5月26日、JR東日本は2014年10月1日から吾妻線の3駅(中之条駅、長野原草津口駅、万座・鹿沢口駅)へSuicaを導入すると発表しました。
同時に吾妻線でもIC取扱い駅では1円単位のIC運賃が適用されるようになり、大都市近郊区間の拡大も行われます。八ッ場ダム工事に伴う吾妻線線路切り替え工事、駅移転による営業キロの変更にあわせての実施です。
現在、吾妻線は新幹線を除く首都圏の路線において、唯一大都市近郊区間に含まれない路線となっています。Suicaも利用できません(※1)。
※1 久留里線・烏山線は大都市近郊区間に含まれてはいますが、Suicaの利用エリア外となっています。
今年4月1日の運賃改定に合わせて一部路線へのSuica導入と大都市近郊区間の拡大が行われた際にも、どういうわけか吾妻線は拡大対象外でしたが半年後の10月からSuicaに対応することとなりました。
4月に拡大された駅と同じくSuicaの発売・払戻し・再発行は取り扱わず、拡大区間を含むSuica定期券も発売しないことになっています。線内にSuica非対応の駅があり、入出場で利用が完結するSuica定期券とは相性が悪いのでしょう。
中之条、長野原草津口、万座・鹿沢口とも特急列車の停車駅であり、Suica導入は定期旅客というよりも首都圏から特急を利用する旅客を想定しているのでしょうか。その割には同じく特急停車駅の群馬原町と川原湯温泉では利用できませんが、利用者数との関係なのかもしれません。
金島から前橋への片道乗車券です。
経由は「吾妻・高崎線・武蔵野・横浜線・相模・東海・京葉・外房・総武・武蔵野・常磐・水戸線・両毛」とあります。
指定席券売機で発券する乗車券は、経路数が増えてくると適宜印字省略を行っていますが、省略する路線によっては経路がやや分かりづらくなってしまうこともあります。
この乗車券の経路は金島(吾妻線)渋川(上越線)高崎(高崎線)大宮(東北本線[埼京線])武蔵浦和(武蔵野線)西国分寺(中央本線)八王子(横浜線)橋本(相模線)茅ヶ崎(東海道本線)東京(京葉線)蘇我(外房線)千葉(総武本線)西船橋(武蔵野線)新松戸(常磐線)友部(水戸線)小山(両毛線)前橋、以上16経路です。マルスシステムで発券できる最大の経路数でもあります。上越線・東北本線(埼京線)・中央本線の3路線が省略され、13路線が印字されています。
営業キロは539.8km、運賃8750円、吾妻線が大都市近郊区間に含まれない路線ですので、4日間有効で途中下車可となります。
なお運賃8750円は[区]東京都区内→[阪]大阪市内(556.4km)と同額です。
吾妻線は10月1日から大都市近郊区間に含まれる路線となるため、(現行)大都市近郊区間と吾妻線相互の乗車券においては営業キロによらず有効1日、下車前途無効となります。
大都市近郊区間内相互であれば東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第157条第2項の規定により選択乗車が可能ですので、金島(吾妻線)渋川(上越線)新前橋(両毛線)前橋、営業キロ21.8km 410円の乗車券による選択乗車で、前述の539.8kmの経路での乗車が可能ということになります。
なお現行の乗車券においても、金島(吾妻線)渋川と渋川(上越線)新前橋(両毛線)前橋の2枚の乗車券を購入し、大都市近郊区間内相互発着となる渋川→前橋の乗車券で選択乗車を行うこと自体は可能です。金島→渋川は5.5km 190円、渋川→前橋は16.3km 320円です。
2014年4月1日に東武鉄道とJR東日本の連絡運輸範囲が概ね大都市近郊区間内の路線に縮小されましたが、吾妻線は新幹線を除き唯一の大都市近郊区間外の連絡範囲です。
そのため過去にご紹介したように吾妻線内を発着とする乗車券は、片道100kmを超えていれば途中下車が可能となっています。
東武鉄道では、JR東日本への連絡乗車券のうち新幹線経由となるものを発売しないことが規定上明記されており(※2)、東上線から途中下車できる普通乗車券は吾妻線内着の乗車券のみとなっています。
これも今年9月30日までとなり、それ以降で東武鉄道で途中下車できる乗車券は(1)JR→東武の連絡乗車券で新幹線を経由させる、(2)東武線伊勢崎線系統から野岩鉄道経由の会津鉄道、(3)東武線から野岩鉄道・会津鉄道経由のJR只見線方面(発着駅限定)、の3通りしかなくなってしまうかもしれません。
※2 東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則別表・旅客連絡運輸取扱基準規程別表の東武鉄道株式会社線に記載あり。
(選択乗車)
第157条
（中略）
2 大都市近郊区間内相互発着の普通乗車券及び普通回数乗車券(併用となるものを含む。)所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、同区間内の他の経路を選択して乗車することができる。
