通過連絡運輸と特定都区市内の適用

八田から[浜]横浜市内への片道乗車券です。


JR東日本のえきねっとで八田から新横浜への乗車券として申し込みしたものです。
経路は八田(関西本線)亀山(紀勢本線)和歌山(阪和線)天王寺(大阪環状線)大阪(東海道本線)新大阪(東海道新幹線)新横浜(※)、営業キロ1036.6kmで12640円です。
八田は[名]名古屋市内に含まれる駅で、今回の経路は片道201km以上ではありますが、名古屋市内の駅を起点として名古屋市内の外を経て再度名古屋市内を通過していますので、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第86条但し書きの規定により名古屋市内は適用されず、発駅は「八田」単駅の乗車券となります。
横浜市内の中心駅は横浜駅ですので、本来は八田(関西本線)亀山(紀勢本線)和歌山(阪和線)天王寺(大阪環状線)大阪(東海道本線)新大阪(東海道新幹線)新横浜(横浜線)東神奈川(東海道本線)横浜で1044.5km 12960円となりますが、先日の記事の通り特定都区市内の中心駅と新幹線駅が異なっており、新幹線駅を特定都区市内の出入口とする場合については新幹線駅、つまりこの場合は新横浜を横浜市内の中心駅とみなしているようです。


[名]名古屋市内から[浜]横浜市内への片道乗車券です。


前述と同じ八田から新横浜への乗車券として申し込みしましたが、発駅は「八田」単駅ではなく[名]名古屋市内となっています。
経路は八田(関西本線)河原田(伊勢鉄道線)津(紀勢本線)和歌山(阪和線)天王寺(大阪環状線)大阪(東海道本線)新大阪(東海道新幹線)新横浜で、河原田・津間で伊勢鉄道線を経由する通過連絡の乗車券となっています。
この乗車券は本来、JR線八田〜河原田間と津〜[浜]横浜市内の合計1005.3kmに対する運賃12640円と、伊勢鉄道22.3km 510円を合算した1027.6km、13150円とすべきですが、名古屋市内からの乗車券として発券されているため、運賃計算上は名古屋(関西本線)河原田(伊勢鉄道線)津(紀勢本線)和歌山(阪和線)天王寺(大阪環状線)大阪(東海道本線)新大阪(東海道新幹線)新横浜となり、JR線営業キロは1009.1kmで発券されてしまっています。運賃は12640円で変わりませんが、別の区間であれば運賃が変わってしまう場合も有り得ます。

これらの乗車券は河原田・津間を除き同じ区間・経路です。にもかかわらず特定都区市内が適用されない乗車券とされる乗車券で発券されましたが、東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則(以下、連規)第46条においては規則第86条と同様に一旦特定都区市内の外を経て、同じ特定都区市内を通過する場合は特定都区市内を適用しないと定められています。後者(伊勢鉄道通過連絡)の乗車券が発駅を[名]名古屋市内とするのは誤発券であると考えられます。
本来は伊勢鉄道通過連絡の乗車券も「八田→[浜]横浜市内」の乗車券を発売しなければなりませんが、マルスシステムは通過連絡の乗車券においては特定都区市内通過時における単駅指定の処理が漏れてしまっているようです。

従って後者の乗車券は出札担当者がマルス端末上において「単駅指定」を押下して発券する必要がありますが、今回の乗車券は券面に「えきねっと発券」とあるとおりえきねっとで申し込みを行い、指定席券売機で受け取った乗車券です。申し込み〜発券まで係員の手に渡ることがないため、問題のある発券でも誰も修正できないということになってしまいます。



なお特定都区市内・東京山手線内が非適用となる場合においてもそれぞれ適用された乗車券が発券されてしまうのは、JR1-社-JR2の通過連絡の場合のうちJR1区間で特定都区市内を発駅とし、JR2区間で同じ特定都区市内を通過する場合(逆の場合も含む)のみのようで、JR1またはJR2の区間のみで特定都区市内適用除外の条件を満たすときは、連規通り特定都区市内・東京山手線内を適用しない乗車券が発券されます。


秋葉原から松阪への片道乗車券です。


経路は秋葉原(総武本線)錦糸町(総武本線)千葉(外房線)蘇我(京葉線)東京(東海道新幹線)名古屋(関西本線)河原田(伊勢鉄道線)津(紀勢本線)松阪です。営業キロ・運賃はJR線が秋葉原〜河原田間494.7km、津〜松阪間19.1kmで513.8km 8210円、伊勢鉄道22.3km 510円と合わせて536.1km 8720円です。
秋葉原は東京都区内に含まれる駅で、東京を起点としたときのJR線営業キロは515.8kmと片道200kmを超えており東京都区内の適用条件を満たしますが、東京都区内の外を経て再度東京都区内を通過する経路ですので、連規第46条の規定により発駅は「[区]東京都区内」ではなく「秋葉原」単駅となります。

【旅客営業規則】
(特定都区市内にある駅に関連する片道普通旅客運賃の計算方)
第86条 次の各号の図に掲げる東京都区内、横浜市内(川崎駅、尻手駅八丁畷駅及び川崎新町駅並びに鶴見線各駅を含む。)、名古屋市内、京都市内、大阪市内(新加美駅を除く。)、神戸市内(道場駅を除く。)、広島市内(海田市駅及び向洋駅を含む。)、北九州市内、福岡市内(姪浜駅下山門駅今宿駅九大学研都市駅及び周船寺駅を除く。)、仙台市内又は札幌市内(以下これらを「特定都区市内」という。)にある駅と、当該各号に掲げる当該特定都区市内の◎印の駅(以下「中心駅」という。)から片道の営業キロが200キロメートルを超える区間内にある駅との相互間の片道普通旅客運賃は、当該中心駅を起点又は終点とした営業キロ又は運賃計算キロによつて計算する。
ただし、特定都区市内にある駅を発駅とする場合で、普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内の外を経て、再び同じ特定都区市内を通過するとき、又は特定都区市内にある駅を着駅とする場合で、発駅からの普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内を通過して、その特定都区市内の外を経るときを除く。

(選択乗車)
第157条 旅客は、次の各号に掲げる各駅相互間(略図中の〓線区間以遠の駅と━線区間以遠の駅若しくは◎印駅相互間)を、普通乗車券又は普通回数乗車券(いずれも併用となるものを含む。)によつて旅行する場合は、その所持する乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、各号の末尾に記載した同一かつこ内の区間又は経路のいずれか一方を選択して乗車することができる。ただし、2枚以上の普通乗車券又は普通回数乗車券を併用して使用する場合は、他方の経路の乗車中においては途中下車をすることができない。
(1)〜(18) 略
(19)小田原以遠(早川方面)の各駅と横浜・新横浜間の各駅との相互間(東海道本線経由、新幹線経由)。この場合、乗車券の券面に表示された経路以外の横浜・新横浜間内では、途中下車の取扱いをしない。
(20)〜(30) 略
(31)新大阪以遠(東淀川方面)の各駅と、新神戸又は神戸以遠(兵庫方面)の各駅との相互間(新大阪・神戸間、新大阪・新神戸間)
(32)西明石以遠(大久保方面)の各駅と、新神戸又は神戸以遠(元町方面)の各駅との相互間(西明石・神戸間、西明石新神戸間)
(以下略)

【旅客連絡運輸規則】
(特定都区市内にある旅客会社線駅又はこれに接続する連絡会社線駅発着旅客に対する旅客会社線区間の片道普通旅客運賃の計算方)
第46条 東京都区内、横浜市内(川崎駅、尻手駅八丁畷駅及び川崎新町駅並びに鶴見線各駅を含む。)、名古屋市内、京都市内、大阪市内(新加美駅を除く。)、神戸市内(道場駅を除く。)、広島市内(海田市駅及び向洋駅を含む。)、北九州市内、福岡市内(姪浜駅下山門駅今宿駅九大学研都市駅及び周船寺駅を除く。)、仙台市内又は札幌市内(以下これらを「特定都区市内」という。)にある旅客会社線の駅又はその駅に接続する連絡会社線の駅を発駅又は着駅とする場合であって、旅客規則第86条に規定する当該特定都区市内の中心駅(以下「中心駅」という。)から、旅客会社線営業キロが片道200キロメートルを超える区間内にある駅との場合の旅客会社線区間の片道普通旅客運賃は、当該中心駅を起点又は終点とした営業キロ又は運賃計算キロによって計算する。
ただし、特定都区市内にある駅又はその駅に接続する連絡会社線の駅を発駅とする場合で、普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内の外を経て、再び同じ特定都区市内を通過するとき、若しくは特定都区市内にある駅又はその駅から接続する連絡会社の駅を着駅とする場合で、発駅からの普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内を通過して、その特定都区市内の外を経るときを除く。
(注1)「特定都区市内にある旅客会社線の駅」とは、旅客規則第86条に規定する駅をいう。
(注2)この条に関係のある特定都区市内にある旅客会社線の駅に接続する連絡会社線及びその接続駅は、次のとおりである。
(以下略)