MSR発券の金額式連絡乗車券

新宿から小田原→JR東日本線3350円区間の片道乗車券です。
小田原接続のJR線宇都宮までの乗車券として購入を申し出ました。

小田急電鉄のMSR端末では片道のJR連絡券のうち、片道100km以内または大都市近郊区間内を着駅とするものは金額式で発券します。宇都宮は大都市近郊区間内の駅ですので小田原→宇都宮の運賃に相当する「JR東日本線3350円区間」で発券されました。
新宿(小田原線)小田原(東海道本線)東京(東北本線)宇都宮の経路です。

小田急電鉄82.5km 880円、JR東日本193.4km 3350円で、合計営業キロ275.9km、運賃4230円です。片道200kmを超えていますが、JR線区間が大都市近郊区間内相互発着ですので当日限り有効、下車前途無効となります。
なお、一部のJR駅についてはMSRに運賃がない状態となっています。小田原接続の場合、東海道本線 静岡、東北本線 宇都宮、高崎線 高崎は発券可でしたが、東海道本線 浜松、成田線 成田空港、常磐線 友部などは運賃情報がなくMSRでは発券できません。この区間への連絡乗車券は補充券で発券されますが、浜松以外は通しで買っても途中下車出来るわけではなく、また運賃も変わりません。接続駅で買い直すよう案内されるのが一般的と思われます。


東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第178条第1項第3号(東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸取扱基準規程第35条で準用)では、金額式となる片道乗車券を営業キロ100kmまでのものに限定しています。小田原〜宇都宮間は営業キロ193.4kmですので、JRで発売する場合は金額式となることはありません。
このように高額な金額式乗車券を発券するのは小田急電鉄のMSRくらいではないでしょうか。

この乗車券は東北本線の連絡範囲の北限である宇都宮までのものとして購入しましたが、一つ隣の岡本(営業キロ199.6km)も小田原からの運賃が3350円と宇都宮と同額ですので、金額式の乗車券であれば連絡範囲外である岡本まで使用できます。なお岡本以遠でも大都市近郊区間内相互となる区間であれば、小田原から着駅の運賃と3350円の差額で精算できます(※)。
※2014年4月1日の東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則(以下、連規)改定により、社線発の連絡乗車券を原券としてJRの駅で精算する場合は、接続駅を原券発駅とみなして扱うよう明記されました(連規第92条の2。片道100km以内または大都市近郊区間内発着の原券で、着駅がJR線の場合に限る。連絡範囲外を着駅とする場合も同)。
2014/8/6追記 コメントで指摘頂いた内容を太字で反映。

券面の無効印(乗車記念印)は岡本駅で押印頂きました。改札窓口にある運賃一覧表に小田原からの運賃が3350円と記載されていましたので下車自体はスムーズでした。

(連絡会社線の駅を発駅とする普通乗車券による区間変更の特例)
第92条の2 連絡会社線の駅を発駅とし、旅客会社線の駅を着駅とする原乗車券(学生割引普通乗車券を除く。)に対して、旅客会社線内において第91条第2項第1号ロ(イ)又は同(ロ)の取扱いを行う場合で、変更区間が旅客会社線内のみ又は第1条第2項に規定する区間となるときは、連絡会社線と旅客会社線の接続駅を原乗車券の発駅とみなし、区間変更として取り扱う。
2 前項の規定は、変更後連絡運輸とならない場合であっても、連絡会社線と旅客会社線の接続駅から変更後の着駅までの区間が旅客会社線内のみ又は第1条第2項に規定する区間となるときに準用する。

【おまけ】
この乗車券ですが、大宮駅の新幹線乗り換え自動改札機に通したところ「乗車券なし」として使用できませんでした。改札窓口で特急券とともに提示して通過出来ましたが、改札処理機で確認頂いたところ「小田急新宿・小田原・用宗」の経路情報となっているとのことでした。
すなわち、東海道本線 静岡方面への連絡乗車券となっていたため、東北新幹線は経路外として使用できなかったようです。券面右上の発駅コード0001は新宿、着駅コード4507は宇都宮ですので、区間は誤っていないものと思われます。用宗経由というのは意図的なものなのか、設定ミスなのか、詳しい理由はわかりません。


小田原を接続駅とする小田急電鉄からJR東日本への連絡範囲は以下のとおりです。
小田急電鉄小田原線江ノ島線
JR東日本東海道本線(※)、南武線鶴見線武蔵野線横浜線根岸線横須賀線、相模線、伊東線中央本線 吉祥寺〜塩山間、東北本線 川口〜宇都宮間・尾久・北赤羽〜北与野間、常磐線 松戸〜友部間、高崎線総武本線 市川〜八日市場間、京葉線外房線 千葉〜蘇我間、成田線 佐倉〜成田間・成田〜成田空港間
※東京都区内・横浜市内の各駅を含む。

小田急電鉄は2014年4月1日に連絡運輸範囲の縮小を行いました。
縮小以前は大都市近郊区間内のうち内房線外房線各駅も連絡範囲でしたので、例えば小田原接続で内房線 千倉〜江見間を着駅とする連絡乗車券は「(小田急線発駅)から小田原→JR東日本線3890円区間」というさらに高額な金額式乗車券が発売可能でした。
現行の連絡範囲では、小田原接続の東北本線 宇都宮が大都市近郊区間内では最も高額となります。

【旅客営業取扱基準規程】
(乗車券類の設備)
第178条 1旅客鉄道会社管内の駅相互発着となる乗車券類は、特殊なものを除いて、次の各号に定めるところにより設備するものとする。
(1)(2)略
(3)発着区間営業キロが100km以内(100kmに相当する旅客運賃と同額となるものを含む。)の常備片道乗車券は、金額式のものとすることができる。
(以下略)

【旅客連絡運輸取扱基準規程】
(乗車券類の発行方)
第35条 乗車券類の発行方については、旅客規程第178条、第179条、第181条から第183条まで、第185条から第188条まで、第190条、第192条、第194条、第196条から第199条まで、第201条から第204条まで、第206条から第209条まで、第212条、第218条、第219条、第222条から第227条まで、第231条、第233条から第239条まで並びに収入規程第29条の規定を準用する。この場合、旅客規程第181条第8号の規定により表示事項の変更をするとき、同第182条第3項の規定により淡紫青いろの片道乗車券を発行するとき及び第192条第3項の規定により往復乗車券の代用として発行するときは、あらかじめ、関係の連絡会社と協議のうえ行うものとする。
(注1)旅客規程第199条第8号ウに規定するコード番号については、連絡会社において発売するときに限つて、これを省略することができる。
(注2)準用する旅客規程の内容は、次のとおりである。
第178条 乗車券類の設備
第179条 乗車券類の紙質等
第181条 乗車券類の表示事項の印刷方等の細目
第182条 字模様の印刷方
第183条 乗車券類の番号及び冊番号の印刷方
第185条 小児用等の記号の印刷方
第185条の2 特定都区市内等の略号の印刷方
第186条 経路の表示方
第187条 乗車券類発行日付の表示方
第188条 旅客運賃及び料金の割引等の印章
第190条 旅客多数の場合の特殊乗車券類の発行方
第192条 乗車券類の代用発行等
第194条 乗車券類の発行順序
第196条 乗車券類の廃札
第197条 常備片道乗車券の発行方
第198条 準常備片道乗車券の発行方
第199条 補充片道乗車券の発行方
第201条 常備往復乗車券の発行方
第202条 準常備往復乗車券の発行方
第203条 補充往復乗車券の発行方
第204条 常備連続乗車券の発行方
第206条 補充連続乗車券の発行方
第207条 常備定期乗車券の発行方
第208条 準常備定期乗車券の発行方
第209条 補充定期乗車券の発行方
第212条 定期乗車券再交付の場合の発行方
218条 団体乗車券の発行方
第219条 団体旅客入出場票等の取扱方
第222条 常備急行券の発行方
第223条 準常備急行券の発行方
第224条 車内急行券の発行方
第225条 常備特別車両券の発行方
226条 準常備特別車両券の発行方
第227条 車内特別車両券の発行方
第231条 常備座席指定券の発行方
第233条 クーポン乗車券類の発行方
第233条の2 特殊共通券の発行方
第234条 特殊指定共通券の発行方
第235条 一般用特別補充券の各欄の記入方
第236条 一般用特別補充券の発行方
第237条 地図式特殊区間用特別補充券の発行方
第238条 駅名式特殊区間用特別補充券の発行方
第239条 乗車変更専用特別補充券の発行方
(注3)準用する収入規程の内容は、次のとおりである。
第29条 締切りの時刻及び整理