橋本から橋本への片道乗車券

橋本から橋本への片道乗車券です。
発駅はJR東日本 横浜線橋本駅、着駅は京王電鉄 相模原線橋本駅です。


経路は以下のとおりです。
橋本(横浜線)東神奈川(東海道本線)東京(東北新幹線)上野(東北本線)田端(山手線)新宿(京王線)調布(相模原線)橋本

京王電鉄線は各接続駅からの社線運賃がマルスシステムに入っていないため、金額入力操作が必要となります。接続駅コード「4646(新宿)」、社線運賃「440円」、社線営業キロ「38.1km」で発券できます。
発駅はJR西日本 和歌山線橋本駅と区別するため「(横)橋本」となっています。和歌山線橋本駅は「(和)橋本」です。一方で着駅は「(京王線)橋本」とはなっておらず、ただ「橋本」のみとなっています。橋本が普通乗車券の接続駅ではないためでしょうか。
この乗車券の券面には「京王」の文字が全くなく、接続駅の「新宿」が表示されるのみです。この乗車券を一目見て、京王線への連絡乗車券と判断するのはなかなか困難と思われます。

営業キロ・運賃はJR線77.9km 1250円、京王線38.1km 440円で合計116.0km、1690円です。東京・上野間で東北新幹線を経由していますので大都市近郊区間内相互発着の乗車券ではなく、片道100kmを超えていますので2日間有効で途中下車可となります。新宿接続の京王線橋本は、JR線→京王線への連絡運輸で最も社線運賃が高額となる区間です(渋谷接続 京王線橋本の場合、37.8km 440円で運賃は同額)。
なお営業キロの関係上、新宿→橋本(38.1km 440円、IC同額)より高尾→橋本(50.1km 470円、IC461円)の方が運賃が高くなりますが、高尾を接続駅とする場合の京王線側の連絡範囲は相模原線が京王多摩川のみですので、JR線橋本→京王線橋本(高尾接続)の連絡乗車券は発売できません。


この乗車券のJR線の経路としては橋本→新宿で、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第70条に定められる区間(以下、70条区間)を着駅とする乗車券となります。

規則第70条は東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則(以下、連規)第45条で準用されていませんので、70条区間の外から同区間内の駅を接続駅として会社線を経由する場合は、70条区間通過とはなりません。一方で70条区間を発着する乗車券の効力を定めた規則第160条は連規第79条で準用されています。
規則第160条の規定により70条区間内では迂回乗車が認められていますので、「品川(東海道本線)東京(東北新幹線)上野(東北本線)田端(山手線)新宿」の区間は「品川(山手線)新宿」で利用出来ることからか、遠回りとなる新幹線経由の経路を入力するだけではマルスシステムで発券できません。新幹線経由の経路で発券するには「補正禁止」を操作する必要があります。
なお、同条の規定により新幹線経由で発売した乗車券を、例えば品川(東海道本線)東京(東北本線)秋葉原(総武本線)御茶ノ水(中央本線)代々木(山手線)新宿のように70条区間内を営業キロの短くなる経路で利用することも可能です。

70条区間内を最安(または最短)経路で計算する場合は橋本(横浜線)東神奈川(東海道本線)品川(山手線)新宿(京王線)調布(相模原線)橋本となり、JR線は64.6km 1080円です。
京王線と合わせて102.7kmですが、JR線部分が大都市近郊区間内相互発着ですので営業キロによらず有効日数は1日で、接続駅の新宿を除き下車前途無効となってしまいます。


新宿を接続駅とするJR東日本京王電鉄の連絡範囲は以下のとおりです。
JR東日本東海道本線、山手線、赤羽線南武線鶴見線武蔵野線横浜線根岸線横須賀線、相模線、伊東線中央本線 東京〜小淵沢間、青梅線五日市線八高線東北本線 東京〜宇都宮間・尾久・北赤羽〜北与野間、常磐線 日暮里〜水戸間、川越線高崎線両毛線水戸線総武本線京葉線外房線内房線成田線
京王電鉄京王線競馬場線動物園線高尾線 北野〜狭間間、相模原線井の頭線

なお、東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則別表・旅客連絡運輸取扱基準規程別表の(237)京王電鉄株式会社線、および京王電鉄の連絡運輸範囲には「京王電鉄(京王側では「当社」)では新幹線経由を発売できない」と社線で新幹線経由の連絡乗車券を発売できないことが規定上明記されるようになりました。
従ってこの乗車券の逆経路を京王電鉄では発売できません。京王電鉄中央本線 小淵沢までが連絡範囲ですが、2014年4月1日に大都市近郊区間中央本線は韮崎までが塩尻までに拡大された結果、中央本線 甲府方面への長距離の連絡乗車券でも途中下車ができなくなりました。新幹線経由が京王電鉄で発売できないことから、京王電鉄で発売するJR東日本への連絡の普通乗車券で途中下車できるものはなくなったと考えられます。

【旅客営業規則】
第70条 第67条の規定にかかわらず、旅客が次に掲げる図の太線区間を通過する場合の普通旅客運賃・料金は太線区間内の最も短い営業キロによつて計算する。この場合、太線内は、経路の指定を行わない。
(以下略)

(特定区間発着の場合のう回乗車)
第160条 第70条第1項に掲げる図の太線区間内にある駅発又は着の普通乗車券又は普通回数乗車券を所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、う回して乗車することができる。ただし、別に定める場合を除き、う回乗車区間内では、途中下車をすることはできない。
2 前項の規定にかかわらず、第70条に掲げる図の太線区間内の駅相互発着となる乗車券を所持する旅客は、東海道本線(新幹線)東京・品川間及び東北本線(新幹線)東京・上野間をう回して乗車することはできない。
3 第70条に掲げる図の太線区間内にある駅発又は着の普通乗車券を所持する旅客が、第1項の規定によりう回乗車した場合において、そのう回中の途中駅に下車したときは、区間変更として取り扱う。

【旅客連絡運輸規則】
(準用規定)
第45条 旅客規則第71条、第74条の4、第74条の5、第75条、第76条及び第88条の規定は、この節に準用する。
(注)準用する旅客規則の内容は、次のとおりである。
第71条 営業キロを定めていない区間の旅客運賃・料金の計算方
第74条の4 特別急行列車の個室を占有使用する場合の旅客運賃・料金
第74条の5 急行列車の設備定員が複数の寝台個室を使用する場合の旅客運賃・料金
第75条 旅客運賃・料金の概算収受
第76条 旅客運賃・料金割引の重複適用の禁止
第88条 新大阪駅又は大阪駅発又は着となる片道普通旅客運賃の計算方

(準用規定)
第79条 旅客規則第147条から第153条まで、第155条、第158条から第161条まで、第164条から第168条まで、第170条から第174条まで、第176条、第182条の2及び第182条の3の規定は、この章に準用する。
(注)準用する旅客規則の内容は、次のとおりである。
第147条 乗車券類の使用条件
第148条 乗車券類の効力の特例
第149条 券面表示事項が不明又は不備の乗車券類
第150条 不乗区間に対する取扱い
第151条 有効期間の起算日
第152条 小児用乗車券類の効力の特例
第153条 乗車券類不正使用未遂の場合の取扱方
第155条 継続乗車
第158条 特定区間におけるう回乗車
第159条 特定区間を通過する場合のう回乗車
第160条 特定区間発着の場合のう回乗車
第161条 定期乗車券による急行列車等への乗車禁止
第164条 改氏名の場合の定期乗車券の書替
第165条 乗車券が前途無効となる場合
第166条 前途無効となる乗車券の特例
第167条 定期乗車券以外の乗車券が無効となる場合
第168条 定期乗車券が無効となる場合
第170条 通学定期乗車券等の効力
第171条 学生用割引乗車券等の効力
第172条 急行券の効力
第173条 指定席特急券の指定駅から乗車しない場合の取扱い
第174条 急行券が無効となる場合
第176条 指定特別車両券の指定駅から乗車しない場合等の取扱い
第182条の2 座席指定券の効力
第182条の3 座席指定券の指定駅から乗車しない場合等の取扱い