旅客連絡運輸規則第6条

八丁堀から小田原への片道乗車券です。松田・新松田接続のJR→小田急連絡乗車券で、着駅は「(小田急線)小田原」とあります。
JR東海の駅で購入し、JR東日本を経由する乗車券ですので(3−タ)と印字されています。


小田急線は接続各駅からの社線営業キロ・運賃がマルスシステムに登録されているため(※)、区間と経路を指定することで金額入力を行うことなく連絡乗車券を発券できます。
※新宿接続 小田急線登戸、登戸接続 小田急線新宿を除く

この乗車券の経路は八丁堀(京葉線)東京(東海道新幹線)品川(東海道本線)国府津(御殿場線)松田・新松田(小田原線)小田原です。
営業キロ・運賃はJR線が89.1km 1450円(当時。現行1490円)、小田急線が10.7km 210円(同220円)、合計で99.8km 1660円(同1710円)となります。
大都市近郊区間に含まれない御殿場線を経由していますが片道営業キロが100kmを超えていませんので、1日間有効で下車前途無効となっています。



ところで東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則(以下、連規)第6条では、以下のように定められています。

【旅客連絡運輸規則】

(キロ程のは数計算方)
第6条 キロ程を計算する場合、関係運輸機関のキロ程(旅客会社のキロ程は通算したキロ程。以下同じ。)に1キロメートル未満のは数があるときは、旅客会社と各連絡会社ごとに、これを1キロメートルに切り上げる。


旅客会社と各連絡会社ごとに1kmに切り上げ、とありますので、前述の営業キロは以下のようになります。

JR線:89.1km→90km、小田急線:10.7km→11km

これを合算すると101kmとなり、今回の区間の乗車券は「2日間有効・途中下車可(下車前途無効でない)」の効力で発売するのが正当ということになります。
すなわち「切り上げて合算」です。

一方でマルスシステムは、JR線と会社線営業キロを0.1km単位で合算した結果が100.1km(切り上げで101km)以上であるかどうかで判定しているようで、「合算して切り上げ」となっています
連規では「旅客会社と各連絡会社ごとに」と明記しており、マルスシステム側が誤っているものと思われます。



正当な効力の乗車券についてはマルスシステムでは発券できないため、出札補充券が用いられます。
八丁堀から小田原への片道乗車券です。


JR東日本で購入した時も、当初はマルスシステムが発券する「1日間有効・下車前途無効」の乗車券が発券されましたが、営業キロの計算上「2日間有効・途中下車可」ではないかと伺ってみました。確認してみます、と調べて頂いた結果、2日間有効・途中下車可が正当だがマルス発券不可のため補充券で発券となる、とのことでした。記事欄には「マルス指令確認」と記載されています。

出札担当者がマルスシステムの計算方法を疑うようなことはまず考えられず、通常はマルスシステムが発券する乗車券が正当とすると思われます。連規に「切り上げて合算」が規定されているとはいえ、実質的には「合算して切り上げ」が現場での取扱いとなっているのが現実です。POS端末や小田急電鉄のMSR端末でも同じ結果(合算して切り上げ)でした。


このようにギリギリで途中下車ができない乗車券となってしまう場合、一つ隣の駅を発駅または着駅として営業キロを伸ばす方法も考えられます。
しかし今回の場合は発駅を八丁堀から越中島にするとJR線営業キロは89.1kmから90.7kmとなりJR線運賃が1450円から1620円に上がってしまいます。JR・小田急の普通乗車券における通過連絡運輸は廃止されていますので、着駅を小田原より先のJR線に伸ばすこともできません。
なお、発駅を秋葉原とすると秋葉原→松田間89.9kmですので、新松田→小田原間10.7kmと合わせて100.6kmとなり、マルスシステムでも1660円(現行1710円)で2日間有効かつ途中下車可の乗車券とすることができます。