東京急行電鉄への85mm連絡乗車券

立川から大倉山への片道乗車券です。

首都圏の連絡乗車券はほとんどの会社線の運賃がマルスシステムに登録されていないために金額入力操作が必要となるのですが、例外的に運賃が登録されているところもあります。

そのひとつが横浜駅接続の会社線です。
東京急行電鉄京浜急行電鉄相模鉄道横浜駅を接続駅とした一定の範囲に限ってはマルスシステムに運賃が登録されており、JR完結の乗車券とほぼ同様の操作で発券が可能です。ただし横浜接続の会社線全駅が登録されているわけではなく、同額の運賃で横浜から最も遠い駅のみが登録されているようです。

東京急行電鉄の場合、横浜接続の150円区間は妙蓮寺・菊名・大倉山なのですが運賃が登録されているのは大倉山のみで、妙蓮寺・菊名は「口座なし」がマルスシステムから回答されます。連絡範囲ではあるので「口座なし」であっても金額入力操作を行えば発券は可能なのですが、なぜこのようになっているのかはよくわかりません。

経路は以下のとおりです。
立川(中央本線)西国分寺(武蔵野線)武蔵浦和(東北本線大宮)大宮(東北新幹線)上野(東北本線)東京(東海道本線)横浜(東横線)大倉山

JR線は1530円(97.1km)、東急線は150円(6.7km)です。合計103.8kmで100kmを超えており、東北新幹線経由であることから大都市近郊区間内相互発着の乗車券でないため、途中下車が可能となります。なお、東急線の自動改札はマルス発券の連絡乗車券での入場・途中下車にも対応しています。

右上に途中下車印が押印されています。
感熱マルス券のデメリットとしてインクが擦れやすく、なにが書かれているのか全く読めませんが新宿駅の下車印です。


この乗車券ですが、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第70条に規定される区間は最短経路で運賃計算を行い、経路は指定しません。

第70条 第67条の規定にかかわらず、旅客が次に掲げる図の太線区間を通過する場合の普通旅客運賃・料金は太線区間内の最も短い営業キロによつて計算する。この場合、太線内は、経路の指定を行わない。

今回の場合、運賃計算上は赤羽〜品川間の最短経路である赤羽(東北本線)東京(東海道本線)品川で計算されますが、経路が重複しない限りは最短経路以外の乗車と途中下車が可能となります。ただし、磁気情報は運賃計算に用いた最短経路しか含まれていないことから、最短経路以外の駅での途中下車は自動改札機が対応していません。
このため新宿駅での途中下車時は自動改札機ではなく有人改札へ向かう必要があります。

また、以下のような経路で乗車する場合において制度上は神田→秋葉原の順で途中下車が可能ですが、磁気情報としては経路を戻っていることになります。このため神田で途中下車した後の秋葉原での途中下車は同じく自動改札機が対応していません。

赤羽(赤羽線)池袋(山手線)新宿(中央東線)神田(東北本線)秋葉原(総武本線2)錦糸町(総武本線)東京(東海道本線)品川



なお、横浜を接続駅としたJR東日本から東京急行電鉄への連絡範囲は以下のとおりです。
JR東日本東海道本線(※)、南武線武蔵野線横浜線横須賀線、相模線、伊東線中央本線 吉祥寺〜甲府間、青梅線五日市線東北本線 川口〜宇都宮間・戸田公園〜北与野間、常磐線 松戸〜水戸間、川越線高崎線両毛線総武本線京葉線外房線内房線成田線
東京急行電鉄東横線目黒線東急多摩川線大井町線、池上線、田園都市線 二子玉川〜つくし野間
※東京都区内・横浜市内の各駅を含む

今回は100kmを超えるためにJR区間が著しく遠回りとなっていますが、連絡範囲で定められているのは発駅・接続駅・着駅しかなく、経路は指定がありません。JR東日本管内完結であれば、例えば高崎〜青森〜東京〜横浜→東横線のような極端な遠回りでも規則上発売は可能かもしれませんが、実際は断られることでしょう。