海田市・広島間の新幹線利用時の分岐駅通過列車特例を適用しない乗車券

端岡から呉ポートピアへの片道乗車券です。
JR四国のPOS端末で発売されました。


経路は端岡(予讃線)宇多津(本四備讃線)茶屋町(宇野線)岡山(山陽新幹線)広島(山陽本線)海田市(呉線)呉ポートピアです。
営業キロ241.4km、運賃は4610円です。
端岡駅はPOS端末設置駅ですがクレジットカード決済も可能ですので、長距離の乗車券でも買いやすくなっています。
POS端末自体にはクレジットカード決済機能はなく、併設されているクレジットカード端末による決済です。

この区間は、一般的には次に示す経路で運賃計算した乗車券が発売されます。

端岡(予讃線)宇多津(本四備讃線)茶屋町(宇野線)岡山(山陽本線)海田市(呉線)呉ポートピア
営業キロ228.6km 運賃4180円


海田市・広島間には四国旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第151条第1項に規定される分岐駅通過列車の特例があり、同第151条の2において新幹線利用時も特例が適用できる旨が規定されています。
ただし、三原・広島間は四国旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第16条の2第2項第6号の規定により、同区間内(三原・広島を除く)を発着または接続駅とする場合は線路が異なるものとして扱うとも規定されています。

つまり、
(1)広島を経路に含む三原、新幹線、広島、山陽本線海田市呉線経由の乗車経路通りの乗車券
(2)海田市・広島間の折り返し特例により三原、新幹線、海田市呉線経由の折り返し特例適用の乗車券
はどちらも規定上正当な乗車券ということになります。

ただし、マルスシステムは運賃が安くなり得る(2)の特例適用の乗車券の発売にしか対応しておらず、(1)の経路通りの乗車券については出札補充券での発売となります。

一方でPOSシステムは旅客会社ごとに挙動が異なっており、JR東日本マルスシステムと同じく(2)のみ対応で(1)は非対応、JR西日本は(1)も(2)も対応となっています。
JR四国のPOSシステムの挙動は不明でしたが、JR西日本と同じく(1)も(2)も対応となっていることが確認できました。


三原から安芸阿賀への区間変更券です。
新幹線経由で三原から広島への片道乗車券を、新幹線車内で呉線安芸阿賀まで区間変更しました。


原券は片道100km以下であるため、規則第249条第2項第1号ロの(ロ)の規定により、原券運賃と実際の乗車区間の運賃の差額(過剰時は返金なし)で区間変更を行います。
収受・変更区間の経由欄に「三原・新幹線・広島・山陽線海田市呉線」とあり、広島経由の乗車経路通りの区間変更券です。
三原(山陽新幹線)広島、71.4km 1340円と三原(山陽新幹線)広島(山陽本線)海田市(呉線)安芸阿賀、101.9km 1940円の差額の620円が収受額となります。
なお、特例を適用した場合は三原、新幹線、海田市呉線安芸阿賀、89.1kmですので有効当日限り・下車前途無効の乗車券(区間変更券)となります。

JR西日本の車内補充券発行機も広島折返しの特例を適用させない運賃計算に対応していることがわかります。

【旅客営業取扱基準規程】
(分岐駅通過列車に対する区間外乗車の取扱いの特例)
第151条 次に掲げる区間の左方の駅を通過する急行列車へ同駅から分岐する線区から乗り継ぐ(急行列車から普通列車への乗継ぎを含む。)ため、同区間を乗車する旅客(定期乗車券を所持する旅客を除く。)に対しては、当該区間内において途中下車をしない限り、別に旅客運賃を収受しないで、当該区間について乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。
(中略)
 海田市・広島間
(以下略)

(海田市・広島間に係る区間外乗車の取扱いの特例)
第151条の2 矢野以遠(坂方面)の各駅と三原以遠(糸崎方面)の各駅相互間を乗車する旅客が、新幹線に乗車(広島・東広島間を除く。)する場合は、規則第16条の2第2項の規定にかかわらず、三原・広島間を同一の線路とみなして、広島・海田市間において、途中下車をしない限り、別に旅客運賃を収受しないで当該区間について乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。

【旅客営業規則】
(東海道本線(新幹線)、山陽本線(新幹線)、東北本線(新幹線)、高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)、信越本線(新幹線)及び鹿児島本線(新幹線)に対する取扱い)
第16条の2 次の各号の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区とは、同一の線路としての取扱いをする。
(略)
2 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間内の駅(品川、小田原、三島、静岡、名古屋、米原、新大阪、西明石、福山、三原、広島、徳山、福島、仙台、一ノ関、北上、盛岡、熊谷、高崎、越後湯沢、長岡、新潟、博多、久留米、筑後船小屋及び熊本の各駅を除く。)を発駅若しくは着駅又は接続駅とする場合は、線路が異なるものとして旅客の取扱いをする。
(1)〜(5)略
(6)三原・広島間
(以下略)


(区間変更)
第249条 普通乗車券、自由席特急券、特定特急券普通急行券又は自由席特別車両券を所持する旅客は、旅行開始後又は使用開始後に、あらかじめ係員に申し出て、その承諾を受け、当該乗車券類に表示された着駅、営業キロ又は経路について、次の各号に定める変更(この変更を「区間変更」という。)をすることができる。
 (1)着駅又は営業キロを、当該着駅を超えた駅又は当該営業キロを超えた営業キロへの変更
 (2)着駅を、当該着駅と異なる方向の駅への変更
 (3)経路を、当該経路と異なる経路への変更
2 区間変更の取扱いをする場合は、次の各号に定めるところにより取り扱う。
 (1)普通乗車券
 イ 次により取り扱う。この場合、原乗車券が割引普通乗車券(学生割引普通乗車券を除く。)であって、その割引が実際に乗車する区間に対しても適用のあるものであるときは、変更区間及び不乗区間に対する旅客運賃を原乗車券に適用した割引率による割引の普通旅客運賃によって計算する。
  (イ)前項第1号に規定する場合は、変更区間に対する普通旅客運賃を収受する。
  (ロ)前項第2号及び第3号に規定する場合は、変更区間(変更区間が2区間以上ある場合で、その変更区間の間に原乗車券の区間があるときは、これを変更区間とみなす。以下同じ。)に対する普通旅客運賃と、原乗車券の不乗区間に対する普通旅客運賃とを比較し、不足額は収受し、過剰額は払いもどしをしない。
 ロ イの場合において、原乗車券(学生割引普通乗車券を除く。)が次のいずれかに該当するときは、原乗車券の区間に対するすでに収受した旅客運賃と、実際の乗車区間に対する普通旅客運賃とを比較し、不足額は収受し、過剰額は払いもどしをしない。この場合、原乗車券が割引普通乗車券であって、その割引が実際に乗車する区間に対しても適用のあるものであるときは、実際の乗車区間に対する普通旅客運賃を原乗車券に適用した割引率による割引の普通旅客運賃によって計算する。
  (イ)大都市近郊区間内にある駅相互発着の乗車券で、同区間内の駅に区間変更の取扱いをするとき。
  (ロ)片道の乗車区間営業キロが100キロメートル以内の普通乗車券で区間変更の取扱いをするとき。