三社連絡乗車券

渋谷から神泉への片道乗車券です。


この乗車券の経路は渋谷(山手線)新宿(小田原線)下北沢(井の頭線)神泉、新宿〜下北沢間で小田急線を経由するJR東日本-小田急電鉄-京王電鉄、JR-社1-社2の形態の三社連絡乗車券です。この区間井の頭線で隣駅で、このように新宿を経由する乗車券、しかも三社連絡となる区間の需要はまず考えられませんが、当時の連絡運輸規定上は普通乗車券として発売可能でした。
JR東日本3.4km 150円(当時。以下すべて同)、小田急線4.9km 150円、京王線2.5km 120円で合計420円です。乗継割引は特にありません。

マルスシステムでの三社連絡乗車券の発券方法はいくつかありますが、小田急線については新宿・登戸間以外の区間マルスシステムに接続駅からの社線運賃が登録されています。従って経路入力で小田急線までを指定し、下北沢から先の京王線を金額入力の自・社区間入力操作により発券することが可能です。
渋谷〜下北沢までをJR線の発売と同じ方法、下北沢接続の会社線連絡乗車券のように指定し、2社連絡と同じ手順で発売できます。

金額入力の自・社区間操作では以下のような入力を行います。

発駅:「渋谷」、着駅:「神泉」
経由:山手線外、新宿、小田急線 ※1
接続コード:「4865-2」※2
社線運賃:「120」円
※1 経由に接続駅の下北沢まで指定してしまうと、経由線が「ヤマテ-チユト-4638-48652」+「48652」で経路を構成できないため、マルスシステムは「接続コード誤り」となり発売できません。
※2 接続駅コードは通常4桁で下北沢の接続駅コードは4865ですが下北沢は小田急→京王と京王→小田急の2種類パターンあり、これらを区別するため経路番号1桁を付与した5桁の指定が必要です。小田急下北沢(京王→小田急の乗換)は4865-1、京王下北沢(小田急→京王の乗換)は4865-2です。なお、「-1」は省略可能です。



新宿から代々木上原への片道乗車券です。


新宿から代々木上原小田急線で乗り換えなく到達できますが、中央線、吉祥寺から井の頭線を経由する経路での発売も可能でした。
この乗車券の経路は新宿(中央本線)吉祥寺(井の頭線)下北沢(小田原線)代々木上原です。JR-京王電鉄-小田急電鉄の三社連絡乗車券です。京王電鉄を経由するJR東日本小田急電鉄の連絡運輸で、京王電鉄区間は今回の吉祥寺・下北沢間の他、渋谷・下北沢間での発売も可能でした。
JR東日本:12.2km 210円、京王電鉄:9.7km 170円、小田急電鉄:1.4km 120円、この区間も割引はありませんので、単純に合計した500円が発売額です。

京王線は接続各駅からの社線運賃がマルスシステムに登録されていません。JR-社1-社2の社1にあたる区間の運賃登録がない場合、社1と社2両方の運賃を金額入力で指定する必要があります。このような場合は金額入力のうち基準額入力操作または収受額入力操作が必要となります。基準額入力操作の場合のマルス端末操作は以下のようになります。

発駅:「新宿」、着駅:「代々木上原
有効日数:「1」日
自他区分:「自社完結」※3
JR線基準額:「210」円
接続コード:自・社1「4643」→「  」
      社2「4865」→「  」
社線基準額:自・社1「170」円
      社2「120」円
この乗車券は西立川駅に設置されていたもしもし券売機Kaeruくんで購入したものです。基準額入力操作または収受額入力操作は券面の経由欄に何も印字されず、出札係員が適宜追記する必要があります。しかしKaeruくんは係員が操作する対話型券売機で発券された乗車券類に係員は関与できません。この経由は西立川駅改札係員の方に申し出て追記頂きました。
※3 基準額入力操作においてはJR線内の経路を指定する箇所がありません。このためJR区間は全区間発売した旅客会社線(この場合JR東日本)として扱われ、JR会社間の運賃配分は行われず他社関連となる乗車券は発売できません。自他区分は必ず「自社完結」を指定する必要があり、「他社関連」とすると入力によらずエラーを回答するようです。他社関連を指定できる意味はよくわかりませんが、他社関連となっていないかどうかを確認する歯止めとなっているのかもしれません。



代々木から代々木上原への片道乗車券です。


この乗車券の経路は代々木(山手線)渋谷(井の頭線)下北沢(小田原線)代々木上原です。JR東日本-京王電鉄-小田急電鉄の3社連絡乗車券では、京王線との接続駅が吉祥寺の他に渋谷となるものも発売可能でした。
代々木から代々木上原は新宿経由の小田急線、または小田急の南新宿まで徒歩で移動し直接小田急線というルートも考えられます。

JR東日本2.7km 130円、京王線3.0km 120円、小田急線1.4km 120円、合計370円となるのですが、代々木・下北沢間は10円(京王線を10円割引)、渋谷・代々木上原間は20円(京王線小田急線の両方を10円ずつ割引)の乗継割引運賃が設定されています。JR-社1、社1-社2の両方の区間に乗継割引がありますが、両方の割引は適用されず割引額の大きい渋谷・代々木上原間20円の割引が適用され、発売額は350円となります。

マルス端末の入力は、基準額入力操作の場合で以下のようになります。

発駅:「代々木」、着駅:「代々木上原
有効日数:「1」日
自他区分:「自社完結」
JR線基準額:「130」円
接続コード:自・社1「4645」→「  」
      社2「4865」→「  」
社線基準額:自・社1「110」円 ※4
      社2「110」円
※4 乗継割引適用後の運賃を入力。



このような三社連絡は社線側でも扱っていました。社線の自動券売機・出札端末では発売できないため、両社とも特別補充券による発売です。

明大前から渋谷の片道乗車券です。
京王電鉄-小田急電鉄-JR東日本の経路で、下北沢・吉祥寺経由です。


明大前(井の頭線)下北沢(小田原線)新宿(山手線)渋谷の経路です。
明大前から新宿を経由し渋谷というルート自体あまりありませんが、下北沢・新宿間で小田急線経由となると実際の需要はほとんど無いと言っていいかもしれません。しかしこの乗車券を発券頂いた係員の方はその区間は手書きの乗車券での発売になります、と小田急線経由JR線への三社連絡をご存知でした。

京王線1.9km 120円、小田急線4.9km 150円、JR線3.4km 150円で合計420円が発売額でした。
井の頭線で直接向かうと130円ですので、3倍以上の運賃がかかってしまいます。


登戸から武蔵溝ノ口への片道乗車券です。
南武線で乗り換えなく到達可能でその場合の運賃は150円ですが、小田急電鉄-京王電鉄-JR東日本の三社連絡として発売可能な範囲内でした。下北沢・渋谷経由で
す。


この乗車券の経路は登戸(小田原線)下北沢(井の頭線)渋谷(山手線)品川(東海道本線[横須賀品川線])武蔵小杉(南武線)武蔵溝ノ口営業キロ・運賃は小田急線10.3km 210円、京王線3.0km 120円、JR線22.4km 380円で合計は710円でした。
京王電鉄小田急電鉄とも改札口に改札鋏が設置されており、日付印ではなく改札鋏で入場しました。


これらの三社連絡乗車券ですが2014年3月をもって普通乗車券の連絡運輸としては全て廃止されており、現在ではどの区間も発売できません。定期乗車券では三社連絡を現在も行っています


当時の連絡運輸範囲を以下に示します。

JR東日本-小田急電鉄-京王電鉄の三社連絡範囲は、新宿・下北沢間で小田急線を経由する場合で以下のとおりです。
JR東日本東海道本線(※4)、南武線武蔵野線横浜線横須賀線、相模線、伊東線中央本線 吉祥寺〜小淵沢間、青梅線五日市線八高線東北本線 川口〜宇都宮間・戸田公園〜北与野間、常磐線 松戸〜水戸間、川越線高崎線両毛線水戸線総武本線京葉線外房線内房線成田線
小田急電鉄:新宿・下北沢間(経由)
京王電鉄井の頭線 神泉〜高井戸間

JR東日本-京王電鉄-小田急電鉄の三社連絡範囲は以下のとおりです。
JR東日本東海道本線(※4)、南武線武蔵野線横浜線横須賀線、相模線、伊東線中央本線 吉祥寺〜甲府間、青梅線五日市線東北本線 川口〜宇都宮間・戸田公園〜北与野間、常磐線 松戸〜水戸間、川越線高崎線両毛線水戸線総武本線京葉線外房線内房線成田線
京王電鉄:下北沢・吉祥寺間または下北沢・渋谷間(経由)
小田急電鉄小田原線 代々木上原〜小田原間
※4 東京都区内、横浜市内の各駅を含む。