片道から往復への区間変更

西立川〜呉の往復の区間変更券です。


券面の経由は「青梅線・中央東・東京・新幹線・矢野」とあります。西立川(青梅線)立川(中央本線)新宿(山手線)代々木(中央本線)神田(東北本線)東京(東海道新幹線)新大阪(山陽新幹線)広島(山陽本線)海田市(呉線)呉の経路です。
一方で東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第70条の規定により新宿〜品川間は最短経路である山手線経由で運賃計算し、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程(以下、基準規程)第151条及び第152条により海田市〜広島間の区間外乗車が認められています。
これらの規定により、運賃計算上の経路は西立川(青梅線)立川(中央本線)新宿(山手線)品川(東海道本線)神戸(山陽本線)海田市(呉線)呉と同じです。
片道904.7km 運賃11990円で、片道601km以上なので往復の場合は往復割引が適用され21580円となります。

この区間変更券は西立川→東日本会社線640円区間(東京まで)を原券に、東京駅改札内JR東日本みどりの窓口で呉への往復乗車券に変更を申し出たものです。

西立川駅は改札係員が配置された駅ではありますが出札窓口の営業はなく、指定席券売機も設置されていません。自動券売機で発売する乗車券以外は購入できません。
西立川から呉は券売機に設定がないため発売できず、本来は規則第27条、及び基準規程第44条の規定に従って、乗車券券面に◯ムの証明を行い途中駅で買換えの扱いとなりそうなところですが、券面に証明はありません。

東京駅では西立川〜呉の往復割引運賃21580円と原券640円との差額である20940円を収受して往復の区間変更券が発券されました。差額はクレジットカードでの決済も可能です。

なお旅客営業規則上、片道から往復への旅行開始後の変更は規定されておらず、旅客営業取扱基準規程にも定めは見当たりません。
規定上の根拠は不明ですが、片道601km以上の区間は往復乗車券では往復割引が適用されます。実務として片道から往復への変更ができないと旅客への不利益となることから区間変更が扱われているのだと思います。


【旅客営業規則】
(普通乗車券の特殊発売)
第27条 旅客が列車内において普通乗車券の発売を請求する場合、当該列車の係員が携帯する普通乗車券ではその請求に応じられないときは、普通旅客運賃(旅客が旅客運賃割引証を所持する場合又は旅客の請求する区間について旅客運賃割引の取扱いができる場合であっても、無割引の普通旅客運賃)を収受して、係員がその携帯する普通乗車券によって乗車方向の最遠の駅又は乗継駅までのものを発売し、同乗車券の券面に、途中駅まで発売した旨を表示する。
2 前項の規定は、第21条の2の規定により乗車券の発売区間に制限のある駅において、その発売区間外の普通乗車券の発売の請求があった場合に準用する。
3 前各項の規定によって発売した乗車券を所持する旅客に対しては、前途の駅又は車内において、これと引換に旅客の請求する区間の普通乗車券を発売する。この場合、既に収受した旅客運賃と旅客の請求する区間の普通旅客運賃(旅客が旅客運賃割引証を提出した場合又は旅客の請求する区間について旅客運賃割引の取扱いができる場合は、割引の普通旅客運賃)とを比較して不足額を収受し、過剰額は駅(取扱箇所が車内の場合にあっては前途の駅)において払いもどしをする。

第70条 第67条の規定にかかわらず、旅客が次に掲げる図の太線区間を通過する場合の普通旅客運賃・料金は太線区間内の最も短い営業キロによつて計算する。この場合、太線内は、経路の指定を行わない。
(以下略)

【旅客営業取扱基準規程】
(普通乗車券の特殊発売方)
第44条 規則第27条第1項又は同条第2項の規定により普通乗車券を発売する場合は、その乗車券の表面に「(ム)」の表示をして発売するものとする。この場合、前途の駅又は車内においてその乗車券と引換えに旅客の請求する全区間の乗車券を発売する(以下これを「買替え」という。)旨を案内しなければならない。
2 前項の場合、旅客が旅客運賃割引証を提出したときは、全区間のものを発売する前途の駅又は車内までこれを所持するように案内するものとする。
3 規則第27条第3項の規定により旅客から全区間の乗車券を請求された場合は、原乗車券を回収し、常備片道乗車券、補充片道乗車券又は特別補充券によつて発売するものとする。この場合の有効期間は、全区間に対する所定の有効期間からすでに経過した日数(取扱いの当日は含めない。)を差し引いた残余の日数とし、常備片道乗車券を使用する場合に有効期間の訂正を要するときは、第195条の規定を準用して取り扱うものとする。
4 前項の場合、旅客の所持する乗車券が金額式の普通乗車券で、かつ、車内において取り扱うときは、原乗車券を回収しないで、特別補充券とともに所持させることができる。