立川〜三崎口の連絡乗車券

立川から三崎口への片道乗車券です。
経由欄は「中央東・東北・上野・新幹線・東京・東海・品川」とあります。

運賃計算上の経路は以下のとおりです。
立川(中央本線)新宿(山手線)田端(東北本線)上野(東北新幹線)東京(東海道本線)品川(京急本線)堀之内(久里浜線)三崎口

JR線が51.1km 890円、京急線が65.7km 900円で、合計116.8km 1790円となります。新幹線を経由しているため大都市近郊区間内相互発着ではなく、片道100kmを超えていますので2日間有効となり、途中下車可となります。


ところでこの乗車券では、新宿〜品川間が最短経路である山手線経由ではなく、遠回りとなる山手線・東北本線東北新幹線東海道本線を経由しています。
新幹線経由とすることで大都市近郊区間の特例を外し途中下車できるようにするためですが、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第70条においては同条に規定される区間(以下、70条区間)を通過する場合は最短経路で運賃・料金計算することが定められています。

70条区間内を遠回りしていますが、東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則(以下、連規)第45条においては旅客運賃・料金計算に対して規則70条を準用する旨が定められていません。また、70条区間の路線図はJR線のみで、70条区間内の駅から接続する会社線は描かれていません。すなわち規則70条はJR線の運賃計算のみに適用されていることとなります。

運賃計算としては連規48条第1号の規定によりJR線立川〜品川と京急線品川〜三崎口の合算であり、JR線の運賃計算は品川までとなります。規則70条はJR線の運賃計算のみに適用されるものですが、この乗車券のJR線は70条区間を通過しておらず70条区間着の乗車券ということになります。

新宿〜品川は規則160条第1項(連規第79条で準用)の規定により、山手線経由の最短経路となる乗車券で70条区間内の新幹線を含む迂回乗車が可能です(迂回経路上での途中下車は不可)。最短経路以外の経路で途中下車を希望する場合は「補正禁止」を操作する必要があります。
なおJR線部分が70条区間を通過する形態の連絡乗車券では、JR線完結の乗車券と同様に70条区間は最短経路での運賃計算が強制されるため、迂回する経路の乗車券は発売できません。

品川を接続駅とするJR東日本京浜急行電鉄の連絡範囲は以下のとおりです。
JR東日本東海道本線(※)、南武線武蔵野線横浜線横須賀線、相模線、伊東線中央本線 吉祥寺〜甲府間、青梅線五日市線東北本線 川口〜宇都宮間・戸田公園〜北与野間、常磐線 松戸〜水戸間、川越線高崎線両毛線水戸線総武本線京葉線外房線内房線成田線
京浜急行電鉄:各駅
※東京都区内・横浜市内の各駅を含む


【旅客営業規則】
第70条 第67条の規定にかかわらず、旅客が次に掲げる図の太線区間を通過する場合の普通旅客運賃・料金は太線区間内の最も短い営業キロによつて計算する。この場合、太線内は、経路の指定を行わない。
(以下略)

(特定区間発着の場合のう回乗車)
第160条 第70条第1項に掲げる図の太線区間内にある駅発又は着の普通乗車券又は普通回数乗車券を所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、う回して乗車することができる。ただし、別に定める場合を除き、う回乗車区間内では、途中下車をすることはできない。
(以下略)


【旅客連絡運輸規則】
(準用規定)
第45条 旅客規則第71条、第74条の4、第74条の5、第75条、第76条及び第88条の規定は、この節に準用する。
(注)準用する旅客規則の内容は、次のとおりである。
第71条 営業キロを定めていない区間の旅客運賃・料金の計算方
第74条の4 特別急行列車の個室を占有使用する場合の旅客運賃・料金
第74条の5 急行列車の設備定員が複数の寝台個室を使用する場合の旅客運賃・料金
第75条 旅客運賃・料金の概算収受
第76条 旅客運賃・料金割引の重複適用の禁止
第88条 新大阪駅又は大阪駅発又は着となる片道普通旅客運賃の計算方

(大人普通旅客運賃)
第48条 大人普通旅客運賃は、次の各号に定めるところにより計算した額とする。
(1)大人片道普通旅客運賃は、次に掲げる旅客会社線と連絡会社線の大人片道普通旅客運賃を併算した額とする。
イ 旅客会社線 旅客規則の定めるところによって計算した運賃
ロ 連絡会社線 別に連絡会社線ごとに定める旅客運賃

(準用規定)
第79条 旅客規則第147条から第153条まで、第155条、第158条から第161条まで、第164条から第168条まで、第170条から第174条まで、第176条、第182条の2及び第182条の3の規定は、この章に準用する。
(注)準用する旅客規則の内容は、次のとおりである。
第147条 乗車券類の使用条件
第148条 乗車券類の効力の特例
第149条 券面表示事項が不明又は不備の乗車券類
第150条 不乗区間に対する取扱い
第151条 有効期間の起算日
第152条 小児用乗車券類の効力の特例
第153条 乗車券類不正使用未遂の場合の取扱方
第155条 継続乗車
第158条 特定区間におけるう回乗車
第159条 特定区間を通過する場合のう回乗車
第160条 特定区間発着の場合のう回乗車
第161条 定期乗車券による急行列車等への乗車禁止
第164条 改氏名の場合の定期乗車券の書替
第165条 乗車券が前途無効となる場合
第166条 前途無効となる乗車券の特例
第167条 定期乗車券以外の乗車券が無効となる場合
第168条 定期乗車券が無効となる場合
第170条 通学定期乗車券等の効力
第171条 学生用割引乗車券等の効力
第172条 急行券の効力
第173条 指定席特急券の指定駅から乗車しない場合の取扱い
第174条 急行券が無効となる場合
第176条 指定特別車両券の指定駅から乗車しない場合等の取扱い
第182条の2 座席指定券の効力
第182条の3 座席指定券の指定駅から乗車しない場合等の取扱い