JR東日本→小湊鉄道の連絡乗車券

中野から上総中野への片道乗車券です。

着駅が「(小湊線)上総中野」となっているとおり、JR東日本から小湊鉄道への連絡乗車券です。
JRに上総中野という駅はないため括弧書きで区別する必要は無いように思えますが、いすみ鉄道(JRと連絡運輸なし)の同名の駅との区別のためでしょうか。
経由欄は「中央東・東北・武蔵野・常磐・上野・新幹線・東京・京葉・総武・外房・内房・五井」とあります。
経路がやや分かりづらいですが、中野(中央本線)新宿(山手線)池袋(赤羽線)赤羽(東北本線)南浦和(武蔵野線)新松戸(常磐線)日暮里(東北本線)上野(東北新幹線)東京(京葉線)市川塩浜(京葉線)西船橋(総武本線)千葉(外房線)蘇我(内房線)五井(小湊鉄道線)上総中野です。

五井接続の小湊線上総中野はマルスシステムに運賃が登録されているため通常自動改札機に対応した85mm券で発券されますが、経路数が多いため120mm券で発券されました。

JR東日本132.1km 2270円、小湊鉄道39.1km 1410円、で合計171.2km、3680円となります。
上野〜東京間で新幹線を経由しているので大都市近郊区間内相互発着の乗車券ではなく、片道100kmを超えているので2日間有効で途中下車可です。

JR東日本から小湊鉄道への連絡範囲は以下のとおりです。
JR東日本東海道本線 東京(※1)、総武本線 市川〜成東間、京葉線 舞浜〜千葉みなと間、外房線 本千葉〜茂原間、内房線 浜野-君津間、成田線 酒々井・成田〜成田空港間、東金線
小湊鉄道:各駅
※1 東京都区内の各駅を含む。





【おまけ】
この乗車券を購入するにあたり、中野→上総中野であまり遠回りにならず途中下車できるものを考えていましたが、意外と苦慮しました。
小湊鉄道線区間営業キロは39.1kmですので、途中下車可の乗車券とするにはJR線営業キロが61.0km(※2)以上で、かつ新幹線経由とする必要があります。
※2 東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則第6条によりキロ程の計算はJR線・社線ごとに端数を1kmへ切り上げるよう定められています。規則上JR線が60.1kmであれば切り上げて61km、小湊鉄道線39.1kmを切り上げた40kmと合算で101kmとなります。
ただしマルスシステムはJR線・社線の営業キロを合算した上で端数の切り上げを行っており、JR線60.1kmでは小湊鉄道線39.1kmと合算で99.2km、切り上げて片道100kmとみなされ、下車前途無効の乗車券が発券されます。
マルスシステムが規則を正しく反映していない状態ですが、ひとまずマルスシステムの挙動を優先とします。

案1 中野(中央本線)新宿(山手線)代々木(中央本線)神田(東京折返・東北新幹線)上野(東北本線)日暮里(常磐線)新松戸(武蔵野線)西船橋(総武本線)千葉(外房線)蘇我(内房線)五井
東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第70条の規定により、上記赤字区間は最短経路である新宿(山手線)田端(東北本線)日暮里に置き換えられます。
運賃計算を70条最短経路で行い効力の上では新幹線経由とする乗車券は、新幹線利用区間が東京〜上野間、東京〜品川間の場合はマルスシステムが対応していません
マルスシステムの仕様上、補正禁止を指定して実乗車経路通りに運賃計算した乗車券を発券することは可能で、今回の場合は補正後(青字)82.4km、実乗車経路(赤字)84.6kmでどちらも運賃1490円で変わりませんので発売できそうな気もしますが、とりあえずこの経路はやめておきました。


案2 中野(中央本線)新宿(山手線)池袋(赤羽線)赤羽(東北本線)南浦和(武蔵野線)新松戸(常磐線)日暮里(東北本線)上野(東北新幹線)東京(京葉線)蘇我(内房線)五井
営業キロ128.6km。京葉線は70条区間に含まれませんのでこちらにしようかと思いましたが、規則第70条第2項により規則第69条第5号のどちらかの経路を経由して日暮里以遠と蘇我以遠を通過する乗車券については、外房線蘇我・千葉間、総武本線千葉・錦糸町と規則第70条第1項の区間で最短となる経路で計算されます。
すなわち赤字区間蘇我までの区間は、日暮里(東北本線)秋葉原(総武本線)錦糸町(総武本線)千葉(外房線)蘇我に置き換えられます。

規則第70条第2項の趣旨は、中央本線東北本線常磐線方面から東京・総武本線(または京葉線)を利用して蘇我以遠を乗車する場合、秋葉原錦糸町経由の方が営業キロが短くなることから、蘇我以遠の場合に限り70条区間を拡大するような扱いをすることが目的です。
運賃計算を秋葉原錦糸町経由の最短経路とし、効力の面で東京まで新幹線を利用するような乗車券については、こちらもやはり新幹線利用区間が上野〜東京間に限られる場合はマルスシステムが対応していません。
【例】松川(東北本線)郡山(東北新幹線)東京(京葉線)蘇我営業キロ302.5kmは、東京経由としつつ運賃計算上松川(東北本線)秋葉原(総武本線)錦糸町(総武本線)千葉(外房線)蘇我営業キロ299.1km 5080円で発券されます。
この場合、規則第159条第2項の規定により、蘇我までの経路は秋葉原錦糸町総武本線経由、東京・錦糸町総武本線経由、東京・京葉線経由のどの経路も可能です。

この経路においてもマルスシステム上は補正禁止を使用することで乗車経路通りに運賃計算した乗車券が発券できます。
こちらは東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第109条の規定により、70条区間内で補正禁止を使用し最短経路以外での運賃計算をすることが規定上可能となりますが、この経路もやめておきました。



ところで規則第70条第2項は以下の記述となっています。

……蘇我以遠(鎌取又は浜野方面)の各駅と前条第1項第5号に掲げるいずれかの経路を経由して前項に掲げる図の太線区間を……

これは前条(規則第69条)第1項第5号の両方の経路を経由すると規則第70条第2項が適用されなくなることを意味します。
案2において、東京〜蘇我間を東京(京葉線)市川塩浜(京葉線)西船橋(総武本線)千葉(外房線)蘇我とすれば、規則第70条第2項は適用されなくなり、70条区間の出口は東京となります。
したがって日暮里(東北本線)上野(東北新幹線)東京(京葉線)市川塩浜(京葉線)西船橋(総武本線)千葉(外房線)蘇我は最短経路への置換えが行われず乗車経路通りに運賃計算され、さらに新幹線乗車区間が運賃計算経路に一致しているためマルスシステムで発券が可能となります。
これが今回ご紹介した乗車券の経路です。この乗車券は「補正禁止」を使用することなく発券されました。

なお、東京〜蘇我間を東京(総武本線)西船橋(京葉線)南船橋(京葉線)蘇我とすると、総武本線京葉線を両方経由しているためこちらでも良いように見えますが、この経路では70条区間出口が錦糸町となることから運賃計算経路は日暮里(東北本線)秋葉原(総武本線)錦糸町(総武本線)西船橋(京葉線)南船橋(京葉線)蘇我となり、上野〜東京間で新幹線を利用する乗車券をマルスシステムで発券できなくなってしまいます。

【旅客営業規則】
(特定区間における旅客運賃・料金計算の営業キロ又は運賃計算キロ)
第69条 第67条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間の普通旅客運賃・料金は、その旅客運賃・料金計算経路が当該各号末尾のかつこ内の両線路にまたがる場合を除いて、○印の経路の営業キロ(第9号については運賃計算キロ。ただし、岩国・櫛ヶ浜間相互発着の場合にあつては営業キロ)によつて計算する。この場合、各号の区間内については、経路の指定を行わない。
(中略)
(5)東京以遠(有楽町又は神田方面)の各駅と、蘇我以遠(鎌取又は浜野方面)の各駅との相互間
 京葉線
総武本線外房線
(以下略)

第70条 第67条の規定にかかわらず、旅客が次に掲げる図の太線区間を通過する場合の普通旅客運賃・料金は太線区間内の最も短い営業キロによつて計算する。この場合、太線内は、経路の指定を行わない。
(図は省略)
2 蘇我以遠(鎌取又は浜野方面)の各駅と前条第1項第5号に掲げるいずれかの経路を経由して前項に掲げる図の太線区間を大久保以遠(東中野方面)、三河島以遠(南千住方面)、川口以遠(西川口方面)又は北赤羽以遠(浮間舟渡方面)へ通過する場合の普通旅客運賃・料金は、第67条及び前条第1項第5号の規定にかかわらず、外房線蘇我・千葉間、総武本線千葉・錦糸町間及び前項に掲げる図の太線区間内の最も短い経路の営業キロによつて計算する。

(特定区間を通過する場合のう回乗車)
第159条 旅客は、普通乗車券、普通回数乗車券又は団体乗車券によつて、第70条に掲げる図の太線区間を通過する場合には、この区間をう回して乗車することができる。
2 普通乗車券、普通回数乗車券又は団体乗車券によつて第70条第2項の規定により乗車する旅客は、第69条第1項第5号に掲げるいずれかの経路及び第70条に掲げる図の太線区間をう回して乗車することができる。


【旅客連絡運輸規則】
(キロ程のは数計算方)
第6条 キロ程を計算する場合、関係運輸機関のキロ程(旅客会社のキロ程は通算したキロ程。以下同じ。)に1キロメートル未満のは数があるときは、旅客会社と各連絡会社ごとに、これを1キロメートルに切り上げる。


【旅客営業取扱基準規程】
(特定区間を再び経由する場合の普通旅客運賃の計算方)
第109条 規則第69条及び同第70条に規定する区間の一方の経路を通過した後、再び同区間内の他の経路を乗車する場合の普通旅客運賃は、旅客の実際に乗車する経路の営業キロ又は運賃計算キロによつて計算することができる。
2 前項の規定は、規則第69条第1項第2号から第5号に規定する区間の一方の経路を通過した後、再び同区間内の他の経路を乗車する場合の定期旅客運賃を計算する場合に準用する。