3日間有効の往復乗車券

門司〜鳥栖の往復乗車券です。12月30日から3日間有効とあります。


往復乗車券の有効日数は東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第154条第1項第1号ロの規定により片道の2倍とするのが基本ですので、普通乗車券の往復で奇数の有効日数というのは通常は存在しないはずです。

この乗車券はどのようなものか見てみます。
まず、規則第16条の2において新下関〜博多間の山陽新幹線山陽本線鹿児島本線は同一扱いする線路となっておらず、別の線路です。
往復乗車券は往復で同じ経路でなければならないため、新下関・博多間で往路在来線、復路新幹線という往復乗車券の発売は本来できませんが、規則第16条の3第26条第2号新下関・博多間の新幹線と在来線を利用する場合は往復乗車券を発売するとも定められています。

このような規則上は別の区間であっても往復として発売される乗車券を「別線往復乗車券」と呼び、マルス端末の乗車券メニューにも別線往復のボタンがあります。

この乗車券の経路は往路が門司(鹿児島本線)鳥栖、復路が鳥栖(鹿児島本線)博多(山陽新幹線)小倉(鹿児島本線)門司です。

往路・復路どちらも営業キロは101.3kmです。
営業キロは同じですがJR九州JR西日本では運賃が異なるため発売額も異なっています。通常の往復乗車券の発売額は規則第90条第1号の規定により片道の2倍ですが、別線往復乗車券の場合は同ただし書きにより往路と復路の片道運賃の合算です。
往路は2010円、復路は2130円、合わせて4140円です。

別線往復乗車券の有効日数は規則第154条第1項第1号ロのただし書きの規定により、往路と復路を片道乗車券で発売した場合の有効日数の合算とされています。
片道として見たとき、規則第154条第1項第1号イの規定により往路は営業キロは100kmを超えてはいますが大都市近郊区間内相互の乗車券であるため、営業キロに関わらず有効日数は1日です。復路は大都市近郊区間外の山陽新幹線を経由しているため、片道の有効日数は営業キロに応じた2日です。
往路1日と復路2日の合算により3日間有効となります。
途中下車可否に関しても規則第156条第2号により、往路は大都市近郊区間内相互なので下車前途無効、復路は大都市近郊区間外経由かつ片道100kmを超えているため途中下車可です。
有効日数、途中下車可否とも考え方としては連続乗車券に近いです。
この乗車券の往路は大都市近郊区間内相互ですので、マルスシステムは自動的に最安経路の門司(鹿児島本線)折尾(筑豊本線)原田(鹿児島本線)鳥栖に置換えてしまいます。往復乗車券として発売する場合、往路の経路に「補正禁止」を指定する必要があります。


なお、連続1:門司(鹿児島本線)折尾(筑豊本線)原田(鹿児島本線)鳥栖、連続2:鳥栖(鹿児島本線)博多(山陽新幹線)小倉(鹿児島本線)門司の連続乗車券を発売し、連続1について規則第157条第2項に規定される大都市近郊区間相互の乗車券の選択乗車により門司(鹿児島本線)鳥栖と乗車することも可能です。


連続乗車券で購入した場合、規則第90条第2号の規定によりそれぞれを片道で計算した運賃の合算です。連続1は営業キロ88.8km(運賃計算キロ94.3km) 1820円、連続2は前述の復路と変わらず営業キロ101.3km 2130円、合計3950円です。
往復乗車券ではなく連続乗車券として購入する方が運賃は安くなります。

(東海道本線(新幹線)、山陽本線(新幹線)、東北本線(新幹線)、高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)、信越本線(新幹線)及び鹿児島本線(新幹線)に対する取扱い)
第16条の2 次の各号の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区とは、同一の線路としての取扱いをする。

(1)東海道本線山陽本線中神戸・新下関東海道本線(新幹線)及び山陽本線(新幹線)中新神戸新下関
(2)東北本線東北本線(新幹線)
(3)高崎線上越線及び信越本線高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)及び信越本線(新幹線)
(4)鹿児島本線中博多・新八代間及び川内・鹿児島中央鹿児島本線(新幹線)中博多・新八代間及び川内・鹿児島中央
2 略 (新幹線と新幹線以外の線区の取扱いの特例) 第16条の3 次の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区に関し、第26条第1号ただし書、第2号ただし書及び第3号にそれぞれ規定する普通乗車券の発売、第68条第4項に規定する旅客運賃計算上の営業キロ等の計算方並びに第242条第2項に規定する区間変更の取扱いにおける旅客運賃・料金の通算方又は打切方については、前条第1項の規定を準用する。
山陽本線新下関・門司間及び鹿児島本線中門司・博多間山陽本線(新幹線)中新下関・小倉間及び鹿児島本線(新幹線)中小倉・博多間
(普通乗車券の発売) 第26条 旅客が、列車に乗車する場合は、次の各号に定めるところにより、片道乗車券、往復乗車券又は連続乗車券を発売する。 (1)片道乗車券  普通旅客運賃計算経路の連続した区間を片道1回乗車(以下「片道乗車」という。)する場合に発売する。ただし、第68条第4項の規定により営業キロ擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切つて計算する場合は、当該打切りとなる駅までの区間のものに限り発売する。 (2)往復乗車券  往路又は復路とも片道乗車券を発売できる区間であつて、往路と復路の区間及び経路が同じ区間を往復1回乗車(以下「往復乗車」という。)する場合に発売する。ただし、往路と復路の経路が異なる場合であつても、その異なる経路が第16条の3に掲げる左欄及び右欄の経路相互である場合は往復乗車券を発売する。 (以下略) (往復普通旅客運賃又は連続普通旅客運賃) 第90条 往復普通旅客運賃又は連続普通旅客運賃は、次の各号に定めるとおりとする。 (1)往復普通旅客運賃は、片道普通旅客運賃を2倍した額とする。ただし、第26条第2号ただし書に規定する場合にあつては、往路及び復路の区間ごとに計算した片道普通旅客運賃を合計した額とする。 (2)連続普通旅客運賃は、各区間ごとに計算した片道普通旅客運賃を合計した額とする。 (有効期間) 第154条 乗車券の有効期間は、別に定める場合の外、次の各号による。 (1)普通乗車券  イ 片道乗車券   営業キロが100キロメートルまでのときは1日、100キロメートルを超え200キロメートルまでのときは2日とし、200キロメートルを超えるものは、200キロメートルまでを増すごとに、200キロメートルに対する有効期間に1日を加えたものとする。ただし、第156条第2号に規定する大都市近郊区間内各駅相互発着の乗車券の有効期間は、1日とする。  ロ 往復乗車券   片道乗車券の有効期間の2倍とする。ただし、第26条第2号ただし書に規定する場合は、往路及び復路の区間ごとに片道乗車券の計算方法によつて計算した有効期間を合計した期間とする。 (以下略) (途中下車) 第156条 旅客は、旅行開始後、その所持する乗車券によつて、その券面に表示された発着区間内の着駅(旅客運賃が同額のため2駅以上を共通の着駅とした乗車券については、最終着駅)以外の駅に下車して出場した後、再び列車に乗り継いで旅行することができる。ただし、次の各号に定める駅を除く。 (1) 略 (2)次にかかげる区間(以下「大都市近郊区間」という。)内の駅相互発着の普通乗車券を使用する場合は、その区間内の駅  イ〜ロ 略  ハ 福岡附近にあつては、鹿児島本線門司港鳥栖間(鹿児島本線(新幹線)小倉・博多間を除く。)、香椎線篠栗線日豊本線中小倉・行橋間、日田彦山線中城野・今山間、筑豊本線後藤寺線及び博多南線(以下これらの区間を「福岡近郊区間」という。) (以下略) (選択乗車) 第157条 旅客は、次の各号に掲げる各駅相互間(略図中の〓線区間以遠の駅と━線区間以遠の駅若しくは◎印駅相互間)を、普通乗車券又は普通回数乗車券(いずれも併用となるものを含む。)によつて旅行する場合は、その所持する乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、各号の末尾に記載した同一かつこ内の区間又は経路のいずれか一方を選択して乗車することができる。ただし、2枚以上の普通乗車券又は普通回数乗車券を併用して使用する場合は、他方の経路の乗車中においては途中下車をすることができない。 (中略) 2 大都市近郊区間内相互発着の普通乗車券及び普通回数乗車券(併用となるものを含む。)を所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、同区間内の他の経路を選択して乗車することができる。 (以下略)