JR線運賃の計算方法

立川から新宿への片道乗車券です。券面にあるとおり、運賃は450円です。

発行箇所は「横浜提携法人B2」とありますが、田園都市線あざみ野駅にある東急旅行センター テコプラザあざみ野駅で購入したものです。発行箇所はJR東日本の「ビジネスえきねっと」を利用しJR券の発券を行なったものです。同じ発行箇所のものがいくつかあるようです。
東急旅行センターでJR券の発券を行なっているのはあざみ野・青葉台・日吉の3箇所のみです。JR券の発売は平日のみ、支払いも現金のみといろいろと制約が多いようです。


さて、今回は立川〜新宿間の運賃がなぜ450円であるかを取り上げてみます。
立川〜新宿間の中央本線経由の営業キロは27.2kmです。JR東日本電車特定区間(E電)内相互の利用ですので、26〜30kmに該当する運賃は450円です、と時刻表の運賃欄を参照すれば分かりますが、今回は27.2kmの運賃がなぜ450円となるのか、その根拠を求めてみます。

なお、10kmまでの運賃は東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第84条の1〜4で別途定められています。以下本記事では「東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第○条」を「規○条」と略記します。


それでは、立川〜新宿間(27.2km、電車特定区間相互発着)の運賃を実際に計算してみます。

まず、規8条の規定により、1km未満の端数は1kmに切り上げられ『28km』として扱われます。
ただし実際の運賃は1kmごとに定められておらず、駅にある運賃表のようにある程度の範囲がまとめて同じ運賃となっています。
そのまとめ方を定めているのが規77条第2項です。営業キロの適用範囲が定められています。たとえば11〜15kmの範囲の運賃は、中間である13kmの運賃となります。『28km』は26kmから30kmに含まれます。この範囲の営業キロは、『28km』として計算されます。今回は営業キロと一致しています。

規77条には、幹線1kmあたりの単価と消費税の計算方法が定められています。
立川〜新宿は電車特定区間に含まれます。電車特定区間内は、通常の幹線よりも安価なキロ単価が規78条に定められています。なお電車特定区間の範囲も定めてあります。今回の場合、キロ単価は『15.30円/km』となります。

単価『15.30円/km』と営業キロ『28km』をかけると428.4円、10円単位に切り上げて430円です。
これに5%の消費税を加え451.5円となります。1円の位で四捨五入すると、『450円』という運賃が計算されます。


旅客営業規則を以下に示します。今回の計算に関係しない箇所は省略しています。

営業キロ擬制キロ又は運賃計算キロの端数計算方)
第8条 営業キロ又は第14条の2に規定する擬制キロ若しくは運賃計算キロを用いて運賃・料金を計算する場合の1キロメートル未満の端数は、1キロメートルに切り上げる。


(幹線内相互発着の大人片道普通旅客運賃)
第77条 幹線内相互発着となる場合の大人片道普通旅客運賃は、次の各号により計算した額を合計した額とする。
ただし、北海道旅客鉄道会社線四国旅客鉄道会社線又は九州旅客鉄道会社線内発又は着若しくは通過となる場合を除く。

(1)発着区間営業キロを次の営業キロに従つて区分し、これに各その営業キロに対する賃率を乗じた額を合計した額。この場合、発着区間営業キロが100キロメートル以下のときは、10円未満の端数を10円単位に切り上げた額(100km以上は略)とする。
300キロメートル以下の営業キロ(第1地帯) 1キロメートルにつき16円20銭(300km以上は略)
(2)前号の規定により計算した額に 100分の5を乗じ10円未満のは数を円位において四捨五入して10円単位とした額(以下この方法を「四捨五入」という。)

2 前項の規定によるほか、幹線内相互発着の大人片道普通旅客運賃は、次の各号に定める営業キロのものを適用する。

(1)11キロメートルから50キロメートルまで
11キロメートルから5キロメートルごとに区分し、11キロメートルから15キロメートルまでは13キロメートルとし、16キロメートル以上は、これに1区分を増すごとに5キロメートルを加えた営業キロとする。(51km以上は略)


電車特定区間内等の大人片道普通旅客運賃)
第78条 次の各号に掲げる区間内相互発着の場合の大人片道普通旅客運賃は、第77条に規定する賃率にかかわらず、当該各号に定める賃率によつて、同条の規定を適用して計算した額とする。

(1)略
(2)東京附近及び大阪附近における電車特定区間内相互発着(前号に規定する東京山手線内及び大阪環状線内相互発着となるときを除く。)のときの賃率は、次のとおりとする。
300キロメートル以下の営業キロ(第1地帯) 1キロメートルにつき15円30銭(300km以上は略)

2 前項第2号の東京附近及び大阪附近における電車特定区間の範囲は、次の各号のとおりとする。

(1)東京附近にあつては、東海道本線中東京・大船間及び品川・新川崎・鶴見間、南武線鶴見線武蔵野線横浜線根岸線横須賀線中央本線中東京・高尾間、青梅線五日市線東北本線中東京・大宮間、日暮里・尾久・赤羽間及び赤羽・武蔵浦和・大宮間、山手線、赤羽線常磐線中日暮里・取手間、総武本線中東京・千葉間及び錦糸町御茶ノ水間並びに京葉線中東京・千葉みなと間及び市川塩浜西船橋・南船橋
(2)略