区間変更時の変更区間起点における特定都区市内の適用(基準規程第235条)

新大阪から広島市内への区間変更券です。

JR西日本の改札補充券で発行されました。

 

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この区間変更券は、和歌山→名古屋市内262.7km 4750円(消費税率8%のときの運賃。以下同じ)の片道乗車券を原券に、新大阪から先の方向を変え、広島までに変更したものです。西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、旅客規則)第249条第1項第2号に規定される区間変更です。

原券の経路は和歌山(阪和線)天王寺(大阪環状線)大阪(東海道本線)新大阪(東海道新幹線)名古屋、変更区間の経路は新大阪(山陽新幹線)広島です。

 

原券が片道100kmを超え、かつ大都市近郊区間内相互の乗車券でないため、同条第2項第1号のイの(ロ)により扱われ、不乗区間と変更区間の差額を収受して変更となります。

この場合の不乗区間は新大阪→名古屋で188.6km 3350円、変更区間は新大阪→広島市内(旅客規則第86条の規定により運賃計算は大阪→広島の337.8km)で5620円、差額の2270円が収受額となります。

 

変更区間が片道200kmを超えていますので終点側は広島市内となっていますが、起点側は大阪市内ではなく新大阪です。

これは西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第235条第3号のエの規定により、特定都区市内、東京山手線内、大阪・新大阪を適用する場合であっても、発着駅以外は特定都区市内を適用せず単駅とする規定によるものです。

このため、変更区間の起終点がともに特定都区市内に属し、中心駅間の営業キロが片道200kmを超える変更であっても片側は単駅、他方は特定都区市内という少し変わった券面となります。

変更の起点側には特定都区市内は適用されていませんので、この区間変更券では経路上の大阪市内各駅を含む広島市内以外の各駅で途中下車が可能です。

 

なお、和歌山→広島市内は阪和線大阪環状線東海道本線・新大阪・新幹線経由で417.7kmですので、はじめから通しで買えば6800円、4日間有効です。

区間変更は旅客規則第246条の規定により、原券の有効日数から経過日数(変更の当日は含めない)を引いたものよりも変更区間から経過日数(変更の当日は含めない)を引いたものの方が多い場合を除き、原券の有効日数から経過日数(変更の当日は含めない)を引いた日数となります。

 

今回の場合、原券は3日有効、変更区間も3日有効、経過日数は0日(変更の当日は含めない)ですので区間変更券も3日間有効です。原券4750円と区間変更の収受額2270円をあわせて合計支払い額は7020円です。

通しで買うより高く、有効日数も短くなってしまいました。

 

なお、券面の強引な訂正や原券欄、収受額の微妙な数字(基準規程第195条第1項第4号但し書き)など気になることが多い区間変更券ですので、発行箇所は伏せておきます。新大阪駅ではありません。

 

基準規程

(乗車券類の訂正方)
第195条 乗車券類に表示した事項は、次の各号に掲げる事項に限つて、発行の際までに訂正することができる。この場合における訂正を要する原記入文字(数字の場合はその一連の全部)は、明読できる範囲でまつ線2条を引くものとする。
(1) 他駅から配付を受けた乗車券類を発売する場合の発駅名、着駅名又は発行駅名
(2) 他駅乗車の補充乗車券を発売する場合の発駅名又は着駅名
(3) 他駅乗車の急行券、特別車両券、寝台券又は座席指定券を発行する場合の乗車駅名、下車駅名又は発時刻
(4) 複写式のもので、各片を同時に一筆で訂正できる場合。ただし、出札補充券、改札補充券、料金専用補充券及び車内補充券の領収額欄に記入した金額(記事欄に記入した概算金額を含む。) を訂正することはできない。
2 前項の場合、訂正箇所に駅名小印(乗務員にあつては、認印)を押さなければならない。
 
(一般用特別補充券の各欄の記入方)
第235条 出札補充券、改札補充券、料金専用補充券及び車内補充券の各欄の記入方は、次の各号に定めるとおりとする。
(1)〜(2) 略
(3) 収受又は変更区間欄は、次により記入する。
ア〜ウ 略
エ 変更区間に対して、規則第86条から同第88条までの規定を適用する場合、発駅名又は着駅名以外は、「品川」の例により記入する。
(以下略)