博多から博多南へのグリーン券・特急券です。
JR九州の料金専用補充券で発売されました。発行事由は「4特急」と「14Aグ」です。
博多南線は新幹線の車両を使用し一部の列車が山陽新幹線と直通運転を行う路線ですが、新幹線ではなくJR西日本の在来線です。特急料金は100円で、上越新幹線(上越線)越後湯沢・ガーラ湯沢間と合わせて「100円で乗れる新幹線」と呼ばれることもあります。
8両編成500系または700系7000番台が全車自由席使用されるのが基本ですが、一日一往復、繁忙期は追加で数本のグリーン車が連結されたN700系7000番台・8000番台で運行される列車もあります。
700系7000番台のコンパートメントのように非営業ではなく利用することも可能ですがグリーン券が必要となります。
博多南線特急列車についてはマルスシステムで座席を管理していない都合上かつては座席を指定せず車内のみで発売していましたが、2011年頃から博多駅と博多南駅に限り駅でも発売するようになりました。時刻表にも発売箇所について記載があります。ただしマルスシステムは引き続き対応していませんので、料金専用補充券により発売されます。
なお、博多駅においてはJR西日本・JR九州のどちらの窓口でも発売可能です。
グリーン券・特急券の発売額は1380円ですが、これを規定の面から見てみます。
まず、博多南線のグリーン車は指定席(※)ですので利用には指定席特急券とグリーン券が必要です。
※時刻表の博多南線においては指定席グリーン車を示すマークが表示されています。
博多・博多南間はJR西日本在来線で営業キロ8.5kmです。特急料金は50kmまでのA特急料金1270円(自由席は750円)ではなく100円とされており、これは東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第57条の3第2項の規定を受け、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程(以下、基準規程)第97条の2第5号、第129条の2第4号で規定されています。この特急料金は自由席だけでなく指定席も100円としています。基準規程では「規則第125条第1号ロの(イ)の規定にかかわらず」としていますので、グリーン車利用時の減額はありません。
グリーン料金については特に規定はありませんので、規則第130条第1項第1号のイの(イ)により100kmまでのグリーン料金1280円となり、指定席特急料金100円と合わせて1380円が博多南線のグリーン料金・特急料金です。
ところでこのグリーン券・特急券ですが、グリーン車指定席に対する指定券にも関わらず券面で乗車列車や座席を指定していません。博多南線N700系のグリーン車は24席で、運行の実態および料金からしてグリーン車が満席となることがまずありえず、座席指定をしなくても運用上問題なしとの判断なのかもしれません。
【旅客営業規則】
(特定の特別急行券の発売)
第57条の3 略
2 前項の規定によるほか、新幹線以外の線区であつて、別に定める区間を乗車するときは、特定の特別急行料金によつて指定席特急券、立席特急券、自由席特急券又は特定特急券を発売する。ただし、乗車する列車を限定して発売することがある。
(以下略)(特別車両料金)
第130条 特別車両料金は、次の各号に定めるとおりとする。
(1)特別車両料金(A)
イ ロ以外の特別車両料金(A)
(イ)(ロ)、(ハ)、(ニ)及び(ホ)以外の特別車両料金 (A)
営業
キロ地帯100キロ
メートルまで200キロ
メートルまで400キロ
メートルまで600キロ
メートルまで800キロ
メートルまで801キロ
メートル以上料金 1,280円 2,750円 4,110円 5,300円 6,480円 7,650円 (以下略)
【旅客営業取扱基準規程】
(特定の特別急行券の発売区間)
第97条の2 規則第57条の3第2項の規定による特別急行券の発売区間は、次の各号に定めるとおりとする。
(1)〜(4)略
(5)博多南線に運転する特別急行列車の博多・博多南相互間とする。
(以下略)(大人の特別急行料金の特定)
第129条の2 規則第125条第1号ロの(イ)の規定にかかわらず、次の各号に掲げる特別急行券に対する特別急行料金は、当該各号に定める額とする。
(1)〜(3)略
(4)第97条の2第5号の規定により発売する指定席特急券及び自由席特急券に対する特急料金は、100円とする。
(以下略)