特定都区市内の適用

大阪から名古屋への片道乗車券です。


経路は大阪(東海道本線)名古屋営業キロ190.4kmで運賃は3350円、2日間有効です。
大阪は[阪]大阪市内、名古屋は[名]名古屋市内のそれぞれ中心駅ですが、中心駅間の営業キロは200kmを超えていません。従って東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第86条に規定される特定都区市内は適用されず、大阪と名古屋の単駅の乗車券となります。



中心駅間が200kmを超えていないため、東海道本線経由で大阪市内の駅から名古屋市内の駅へ向かう場合、乗車券の券面が[阪]大阪市内→[名]名古屋市内となることはありません。一方で発着駅のどちらか片方に特定都区市内が適用されることはあります。

杉本町から[名]名古屋市内への片道乗車券です。
杉本町(大阪市内)→南大高(名古屋市内)、阪和線大阪環状線東海道本線経由を指定しました。


経路は以下のとおりです。
杉本町(阪和線)天王寺(大阪環状線[内回り])大阪(東海道本線)南大高

杉本町→南大高営業キロは222.0kmです。
発着駅間が200kmを超えていても中心駅間が200kmを超えていないため、この場合も[阪]大阪市内→[名]名古屋市内とはなりません。
一方で大阪→南大高は204.6km、杉本町→名古屋は208.0kmとどちらも200kmを超えているため、規定上は[阪]大阪市内→南大高、杉本町→[名]名古屋市内のどちらでも発売可能ですが、マルスシステムでは着駅側に特定都区市内を適用させた乗車券(杉本町→[名]名古屋市内)を発売します。
着駅側に特定都区市内を適用させることで着駅が変更となる場合も柔軟に対応できるからでしょうか。運賃は杉本町→名古屋の営業キロ208.0kmに相当する3670円、3日間有効です。



では[阪]大阪市内発、名古屋市内の単駅着のケースはあり得ないかというと、次のような乗車券もあります。

[阪]大阪市内→南大高の片道乗車券です。発駅に特定都区市内が適用されています。


この乗車券は桜島(大阪市内)から南大高(名古屋市内)まで、桜島(桜島線)西九条(大阪環状線)大阪(東海道本線)南大高の経路で購入しました。前述と同じ「大阪市内に含まれる駅」から「南大高」への区間ではありますが券面の発着駅は異なっています。
大阪→南大高営業キロ204.6kmで特定都区市内の条件を満たし「[阪]大阪市内→南大高」が発売可能である一方、桜島→名古屋は営業キロ198.1kmと200kmを超えていませんので「桜島→[名]名古屋市内」は発売できません。
従って発駅に特定都区市内を適用し、着駅は単駅となる乗車券が発売されます。運賃は大阪→南大高の204.6kmに相当する3670円、3日間有効です。

(特定都区市内にある駅に関連する片道普通旅客運賃の計算方)
第86条 次の各号の図に掲げる東京都区内、横浜市内(川崎駅、尻手駅八丁畷駅及び川崎新町駅並びに鶴見線各駅を含む。)、名古屋市内、京都市内、大阪市内(新加美駅を除く。)、神戸市内(道場駅を除く。)、広島市内(海田市駅及び向洋駅を含む。)、北九州市内、福岡市内(姪浜駅下山門駅今宿駅九大学研都市駅及び周船寺駅を除く。)、仙台市内又は札幌市内(以下これらを「特定都区市内」という。)にある駅と、当該各号に掲げる当該特定都区市内の◎印の駅(以下「中心駅」という。)から片道の営業キロが200キロメートルを超える区間内にある駅との相互間の片道普通旅客運賃は、当該中心駅を起点又は終点とした営業キロ又は運賃計算キロによつて計算する。
ただし、特定都区市内にある駅を発駅とする場合で、普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内の外を経て、再び同じ特定都区市内を通過するとき、又は特定都区市内にある駅を着駅とする場合で、発駅からの普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内を通過して、その特定都区市内の外を経るときを除く。
(以下略)