東海旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則

JR東海の運送約款のページにおいて、旅客連絡運輸規則が公開されました。
いつ公開されたかは不明ですが、JR6社で連絡運輸規則がウェブに公開されるのは初めての事例ではないでしょうか。
※JRに限らなければ都営地下鉄(東京都地下高速電車連絡運輸規程)横浜市営地下鉄(横浜市高速鉄道連絡運輸規程)仙台市営地下鉄(仙台市交通局連絡運輸取扱規程)京都市営地下鉄(京都市高速鉄道連絡運輸規程)福岡市営地下鉄(福岡市高速鉄道連絡運輸規程)など、公営鉄道では公開されているところもあります。

今まで連絡運輸規則は、中央書院などから発売されていた過去の冊子から入手できる情報だけが頼りでしたが、最新の情報はわからないのが実情でした。
気になるところを取り上げてみます。

(乗車区間の選択)
第77条 次の各号の旅客は、当該各号に掲げる区間のうち、いずれか一方を選択して乗車することができる。
(1)旅客規則第69条第1項及び第157条第1項に規定する区間発着の普通乗車券を所持する旅客 }同条に規定する区間又は経路
(2)第75条第1項第1号イの(ロ)に規定する区間発着の普通乗車券を所持する旅客 }東京、大阪又は福岡付近旅客会社線大都市近郊区間内の経路

乗車券の選択乗車が連絡乗車券のJR部分にも適用されることを定めていますが、この条文は以下のとおりかつて第3号が規定されていました。

(乗車区間の選択)
第77条 次の各号の旅客は、当該各号に掲げる区間のうち、いずれか一方を選択して乗車することができる。
(1)略
(2)略
(3)旅客会社線藤沢駅接続小田急電鉄株式会社線片瀬江ノ島又は江ノ島電鉄株式会社線江ノ島着の普通乗車券を所持する旅客 }小田急電鉄株式会社線の藤沢・片瀬江ノ島間又は江ノ島電鉄株式会社線の藤沢・江ノ島

藤沢接続の片瀬江ノ島江ノ島着の連絡乗車券に限り、小田急江ノ電を選択乗車できるというものです。
国鉄時代はこのような会社線での選択乗車が多数設定されていましたが徐々に廃止され、最期まで残っていたのがこの片瀬江ノ島江ノ島の選択乗車でした。会社線側現場での運用も殆ど無かったようでなぜ残っていたのか不明でしたが、廃止されたようです。


もう一件、別の条文を見てみます。

(接続駅の選択)
第78条 次の各号の区間に発着する乗車券を所持する旅客は、当該各号に掲げる駅のうち、任意の駅で連絡乗車することができる。
(1) 西日本旅客鉄道株式会社線神戸・姫路間各駅と三ノ宮接続阪神電気鉄道株式会社線各駅との相互間 }三ノ宮駅又は元町駅
(2) 旅客会社線各駅と新今宮接続南海電気鉄道株式会社線各駅との相互間(定期乗車券を所持する旅客を除く。) }新今宮駅又は難波駅
(注) 各号の「各駅」とは、細則別表の連絡運輸区域の部に掲げる各駅をいう。

それぞれ三ノ宮(阪神は三宮)接続の阪神連絡乗車券で乗換駅を元町にできること、新今宮接続の南海連絡乗車券で乗換駅を難波にできることを定めています。
この条文は77条の江ノ島関係と異なり、現在も廃止されていないようです。ただし現場で認知されているかどうかは微妙なところです。

旅客連絡運輸規則別表も公開されていますので、連絡運輸を取り扱う会社線、接続駅、取り扱う乗車券類は読み取れます。しかし旅客連絡運輸取扱基準規程別表(JR東海では旅客連絡運輸取扱細則別表)については公開されていませんので、具体的な連絡範囲は不明です。
連絡運輸規則は連絡乗車券発売の根拠ですのでJR東海以外の各社でも公開されるといいのですが、あとに続く会社があるかどうか……。