渋谷からつくし野への連絡乗車券

渋谷からつくし野への連絡乗車券です。JR東日本の出札補充券により発売されました。


通常、この区間であれば東急線完結26.8km 290円(当時。現行運賃300円)が一般的です。
この乗車券はJR東日本東京急行電鉄の連絡乗車券です。接続駅は横浜です。

経由は記事欄に「山手・赤羽線・東北・上野・新幹線・東京・西大井・向河原・新子安・横浜・東急東横・大井町線田園都市線」とあります。
駅名が列挙されている区間がやや分かりづらいですが、以下の経路です。

渋谷(山手線)池袋(赤羽線)赤羽(東北本線)上野(東北新幹線)東京(東海道本線)品川(東海道本線[品鶴線])武蔵小杉(南武線)川崎(東海道本線)横浜(東横線)自由が丘(大井町線)二子玉川(田園都市線)つくし野

品川・鶴見間は東日本旅客鉄道株式会社旅客営業規則第69条第1項第4号に規定される経路特定区間が設定されており、運賃・料金計算は大井町経由東海道本線で行われますが、今回は東海道本線東海道本線(品鶴線)の両方を南武線を介して経由しているため、経路特定区間は適用されないとのことでした。
同じようなケースは同条同項第3号、赤羽(東北本線[埼京線])武蔵浦和(武蔵野線)南浦和(東北本線)大宮や、第5号東京(総武本線)西船橋(京葉線[二俣支線])南船橋(京葉線)蘇我などでも見られます。
東北本線(埼京線)と東北本線は、戸田公園与野本町経由東北本線と川口・浦和経由東北本線武蔵野線を挟んだ両側が規定されており解釈の齟齬は生じませんが、東海道本線(品鶴線)と東海道本線は西大井経由東海道本線大井町経由東海道本線と規定しており、品川(東海道本線)川崎(南武線)武蔵小杉(東海道本線[品鶴線])鶴見という解釈もできてしまいそうです。東海道本線(品鶴線)の武蔵小杉駅が開業した際に南武線を挟んだ東西で駅名を列挙する規定に改めたほうが良かったのかもしれません。
もっと言うと、南武線鶴見線経由も考えられますが、さすがに無理がありすぎます。

JR線61.8km 1050円(現行1080円)、東急線38.7km 360円(現行370円)で合計100.5km 1410円(現行1450円)です。東北新幹線経由であることから大都市近郊区間内相互発着の乗車券でなく、片道100kmを超えているので2日間有効となり途中下車が可能です。

この乗車券は、JR線をマルスシステム上の経路で示すと渋谷(1.山手線)代々木(2.中央東線)新宿(3.山手線2)池袋(4.赤羽線)赤羽(5.東北本線2)田端(6.山手線2)日暮里(7.東北本線)8.上野乗換(9.東北新幹線)10.東京乗換(11.東海道本線)品川(12.東海道本線3)武蔵小杉(13.南武線)川崎(14.東海道本線)横浜と14経路となります。
横浜接続つくし野はマルスシステムに運賃が登録されていませんので金額入力操作が必要になりますが、自・社区間入力操作における経路入力数は8までとなり、9経路以上はマルスシステムでは発券できません。このため出札補充券での発売となりました。
社線内での途中下車も可能でしたが、東急線の駅には途中下車印は無いようで、そのまま下車を認めたり駅名小印で代用したりと扱いは様々でした。

横浜を接続駅とするJR東日本東京急行電鉄の連絡範囲は以下のとおりです。
JR東日本東海道本線、山手線、赤羽線南武線鶴見線武蔵野線横浜線根岸線横須賀線、相模線、伊東線中央本線 東京〜甲府間、青梅線五日市線東北本線 東京〜宇都宮間・尾久・北赤羽〜北与野間、常磐線(日暮里-水戸間)、川越線高崎線両毛線総武本線京葉線外房線内房線成田線
東京急行電鉄東横線目黒線多摩川線、大井町線田園都市線 二子玉川〜つくし野間、池上線

なお2014年4月1日以降、東京急行電鉄ではJR線連絡乗車券において新幹線経由となるものは発売できなくなりました。したがってこの乗車券の逆経路を東京急行電鉄では発売できないことになります。
この乗車券の発売当時(平成25年、2013年)では新幹線経由でも発売可能でした。


この乗車券では、武蔵小杉をJR線と東急線とで2回通過しています。
2回目(東急線)で環状線一周となりそれ以上は片道で発売できないとの解釈もあるようですが、東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則第16条第1号に規定される片道乗車券の打ち切り条件は「旅客規則第68条第4項の規定により営業キロ擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する場合」、すなわちJR線で環状線一周や折返しとなる場合に限られます。
この乗車券の場合も、JR線と連絡会社線環状線一周となるケースは打ち切り条件に当たらないとのことでした。

【旅客営業規則】
(旅客運賃・料金計算上の営業キロ等の計算方)
第68条 営業キロ又は擬制キロを使用して旅客運賃を計算する場合は、別に定める場合を除いて、次の各号により営業キロ又は擬制キロを通算して計算する。
(中略)
4 前各項の規定により、旅客運賃・料金を計算する場合で次の各号の1に該当するときは、当該各号に定めるところによって計算する。
(1)計算経路が環状線1周となる場合は、環状線1周となる駅の前後の区間営業キロ擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する。
(2)計算経路の一部若しくは全部が復乗となる場合は、折返しとなる駅の前後の区間営業キロ擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する。
(3)新下関・博多間の新幹線の一部又は全部と同区間山陽本線及び鹿児島本線の一部又は全部とを相互に直接乗り継ぐ場合は、次により計算する。
 ア 山陽本線新下関・門司間及び鹿児島本線中門司・小倉間の一部又は全部(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)と山陽本線(新幹線)中新下関・小倉間(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)とを新下関又は小倉で相互に直接乗り継ぐ場合は、新下関又は小倉で営業キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する。
 イ 鹿児島本線中小倉・博多間の一部又は全部(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)と鹿児島本線(新幹線)中小倉・博多間(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)とを小倉又は博多で相互に直接乗り継ぐ場合、小倉又は博多で営業キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する。
(注)東海道本線中金山・名古屋間と中央本線中金山・名古屋間とは同一の線路である。

(特定区間における旅客運賃・料金計算の営業キロ又は運賃計算キロ)
第69条 第67条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間の普通旅客運賃・料金は、その旅客運賃・料金計算経路が当該各号末尾のかっこ内の両線路にまたがる場合を除いて、○印の経路の営業キロ(第9号については運賃計算キロ。ただし、岩国・櫛ヶ浜間相互発着の場合にあっては営業キロ)によって計算する。この場合、各号の区間内については、経路の指定を行わない。
(1)〜(2)略
(3)赤羽以遠(尾久、東十条又は十条方面)の各駅と、大宮以遠(土呂、宮原又は日進方面)の各駅との相互間
 戸田公園与野本町経由東北本線
○川口・浦和経由東北本線
(4)品川以遠(田町又は大崎方面)の各駅と、鶴見以遠(新子安又は国道方面)の各駅との相互間
 西大井経由東海道本線
大井町経由東海道本線
(5)東京以遠(有楽町又は神田方面)の各駅と、蘇我以遠(鎌取又は浜野方面)の各駅との相互間
 京葉線
総武本線外房線
(以下略)

【旅客連絡運輸規則】
(普通乗車券の発売)
第16条 旅客が列車等に乗車船する場合は、次の各号に定めるところにより、片道乗車券、往復乗車券又は連続乗車券を発売する。
(1)片道乗車券
普通旅客運賃計算経路の連続した区間を片道1回乗車船(以下「片道乗車」という。)する場合に発売する。ただし、旅客規則第68条第4項の規定により営業キロ擬制
ロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する場合は、当該打切りとなる駅までの区間のものに限り発売する。
(以下略)