JR・阪神連絡乗車券での接続駅の選択

神戸から梅田への片道乗車券です。着駅は「阪神梅田」とあるとおり、阪神電気鉄道の梅田駅です。


三ノ宮・神戸三宮を接続駅とするJR西日本阪神電気鉄道の連絡乗車券で、経路は神戸(東海道本線)三ノ宮・神戸三宮(阪神本線)梅田営業キロ・運賃はJR西日本2.5km 120円、阪神電気鉄道31.2km 320円で合計440円です。

三ノ宮・神戸三宮を接続駅とするJR西日本阪神電気鉄道の連絡範囲は以下のとおりです。普通乗車券の連絡運輸はJR西日本のみ発売し、阪神側での発売はありません。
JR西日本東海道本線 米原〜尼崎間・神戸(※)、おおさか東線福知山線 塚口篠山口間、山陽本線 朝霧〜姫路間、関西本線 木津〜久宝寺間、片町線阪和線
阪神電気鉄道阪神本線 梅田・野田・尼崎・甲子園・西宮・香櫨園・芦屋・御影・神戸三宮、阪神なんば線 千鳥橋
京都市内・大阪市内・神戸市内の各駅を含む。

この乗車券は券面記載通り三ノ宮を接続駅とする阪神への連絡乗車券なのですが、JR側の発駅が神戸・姫路間の場合は西日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則第78条第1号の規定により三ノ宮の他に元町接続での乗換も認められています。
阪神の場合は下記条文の通り定期券での接続駅選択が除外されておらず、現場でも主に定期券での利用が想定されているようですが普通乗車券での接続駅選択も可能です。

(接続駅の選択)
第78条 次の各号の区間に発着する乗車券を所持する旅客は、当該各号に掲げる駅のうち、任意の駅で連絡乗車することができる。
(1)西日本旅客鉄道株式会社線神戸・姫路間各駅と三ノ宮接続阪神電気鉄道株式会社線各駅との相互間 }三ノ宮駅又は元町駅
(2)旅客会社線各駅と新今宮接続南海電気鉄道株式会社線各駅との相互間(定期乗車券を所持する旅客を除く。) }新今宮駅又は難波駅
(注)各号の「各駅」とは、規程別表の連絡運輸区域の部に掲げる各駅をいう。


今回実際にJR・阪神元町駅で乗換を申し出てみました。どちらの駅の方も三ノ宮接続の連絡乗車券で元町を乗換駅に出来ることはご存知のようで、特に断られることはありませんでした。
ただしJR西日本の自動改札機は元町接続に対応していないようで、改札係員の方の指示通り自動改札機で乗り換えようとしたところ、下車前途無効の乗車券での途中駅下車=旅行終了として集札されてしまいました。左上の「神戸」の上の方にある穴は自動改札機が集札時に空けたものです。旅行終了していないという証明のため「誤入鋏[元町]」が押印されました。誤入鋏というよりは誤出場とでも言うべきでしょうか。
マルス発券の阪神連絡乗車券は元から阪神の自動改札機には対応しておらず、阪神元町駅入場時には改札スタンプが押印されました。JRと異なる様式が阪神元町駅を入場したという証とも言えます。

阪神との接続駅を三ノ宮・神戸三宮の他に元町も選択できるのはどういう意図によるものかはよくわかりません。
乗換は元町のほうが近いですが、JR三ノ宮は新快速・快速・普通が停車、阪神神戸三宮は近鉄線方面快速急行の始発駅である一方、JR元町は新快速が通過します。元町接続を認めることで大きく利便性が上がるとも思えませんが、定期利用客への便宜措置なのでしょうか。


ところで神戸・姫路間を発駅として三ノ宮・神戸三宮接続で発売した乗車券を元町接続で利用すると、JRから見れば利用区間は短くなるため損することはありません。
一方で阪神からすれば自社の利用区間は長くなり、当初支払った運賃よりも高くなることで差額を取り逸れる可能性があります。そこで神戸三宮・元町から三ノ宮接続の各駅の運賃を比較してみます。

  神戸三宮から 元町から
梅田 320 320
野田 300 300
尼崎 280 280
甲子園 270 270
西宮 270 270
香櫨園 270 270
芦屋 240 240
御影 190 190
千鳥橋 300 300

偶然かどうかは分かりませんが、連絡範囲内の各駅は全て神戸三宮と元町で運賃が同額でした。
従って三ノ宮・神戸三宮接続で発売した乗車券で元町接続を認めることにより、鉄道会社が運賃的に損することはないようです。旅客は損してしまうかもしれませんが……。