高雄・京北線の連絡乗車券

大阪から山城高雄への片道乗車券です。JR西日本の出札補充券により発売されました。


山城高雄は西日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸取扱基準規程別表(以下、連基別表)の西日本JRバス株式会社線には駅名の記載がありますが、マルス端末には登録がなくレベル1〜3全てで表示されません。この乗車券を購入した駅では連絡範囲内で発売は可能だがマルス端末では出せそうにないとのことで、出札補充券で発売することとなりました。

JR西日本は現在も西日本JRバスと普通乗車券での連絡運輸を行っています。JR北海道ジェイ・アール北海道バスの定期乗車券を除く連絡運輸が2014年4月に廃止された以降、旅客会社線と普通乗車券の連絡乗車券を発売する唯一の事例となっています。
ただし、京都接続の西日本JRバス 高雄・京北線連絡は2016年3月26日以降、連絡運輸廃止となったようです。新大阪・大阪・津山接続の中国高速線、近江今津・上中・小浜接続の若江線は現在も発売しているとのことでした。

この乗車券の経路は大阪(東海道本線)京都(高雄・京北線)山城高雄です。JR西日本42.8km 560円(特定運賃)、西日本JRバス13.8km 520円で合計発売額は1080円です。西日本JRバスは大都市近郊区間に接続する連絡会社線ではありません(※)が、片道100kmを超えていませんので1日有効で下車前途無効です。
西日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則(以下、連規)第75条第1項第1号イの(ロ)のb、「大阪付近西日本旅客鉄道株式会社線大都市近郊区間に接続する連絡会社線」に「西日本ジェイアールバス株式会社線」の記載がありません。

なお、京都駅改札で乗り換えのための出場を申し出たところ、「山城高雄」がどこの駅なのか、そもそもこの乗車券がどういうルートなのか判断がつかなかったようで、乗車券を持って裏の方に確認に向かわれました。実態として西日本JRバスの普通乗車券での連絡運輸が扱われることは殆ど無いでしょう。



西日本JRバスへの連絡乗車券自体まず知られていない存在であり、さらにマルス端末で駅名が出てこないような区間ともなるとほとんどの場合は接続駅の京都までの発売とすると思われますが、山城高雄までの乗車券は駅名の登録があり運賃が同額、山城高雄の周山寄りの駅(停留所)である栂ノ尾(とがのお)までの乗車券で代用することも可能です。

大阪から栂ノ尾への片道乗車券です。運賃は同じく1080円です。


金額入力-自・社区間入力操作で発売されています。接続駅コード4050、社線運賃520円、社線営業キロは覚えていませんが12.8kmだったように思います。この乗車券で山城高雄で下車し、前途放棄という使い方でも問題はありません。
連基別表にはかつて自動車線においては運賃も営業キロも記載がなく、発売は別途自動車線運賃表を参照する必要があったのですが、近年は社線運賃が記載されるようになりました。ただしなぜか営業キロは引き続き記載がなく、やはり連基別表だけでは発売できない状態は続いています。途中下車が明らかに不可のケースは適当なキロ数で良いのかもしれませんが……。



それでは、マルスシステムで山城高雄を着駅とする連絡乗車券は出札補充券でしか発売できないかというとそうでもなく、駅名ファイルにない駅名も駅名カナ+事務管コードで入力し金額入力操作で発売するという方法も可能です。

勝間田(かつまだ)から中国勝間田(ちゅうごくかつまだ)への片道乗車券です。山城高雄着ではありませんがカナ入力で発売された乗車券で、着駅名は「チュウコ゛クカツマタ」とあります。


この乗車券の経路は勝間田(津山線)津山(中国高速線)中国勝間田、JR線運賃240円と社線運賃300円の合計で540円です。
中国高速線とは西日本JRバスの中国ハイウェイバスを指し、津山・新大阪・大阪接続でJR西日本との連絡運輸を行っています。隣の美作インターであれば駅名・運賃とも登録されていますが、中国勝間田は山城高雄と同じくマルスシステムに駅名が登録されていません。
このような場合は着駅名をカナ入力で「チュウゴクカツマタ」(※)、事務管理コードは接続駅「6057」と社線運賃「300」を繋げた「6057300」で指定することが可能です。接続駅コード6057(津山)、社線運賃300円、社線営業キロは11.8kmだったように思います。
冒頭の山城高雄着の乗車券は着駅欄が「4050001」となっています。社線運賃の代わりに「001」です。連基別表の西日本JRバスの「駅コード」欄に「001」が記載されていたため、これを記入したのでしょうか。
※連基別表では読みがなが「ちゅうごくかつまだ」と記載されています。2014年3月31日以前は「ちゅうごくかつまた」で、消費税増税による運賃表改定に合わせて変更されたようです。濁点なしは誤記だったのでしょうか。なお岡山県勝田郡勝央町(おかやまけんかつたぐんしょうおうちょう)の地名と姫新線の駅名は「勝間田(かつまだ)」です。

JR西日本西日本JRバスの普通乗車券における連絡範囲は以下のとおりです。高雄・京北線との連絡運輸は現在では廃止されています。
JR西日本:各駅
西日本JRバス
【京都接続(高雄・京北線)】四条大宮・北野・立命館大学前・竜安寺前・御室仁和寺妙心寺北門・山城高雄・栂ノ尾・周山
【大阪、新大阪接続(中国高速線)】西宮北インター〜津山間の各駅(※)
【津山接続(中国高速線)】大阪(大阪駅桜橋口)〜中国勝間田間の各駅(※)
※バス路線のクローズドドア区間で乗車のみ・降車のみ取扱いの停留所は不可。大阪・新大阪接続大阪・新大阪・宝塚インター、津山接続津山〜津山インターが該当。またユニバーサル・スタジオ・ジャパン駅(バスの方です)は範囲外で発売不可のようです。
近江今津接続(若江線)】上中・小浜
【上中・小浜接続(若江線)】近江今津


西日本JRバス高雄・京北線連絡乗車券はマルスシステムに社線運賃どころか駅名(停留所名)すら登録されていない区間もあり、また連基別表に営業キロ(かつては運賃も)の記載がありません。数あるJRの連絡乗車券の中でも発券の難易度は相当高いように思います。
2015年10月23日から高雄・京北線はPiTaPaを導入し、相互利用カードを含めICカード乗車券での利用が可能となりました。発売が複雑で、しかもほとんど使われることのない連絡乗車券はいずれ廃止されるだろうと思ってはいましたが、実際にICカード導入の半年後に廃止されました。意外に早いように思います。

これでJR線(鉄道)と普通乗車券での連絡運輸を行うJRバスは西日本JRバスの中国高速線・若江線のみとなりました。若江線は高雄・京北線より先の2015年9月18日からPiTaPaが導入されてはいますが、現在のところ連絡運輸は廃止されていません。しかしこれらの2路線とも連絡運輸廃止は遠くないようにも思います。


なお西日本JRバスでは京都を発駅とし北野〜栂ノ尾間が1日乗り降り自由で800円という高雄フリー乗車券が通年発売されています。往復利用する予定であればこちらのほうが便利かもしれません。かつては1000円でしたが、800円に値下げされています。
国鉄時代の常備式の特別企画乗車券のような様式で、これはこれで記念になるようにも思います。なお全線フリーきっぷでないため、京都駅下車時には回収となります。