東京から東京を2周する乗車券(往復・連続)

東京から東京への往復乗車券です。

券面下部に(3−タ)とあるとおり、JR東海の窓口で購入したものです。
経由欄の印字はゆき券が「総武・東北」、かえり券が「東北・総武」とあります。
ゆき券の経路は東京(総武本線)錦糸町(総武本線)秋葉原(東北本線)東京、かえり券はこれの逆経路です。
営業キロ10.2kmで片道運賃は210円、往復で420円となります。有効日数は片道で1日間ですので往復では2日間有効です。

「補正禁止」を指定しないとマルスシステムは「要求区間誤り」を回答し発券できません。JR東海の窓口では途中下車できないことを確認のうえ発券頂けました。
大都市近郊区間内相互発着の乗車券ですので、同区間内であれば券面に記載された経路によらない乗車が可能です。
例えば「東京→秋葉原錦糸町→東京→秋葉原錦糸町→東京」と東京から東京を同じ経路で2周する乗車も可能ですし、「東京→品川→渋谷→池袋→上野→東京→品川→渋谷→池袋→上野→東京」のように山手線を2周するような経路でも可能です。

東京から東京と、東京から東京への連続乗車券です。

往復乗車券と似ていますが、経路を見ると連続1・2とも「東北・総武」とあります。
どちらも東京(東北本線)秋葉原(総武本線)錦糸町(総武本線)東京として購入しました。
この乗車券でも「東京→秋葉原錦糸町→東京→秋葉原錦糸町→東京」と2周する乗車が可能ですし、選択乗車により往復利用となる乗車も可能です。
連続乗車券は2葉で1枚の乗車券であり、3葉以上では発券できません。このため1枚の乗車券としては2周までが上限となります。

環状線を2周する乗車券を連続乗車券として発売できる根拠を検証してみます。
東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第43条第2号には連続乗車券を発売すべきケースが規定されています。

(普通乗車券の発売方)
第43条 次の各号に掲げる場合は、規則第26条及び同第68条第4項の規定により、それぞれ片道乗車券又は連続乗車券を発売するものとする。
 (中略)
(2)営業キロ又は規則第14条の2に規定する擬制キロ若しくは運賃計算キロを打ち切つて普通旅客運賃を計算する場合は、規則第26条第2号の場合を除き、環状線一周となる駅又は折返しとなる駅を着駅及び発駅とする連続乗車券を発売する。

営業キロ等を打ち切って普通旅客運賃を計算するケースは東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第68条第4項第1号に規定されています。
環状線1周をとなった時点で運賃計算が打ち切られます。

(旅客運賃・料金計算上の営業キロ等の計算方)
第68条 営業キロ又は擬制キロを使用して旅客運賃を計算する場合は、別に定める場合を除いて、次の各号により営業キロ又は擬制キロを通算して計算する。
 (中略)
4 前各項の規定により、旅客運賃・料金を計算する場合で次の各号の1に該当するときは、当該各号に定めるところによつて計算する。
(1) 計算経路が環状線1周となる場合は、環状線1周となる駅の前後の区間営業キロ擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する。
 (以下略)

旅客営業取扱基準規程にある「規則第26条第2号」とは、往復乗車券の発売を規定しているものです。

(普通乗車券の発売)
第26条 旅客が、列車に乗車する場合は、次の各号に定めるところにより、片道乗車券、往復乗車券又は連続乗車券を発売する。
 (中略)
(2)往復乗車券 往路又は復路とも片道乗車券を発売できる区間であつて、往路と復路の区間及び経路が同じ区間を往復1回乗車(以下「往復乗車」という。)する場合に発売する。ただし、往路と復路の経路が異なる場合であつても、その異なる経路が第16条の3に掲げる左欄及び右欄の経路相互である場合は往復乗車券を発売する。
 (以下略)

すなわち運賃を打ち切って計算するような経路のうち、往復乗車券(全部が重複)とならない場合が連続乗車券を発売すべきケースとなり、環状線2周となる経路については連続乗車券として発売が可能となります。
連続1、連続2とも1日間有効ですので連続乗車券としては2日間有効となります。


ところで、この連続乗車券は自動改札機を通過できる85mmのマルス券として発券されました。
マルス端末上で一件操作という操作を行い、連続1と連続2を登録する方法が連続乗車券の発券としては一般的です。
自動改札機を通過できる乗車券となる他(※)、連続1と2の有効日数を自動的に合算し券面に印字できるというメリットもあります。
※片道乗車券として発券すると120mm券となるものについては、一件操作を行なっても120mm券となります。


東京から東京と、東京から東京への連続乗車券です。

先に示した連続乗車券と同じ区間・経路ですが、自動改札機に対応していない120mm券として発券されました。一件操作を行わず、券種別を連続乗車券として1枚ずつ2回発券するとこのような乗車券が発券されます。
券面の特徴としては「(連続  )」と「   日間有効」の部分が手書きになっていることがあげられます。
一件操作は連続1と連続2が結び付けられますので何枚目の券片であるか、有効日数は合計何日かというのは発券時に確定しています。一方で1枚ずつ発券する場合、マルスシステムは今何枚目の発券であるか認識していません。そのため有効日数の合算もできず、係員が手書きで記入する必要があります。有効日数が磁気情報として記録されていないため、自動改札機に対応させることができず、120mm券として発券されます。

この発券を依頼した駅においては一件操作を使わない発券を行なって頂けましたが、駅によっては一件操作を行うようにしているところもあるようです。このため発行箇所については伏せてあります。
なお当然ではありますが、発券時の一件操作の有無は乗車券としての効力に影響はありません。