東武鉄道とJR東日本の長距離の連絡乗車券

池袋から大前への片道乗車券です。東武鉄道の特別補充券により発売されました。
経由欄は「寄居・児玉・高崎・渋川」とあります。


経路は池袋(東上線)寄居(八高線)倉賀野(高崎線)高崎(上越線)渋川(吾妻線)大前です。
東武鉄道75.0km 890円、JR東日本109.2km 1940円で合計184.2km、2830円です。片道100kmを超えており、さらに吾妻線は大都市近郊区間に含まれない路線ですので2日間有効となり途中下車可です。
「寄居・児玉」という寄居接続のJR線高崎方面への経由欄用のはんこは初めて見ました。

東武線とJR線はかつて広範な連絡運輸を行っていましたが、2014年4月1日に旅客連絡運輸規則・旅客連絡運輸取扱基準規程とその別表が改定され、連絡範囲は大幅に縮小されました。
消費税増税により運賃が改定されるとともにIC運賃が新たに設定され、東武鉄道においては常にIC運賃が乗車券よりも安価もしくは同額となりました。これを機に長距離となるものや利用の少ない連絡運輸が整理されたものと思われます。
栗橋接続で行っていたJR西日本JR東海との連絡運輸の廃止の他、上越線 湯檜曽以遠、北陸新幹線(長野新幹線) 安中榛名以遠、東北本線 高久以遠などが連絡運輸範囲から外れました。
このため浅草→軽井沢や、越後湯沢→(東武線)池袋は現在では発売できなくなりました。上越線は越後湯沢までが水上までに、東北本線は白河までが黒磯までに縮小されたと見られます。
基本的には東京近郊区間のみ(平行する新幹線の駅は連絡範囲に含む)に縮小したイメージですが、唯一吾妻線東京近郊区間外の路線で連絡運輸の対象として残っています。
このため、吾妻線内の駅を発着駅として片道100kmを超える場合は、大都市近郊区間内相互発着ではないため今回のように途中下車が可能となります。

連絡範囲の縮小に加えて、東武鉄道ではJR東日本線内で新幹線経由となる乗車券を発売しない旨が規定上明記されました。JR東日本では東武鉄道連絡となる乗車券でも新幹線経由のものが引き続き発売可能です。
東武鉄道が現在発売する普通乗車券で途中下車が可能となるものは新幹線以外で大都市近郊区間外となる吾妻線と、野岩鉄道線経由の会津鉄道線(三社連絡)、野岩鉄道線・会津鉄道線経由の只見線方面(四社連絡)の3通りだけになってしまったのではないでしょうか。
東上線からは野岩鉄道会津鉄道経由となるものは発売できませんので、(東武線)池袋からは吾妻線内を着駅とするものが普通乗車券で途中下車可となる唯一のものと思われます。
(いずれも片道営業キロが100kmを超えるものに限る)

今回、途中のいくつかの駅で途中下車をしました。
券面に片道で2日間有効とあるためか断られることはありませんでしたが、途中下車印は東武鉄道の駅にはないようで、押印されたのは券面右上の高崎駅のみでした。


寄居を接続駅とする東武鉄道JR東日本の連絡範囲は以下のとおりです。今回縮小されたものを赤色で示します。
東武鉄道東上線越生線
JR東日本東海道本線(※)、南武線武蔵野線横浜線横須賀線中央本線 吉祥寺〜甲府間、青梅線五日市線八高線東北本線 川口〜黒磯間・戸田公園〜北与野間、常磐線 松戸〜日立間、川越線高崎線上越線 高崎〜水上間、吾妻線両毛線水戸線日光線烏山線信越本線 北高崎〜横川間(安中榛名〜上田間は連絡範囲外)、総武本線京葉線外房線内房線成田線東金線
※東京都区内・横浜市内の各駅を含む。

高崎線 本庄、上越線 後閑を連絡範囲に含むため、東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸取扱基準規程別表の前文により上越新幹線 本庄早稲田上毛高原の両駅が連絡運輸範囲に含まれることになりますが、必然的に新幹線経由となるため東武鉄道側から本庄早稲田上毛高原着となる連絡乗車券は発売出来ません。