BRT線を経由する出札補充券

立川から仙台への片道乗車券です。JR東日本の出札補充券により発売されました。
株主優待乗車証を使用し4割引となっています。経由は業務連絡書に記載されています。


業務連絡書記載の経路は「青梅線、拝島、八高線、八王子、横浜線、東神奈川、東海道本線、川崎、南武線、府中本町、武蔵野線、西国分寺中央東線、東京、東北本線、仙台、東北接、仙石線石巻石巻線、前谷地、気仙沼線、BRT柳津、BRT気仙沼気仙沼大船渡線、一ノ関、東北新幹線」とあります。

運賃計算上の経路は立川(青梅線)拝島(八高線)八王子(横浜線)東神奈川(東海道本線)川崎(南武線)府中本町(武蔵野線)西国分寺(中央本線)新宿(山手線)池袋(赤羽線)赤羽(東北本線)松島(東北本線[東北接続線、仙石東北ライン])高城町(仙石線)石巻(石巻線)前谷地(気仙沼線)柳津(気仙沼線BRT)気仙沼(大船渡線)一ノ関(東北新幹線)仙台です。
経路が多いためマルスシステムで運賃計算できず、出札補充券での発売となりました。


この乗車券は仙台・石巻間で仙石東北ライン、柳津・気仙沼間で気仙沼線BRTを利用しています。BRT線もJR東日本株主優待割引対象となっています。
BRT線を通り抜ける場合の運賃は会社線通過連絡と同様に前後のJR鉄道線の営業キロ(運賃計算キロ)を通算し運賃を計算、これとBRT区間の運賃を合算します。
割引を適用する場合は鉄道区間・BRT区間のそれぞれの運賃に対し割引を行います。

JR1:立川→柳津、営業キロ551.2km、運賃計算キロ555.5km
BRT:柳津→気仙沼、BRT営業キロ55.3km、運賃1140円
JR2:気仙沼→仙台、営業キロ155.3km、運賃計算キロ161.5km

JR鉄道線の営業キロは706.5km、運賃計算キロは717.0kmで運賃は10150円、これを4割引し6090円です。BRT区間運賃1140円も4割引となり684円、10円未満切り捨てで680円です。これらを合算した6770円が発売額です。
BRT区間を含めた営業キロは合計761.8kmですので、5日間有効となります。

仙台を着駅とし、片道201km以上ですので本来着駅は「[仙]仙台市内」となるのですが、一度仙台市内を通り抜け、仙台市内の外を経て再度仙台に至る経路となっているため、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第86条但し書きの規定により、特定都区市内は適用されず「仙台」単駅が着駅となります。
また、仙台以北の東北新幹線東北本線が経路に含まれています。東北本線東北新幹線規則第16条の2第1項第2号で同じ線路として扱われますが、一方で同条第2項第9号では仙台・一ノ関間の駅(両端駅を除く)を発着又は接続駅とする場合は線路が異なるものとして扱うとも定めています。仙台・一ノ関間の駅である東北本線松島を東北本線(東北接続線・仙石東北ライン)への接続駅としていますので、別の線路として扱われ、仙台(東北本線)松島……一ノ関(東北新幹線)仙台の経路での発売が可能となります。


ところで「BRT線を含む乗車券はマルスのみで発売し、出札補充券での発売は行わない」と聞いたことがあります。
確かにJR西日本ではPOS端末、車内補充券発行機がBRT区間運賃に対応していないこともあり、マルスでしか発売できない(出札補充券での発売も不可)と聞いたことはあります。しかしJR東日本のPOSはBRT区間運賃が登録されており、鉄道→BRT(割引区間含む)、鉄道→BRT→鉄道といった形態の乗車券も発売可能です。
この乗車券の購入を申し出た際も「発売は可能ですが、手書きのきっぷになります」と、BRT区間を含み補充券になるから売れないと断られることもありませんでした。JR東日本JR西日本で扱いが異なるのかもしれません(※)。
※過去の例で言えば、複数の連絡会社線を経由する通過連絡乗車券の扱いJR東日本は不可、JR西日本は可と異なっていました。

立川→仙台の乗車券は全区間JR線です。旅客営業規則上、JR線内相互で発売しないと明示されているのは規則第16条の5に規定される常磐線北千住・綾瀬間のみですが、規則第17条のBRT区間で「別に定める」扱いが会社ごとに異なるのでしょうか。運送条件の割には「別に定める」ものが公開されていませんので詳細は不明です。

(東海道本線(新幹線)、山陽本線(新幹線)、東北本線(新幹線)、高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)、信越本線(新幹線)及び鹿児島本線(新幹線)に対する取扱い)
第16条の2 次の各号の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区とは、同一の線路としての取扱いをする。

(1) 東海道本線山陽本線中神戸・新下関 東海道本線(新幹線)及び山陽本線(新幹線)中新神戸新下関
(2) 東北本線 東北本線(新幹線)
(3) 高崎線上越線及び信越本線 高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)及び信越本線(新幹線)
(4) 鹿児島本線中博多・新八代間及び川内・鹿児島中央 鹿児島本線(新幹線)中博多・新八代間及び川内・鹿児島中央

2 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間内の駅(品川、小田原、三島、静岡、名古屋、米原、新大阪、西明石、福山、三原、広島、徳山、福島、仙台、一ノ関、北上、盛岡、熊谷、高崎、越後湯沢、長岡、新潟、博多、久留米、筑後船小屋及び熊本の各駅を除く。)を発駅若しくは着駅又は接続駅とする場合は、線路が異なるものとして旅客の取扱いをする。
(1)〜(8) 略
(9)仙台・一ノ関間
(以下略)

(常磐線北千住・綾瀬間相互発着となる旅客の取扱い)
第16条の5 常磐線北千住・綾瀬間相互発着となる旅客に対しては、乗車券類の発売を行わないものとする。

(気仙沼線柳津・気仙沼間及び大船渡線気仙沼・盛間の特殊取扱)
第17条 気仙沼線柳津・気仙沼間及び大船渡線気仙沼・盛間の一部又は全部の区間を乗車する旅客の取扱い等については、別に定める。

(特定都区市内にある駅に関連する片道普通旅客運賃の計算方)
第86条 次の各号の図に掲げる東京都区内、横浜市内(川崎駅、尻手駅八丁畷駅及び川崎新町駅並びに鶴見線各駅を含む。)、名古屋市内、京都市内、大阪市内(新加美駅を除く。)、神戸市内(道場駅を除く。)、広島市内(海田市駅及び向洋駅を含む。)、北九州市内、福岡市内(姪浜駅下山門駅今宿駅九大学研都市駅及び周船寺駅を除く。)、仙台市内又は札幌市内(以下これらを「特定都区市内」という。)にある駅と、当該各号に掲げる当該特定都区市内の◎印の駅(以下「中心駅」という。)から片道の営業キロが200キロメートルを超える区間内にある駅との相互間の片道普通旅客運賃は、当該中心駅を起点又は終点とした営業キロ又は運賃計算キロによつて計算する。
ただし、特定都区市内にある駅を発駅とする場合で、普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内の外を経て、再び同じ特定都区市内を通過するとき、又は特定都区市内にある駅を着駅とする場合で、発駅からの普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内を通過して、その特定都区市内の外を経るときを除く。
(以下略)