東武線池袋から浅草への連続乗車券

池袋から浅草への連続乗車券です。東武鉄道の特別補充券で発売されました。
発駅は「東武池袋」とあります。


経由は「下記」とあり、記事欄の記載は「池袋-小川町-金島-伊勢崎-浅草」とあります。

この乗車券の経路としては以下のとおりです。
連続1:池袋(東上線)小川町(八高線)倉賀野(高崎線)高崎(上越線)渋川(吾妻線)金島
連続2:金島(吾妻線)渋川(上越線)新前橋(両毛線)伊勢崎(伊勢崎線)浅草

JR線を介した東上線系統と伊勢崎線系統の三線連絡運輸は2014年3月をもって廃止されましたが、東武→JR+JR→東武の形態となる連続の連絡乗車券は現在も発売可能なようです。

連続1は東武鉄道64.1km 810円、JR東日本70.2km 1320円で134.1km 2130円、連続2はJR東日本34.6km 670円、東武鉄道114.5km 1200円で149.1km 1870円で発売額は4000円です。
吾妻線は2014年9月30日までは大都市近郊区間に含まれない路線でしたので、連続1と連続2の有効日数2日ずつを合算した4日が有効日数です。現在はJR線が全区間大都市近郊区間内ですので2日間有効、下車前途無効(小川町・金島・伊勢崎を除く)となります。

東武鉄道JR東日本は、連絡乗車券として連続乗車券を扱っています。連続2はJR→社とJR線の駅発ですが連続乗車券であれば発売可とのことでした。東武鉄道の連絡運輸に関する規則は未確認ですが、東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則においては第14条、第16条で連続乗車券の発売条件を以下のように定めています。

(乗車券類の発売範囲)
第14条 略
(注1)連続乗車券は、各区間ごとの発着駅が連絡運輸区域内にあり、かつ、連絡会社線区間については、規程別表に示されている連絡会社線旅客運賃に基づいて運賃計算ができる場合に限って発売する。

(普通乗車券の発売)
第16条 旅客が列車等に乗車船する場合は、次の各号に定めるところにより、片道乗車券、往復乗車券又は連続乗車券を発売する。
(1)片道乗車券  普通旅客運賃計算経路の連続した区間を片道1回乗車船(以下「片道乗車」という。)する場合に発売する。ただし、旅客規則第68条第4項の規定により営業キロ擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する場合は、当該打切りとなる駅までの区間のものに限り発売する。
(2)往復乗車券 略
(3)連続乗車券 前各号の乗車券を発売できない連続した区間(当該区間が2区間までのものに限る。)をそれぞれ1回乗車船(以下「連続乗車」という。)する場合に発売する。

以下、東武鉄道では旅客鉄道会社の旅客連絡運輸規則を概ね準用している前提で考察してみます。
区間(連続1・2)ごとの発着駅である東武線池袋→JR線金島(小川町接続)、JR線金島→東武線浅草(伊勢崎接続)はどちらも発着駅・接続駅が連絡範囲内であり連続乗車券として発売可能と解釈できます。
一方で、東武線池袋(連続1発駅)から東武線浅草(連続2着駅)は前述のとおり三線連絡運輸が廃止されているため、この区間は発売不可との解釈も考えられます。個人的には前者の解釈ではないかと思っています。
東武鉄道における連続乗車券の発売要件がどのようになっているのか不明ですが、どこかへ確認された結果連続乗車券で発売可であるとの回答を頂きましたので、連続1・2ごとに連絡運輸区域を判定するようになっているか、もしくは上記のJRの連絡運輸規則とは異なる発売条件が定められているのかもしれません。詳細はよくわかりません。

前述のとおり大都市近郊区間外への乗車券ですので、東武線(東上線伊勢崎線)を含め全区間での途中下車が可能です。どの駅でも特に断られることはなく途中下車を認めて頂けましたが、東上線内で伺った駅ではどこも下車印がないようでそのまま下車しました。


ところで連続乗車券を特別補充券で発売する場合JRでは連続1・2で1枚ずつ合計2枚使用しますが、東武鉄道ではご覧のとおり1枚で発売することとなっています。
新前橋と渋川の途中下車印が2つずつ押印されているのは、連続1の途中下車印を(ゆき)欄に、連続2の途中下車印を(かえり)欄に押印されたためです。折り返し駅となる金島駅では東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第144条第3項(旅客連絡運輸取扱基準規程第32条で準用)により連続1の区間が使用済みであることの証明として途中下車印の押印が必要ですが、同駅は無人駅ですので特に何もありません。

【旅客営業取扱基準規程】
(途中下車印の押なつ方)
第144条 旅客が途中下車をした場合は、自駅名を表示した次に掲げる途中下車印を当該乗車券の表面に押すものとする。(様式略)
2 前項の場合、他に同一駅名があるときは、所属線名を左方に表示するものとし、また、駅名文字の多いもの又は字画の複雑なものは、略字又はひらがなを使うことができる。
3 往復乗車券又は連続乗車券として発行した1枚の出札補充券、改札補充券又は車内補充券を所持している旅客が、往路の着駅又は旅客運賃の計算が打切りとなる駅で下車をする場合は、往路又は当該駅までの旅行を終えた証として、途中下車印を押さなければならない。
4 乗車券に途中下車印を押す場合、すでに多数の途中下車印が押されているため、券面表示事項を不明にするおそれがあるときは、当該乗車券の裏面に押すものとする。ただし、当該乗車券の表面及び裏面とも余白がなくなつたときは、駅又は乗務員において当該乗車券を回収し、前途の乗車用として改札補充券又は車内補充券を発行して旅客に交付するものとする。
5 乗車券に誤つて途中下車印を押した場合は、これにまつ線を引き、券面に「誤なつ」と記入のうえ、駅名小印を押して、その証明をするものとする。
6 乗車券に押した途中下車印が明らかでない場合は、別に途中下車印を押したうえ、駅名小印を押してその証明をするものとする。

【旅客連絡運輸取扱基準規程】
(準用規定)
32条 乗車券類の効力については、旅客規程第138条、第139条、第141条、第144条から第146条まで、第159条から第163条まで、第168条、第169条、第171条及び第176条の規定を準用する。
(注)準用する旅客規程の内容は、次のとおりである。
第138条 乗車券の使用条件の特例
第139条 券面表示事項が不明又は不備の乗車券類の取扱方
第141条 乗継列車の指定
第144条 途中下車印の押なつ方
第145条 接続駅で一時出場させる場合の取扱方
第146条 団体旅客の前途乗車船の権利放棄
第159条 途中下車禁止の乗車券に対する途中下車の特例扱い
第160条 定期乗車券の無効の特例
第161条 特定区間内等に下車した場合の取扱方
第162条 乗車券を無効とする場合の特区例
第163条 乗車列車等を指定した乗車券の効力の特例
第168条 座席既使用の場合の取扱方
第169条 急行券を無効とする場合の特例
第171条 座席既使用の場合等の取扱方
第176条 座席既使用の場合等の取扱方

東武鉄道JR東日本の連絡運輸におけるJR東日本側の連絡範囲は以下のとおりです。
【小川町接続・伊勢崎接続】
東海道本線、山手線、赤羽線南武線鶴見線武蔵野線横浜線横須賀線中央本線 東京〜甲府間、青梅線五日市線八高線東北本線 東京〜黒磯間・尾久・北赤羽〜北与野間、常磐線 日暮里〜日立間、川越線高崎線上越線 高崎問屋町〜水上間、吾妻線両毛線水戸線日光線烏山線信越本線 北高崎〜横川間、総武本線京葉線外房線内房線成田線東金線

東武鉄道の連絡範囲は接続駅ごとに異なります。
【小川町接続】東上線越生線
【伊勢崎接続】伊勢崎線亀戸線 亀戸、大師線 大師前、佐野線、小泉線桐生線 太田〜相老間


2014年4月1日以降、東武鉄道JR東日本への連絡乗車券のうち新幹線を経由するものは発売できないようになりました。JRへの連絡範囲で唯一大都市近郊区間に含まれていなかった吾妻線Suica導入にあわせて大都市近郊区間に含まれる路線となりましたので、東上線越生線に関係する普通乗車券で途中下車できるものはないと考えられます。東武鉄道の普通乗車券で途中下車できるものは野岩線経由 会津線3社連絡(片道100kmを超えるもののみ)、野岩線・会津線経由 JR会津若松4社連絡くらいでしょうか。