JR線・近鉄線の連絡乗車券

広島市内から大和八木への片道乗車券です。

経由欄には「広島・新幹線・新大阪・鶴橋・近鉄線」とあります。広島(山陽新幹線)新大阪(東海道本線)大阪(大阪環状線)鶴橋(大阪線)大和八木の経路です。

JRと近鉄の接続駅である鶴橋は大阪市内に含まれ、鶴橋に接続する近鉄線の駅を着駅としていますので西日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則第46条の規定により、JR線の運賃計算は広島(市内)→大阪(市内)となり、これと近鉄線 鶴橋→大和八木を合算します。
当時の運賃では、JR線は広島→大阪337.8km 5460円、近鉄線33.7km 540円で合計371.5km 6000円です。3日間有効で下車前途無効でない乗車券ですが、近鉄線はJR線との長距離の連絡乗車券においても途中下車を認めていないため途中下車できるのはJR線区間(広島市内各駅を除く)のみということになります。
現在は運賃が改定されJR線5620円、近鉄線560円で合計6180円です。



JR線との長距離の連絡乗車券は近鉄でも発売しています。生駒から広島市内への片道乗車券です。

近鉄ASKA端末では長距離の連絡乗車券は発売できないようで、特殊補充券で発売されました。小田急のMSR端末と似たような事例です。
経由欄は「鶴橋、東海、山陽」で、経路としては生駒(奈良線)布施(大阪線)鶴橋(大阪環状線)大阪(東海道本線)神戸(山陽本線)広島です。

近鉄の特殊補充券は裏面に「下車前途無効」とあらかじめ印字されているため、抹線+駅名小印で訂正されました。ただし発売時に近鉄では途中下車できない、と口頭で伝えられました。
当時の運賃では近鉄線17.2km 340円、JR線337.8km 5460円で発売額は5800円となります。現在は近鉄線350円、JR線5620円で5970円です。



広島市内から津への片道乗車券です。
経由欄は「山陽・東海・大阪環・京橋・鶴橋・近鉄線・松阪・紀勢」とあります。鶴橋・松阪間で近鉄線を経由する通過連絡の乗車券です。

この乗車券の経路は広島(山陽本線)神戸(東海道本線)大阪(大阪環状線)鶴橋(大阪線)伊勢中川(山田線)松阪(紀勢本線)津です。通過連絡運輸ですので、前後のJR線営業キロを通算し会社線運賃と合算したものが発売額となります。

この乗車券は広島を発駅とし、津(JR線)が着駅です。鶴橋駅大阪市内の駅ではありますが、通過連絡運輸の場合の接続駅は、西日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則が定める特定都区市内適用の条件である「(特定都区市内)にある旅客会社線の駅又はその駅に接続する連絡会社線の駅を発駅又は着駅とする場合」に当てはまりません。着駅が鶴橋や、鶴橋に接続する近鉄線の駅であれば特定都区市内が適用されます。

したがって運賃・営業キロの計算は以下のようになります。「広島(市内)→大阪(市内)」+「松阪→津」とはなりません。
JR1:広島(市内)→鶴橋 345.5km、JR2:松阪→津 19.1km
近鉄:鶴橋→松阪 116.2km 1560円
JR線の営業キロは合計で364.6km 6260円、近鉄線と合わせて7820円が発売額となります。営業キロの合計は480.8kmですので4日間有効です。通過連絡の場合も、近鉄線内では途中下車できません。



一部の掲示板等では鶴橋を接続駅とする近鉄線連絡乗車券のうち、JR西日本側の連絡範囲が縮小され広島市内・岡山などの長距離の連絡乗車券が発売できなくなったと書き込まれていました。
実際、平成25年の初頭に広島市内のとある駅で伺ってみたところ、近畿日本鉄道株式会社線のページに上から改訂分の紙が貼り付けられており、広島市内から近鉄線は連絡範囲外で発売出来ないと説明されました。しかしながら他の駅ではそのような修正がなく、実態はよくわからない状態となっていました。
同時期に近鉄にも連絡範囲を確認してみましたが、鶴橋接続のJR線連絡範囲は縮小されてはいないとの回答で、実際平成24年12月に生駒→広島市内の連絡乗車券を購入出来ました。

なお平成26年4月1日に消費税増税に合わせて改訂された西日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則別表・旅客連絡運輸取扱基準規定別表では、近畿日本鉄道株式会社線の連絡範囲に「広島」の記載があり、連絡乗車券・通過連絡の乗車券は現在も発売可能となっています。


鶴橋を接続駅とするJR線と近鉄線の連絡範囲は以下のとおりです。
JR西日本東海道本線 京都〜神戸間(※)、山陽本線 姫路・岡山・倉敷・福山・尾道・広島(市内)、宇野線 宇野、関西本線 志紀〜久宝寺間、片町線 河内磐船〜徳庵間、阪和線 浅香〜久米田間、紀勢本線 和歌山
近畿日本鉄道大阪線 大阪上本町〜大和八木間・桜井・室生口大野・赤目口・名張難波線信貴線、山田線 松阪・宇治山田、奈良線天理線 天理
京都市内・大阪市内・神戸市内の各駅を含む。


JR線と近鉄線の通過連絡は以下の範囲で行っています。
近畿日本鉄道 鶴橋・松阪間を経由し、鶴橋接続のJR西日本連絡範囲(前述)と、松阪接続のJR東海連絡範囲相互間

松阪接続のJR東海連絡範囲は以下のとおりです。
JR東海紀勢本線 一身田〜賀田間・熊野市・新宮(※)、参宮線 外城田〜伊勢市
新宮駅JR西日本管理

(特定都区市内にある旅客会社線駅又はこれに接続する連絡会社線駅発着旅客に対する旅客会社線区間の片道普通旅客運賃の計算方)
第46条 東京都区内、横浜市内(川崎駅、尻手駅八丁畷駅及び川崎新町駅並びに鶴見線各駅を含む。)、名古屋市内、京都市内、大阪市内(新加美駅を除く。)、神戸市内(道場駅を除く。)、広島市内(海田市駅及び向洋駅を含む。)、北九州市内、福岡市内(姪浜駅下山門駅今宿駅九大学研都市駅及び周船寺駅を除く。)、仙台市内又は札幌市内(以下これらを「特定都区市内」という。)にある旅客会社線の駅又はその駅に接続する連絡会社線の駅を発駅又は着駅とする場合であって、旅客規則第86条に規定する当該特定都区市内の中心駅(以下「中心駅」という。)から、旅客会社線営業キロが片道200キロメートルを超える区間内にある駅との場合の旅客会社線区間の片道普通旅客運賃は、当該中心駅を起点又は終点とした営業キロ又は運賃計算キロによって計算する。
ただし、特定都区市内にある駅又はその駅に接続する連絡会社線の駅を発駅とする場合で、普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内の外を経て、再び同じ特定都区市内を通過するとき、若しくは特定都区市内にある駅又はその駅から接続する連絡会社の駅を着駅とする場合で、発駅からの普通旅客運賃の計算経路が、その特定都区市内を通過して、その特定都区市内の外を経るときを除く。
(以下略)