乗車券です。

 

 

経由は「矢野・広島・新幹線・三原・山陽」とあります。

この乗車券の経路は矢野(呉線)海田市(山陽本線)広島(山陽新幹線)三原(山陽本線)松永です。片道101.3km、1980円で2日間有効です。途中下車可能です。

酉日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、旅客規則)第16条の2の第1項第1号の規定により山陽本線(神戸〜新下関間)と山陽新幹線(新神戸新下関間)は原則同じ線路ですが、新幹線単独駅を含む区間を発着または接続とする場合は幹在別線として扱うとも規定されています。三原〜広島間は新幹線単独駅の東広島を含むため、同条第2項第6号により別線となります。

したがって、この乗車券の区間は片道として発売可能です。

 

 

一方でこの区間海田市・広島間の区間外乗車が認められており、通常は運賃が安くなる以下の乗車券が発売されます。

 

 

矢野から松永への片道乗車券です。1枚目の乗車券と同じに見えますが、経路が異なります。経由は「矢野・新幹線・三原・山陽」とあります。「広島」は印字されていません。

この乗車券の運賃計算経路は以下と同じとなります。

矢野(呉線)海田市(山陽本線)松永、片道88.5km、1520円です。片道100km以下ですので途中下車できません。

 

この乗車券は酉日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程(以下、基準規程)第151条の2の規定により、矢野以遠と三原以遠で新幹線(広島・東広島間を除く)に乗車する場合、三原・広島間を旅客規則16条の2の規定にかかわらず同一の線路とみなし、海田市・広島間で途中下車をしない場合は同区間区間外乗車を認めるというものです。

 

通常は運賃が安くなる方の乗車券で事足りますが、基準規程にあるとおり海田市・広島間で途中下車できません。この区間で途中下車する場合は1枚目のような実際の乗車経路どおりの乗車券を購入するか、または2枚目の乗車券で区間外の運賃を別に支払うかのどちらかとなります。

実際のところ1枚目の基準規程を適用しない乗車券はいままでマルスシステムでは運賃計算ができなかったため、どうしても発売する場合は出札補充券により発売されていました。

202441マルスシステムの改修が行われ運賃計算が可能となりました。発売箇所が広島駅MK31とあるように、みどりの券売機指定席券売機(オペレーター扱いでないものを含む)でも発売可能です。

今後は出札係員・改札係員・審査係員などの負担が減ることでしょう。今後もマルスシステムの機能向上による省力化の推進が期待されます。

 

なお、今回ご紹介した基準規程の特例を適用せず運賃計算を行う機能ですが、2024年4月1日に廃止されました。