株主優待割引乗車券の区間変更

横川(よこがわ)からあき亀山への区間変更券です。
JR西日本の車内補充券発行機で発行されました。


[西優5割65]の印字があり、JR西日本株主優待割引適用を示しています。
発駅は信越本線横川(よこかわ)「(信)横川」との区別のため「(陽)横川」となっています。

この区間変更券は株主優待割引が適用された片道乗車券[京]京都市内→宮内串戸(経由:東海道・新大阪・新幹線・広島・山陽)を原券に、横川から先を可部線経由であき亀山へ変更したものです。
JR西日本株主優待ですので京都〜新大阪間の東海道新幹線は利用できません。

原券は[京]京都市内→宮内串戸、397.7km 6480円に株主優待割引5割引が適用され3240円、3日間有効です。

割引が適用された乗車券の区間変更ですが、西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第243条第1項で「区間・経路等に制限のある種類の割引乗車券又は普通回数乗車券を所持する旅客に対しては、乗車変更の取扱いをしない」と定めています。
第2項ではその例外として、旅行開始前の往復割引乗車券は往片と復片を同時に乗車券類変更する場合は取扱いをする、としています。
株主優待割引は旅客営業規則に規定される割引ではないので詳細はよくわかりませんが、株主優待割引が適用された乗車券についても、変更後の区間がその旅客会社線内相互であれば区間変更は可能とのことです。
株主優待割引乗車券はその旅客会社線内相互間のみという制約がありますが「区間・経路等に制限のある種類の割引乗車券」ではない、とのことなのでしょうか。

今回の変更は着駅の方向を変える区間変更ですので、規則第249条第1項第2号に規定される区間変更です。原券が片道100kmを超え大都市近郊区間内相互ではありませんので、規則第249条第2項第1号イの(ロ)により未乗区間と変更区間の差額(過剰時は返金なし)を収受し区間変更を扱いますが、今回の乗車券は株主優待割引が適用されているため、規則第249条第2項第1号イの規定により未乗区間・変更区間それぞれの運賃に原券と同じ割引率を適用した運賃の差額で計算されます。

具体的には未乗区間:横川→宮内串戸120円(240円の5割引)と変更区間:横川→あき亀山160円(320円の5割引)の差額の40円が収受額です。

利用全区間と原券との差額とならない区間変更で、なおかつ株主優待割引が適用された乗車券が原券というなかなか複雑な変更ではありますが、車内補充券発行機はこのような変更にも対応しています。
この変更を仮に駅で申し出たとすると、マルスシステムは原券との差額となる区間変更(規則第249条第2項第1号ロ)しか対応していないため、改札補充券での変更となります。運賃、割引運賃、差額を手計算する必要があり、かなり時間がかかることが見込まれます。
旅行開始後の乗車券は変更できないという誤った案内をされてしまう可能性も高く、旅行開始後の変更は車内で申し出たほうが無難かもしれません。


(割引乗車券等を所持する旅客に対する乗車変更の取扱制限)
第243条 区間・経路等に制限のある種類の割引乗車券又は普通回数乗車券を所持する旅客に対しては、乗車変更の取扱いをしない。
2 前項の規定にかかわらず、往復割引普通乗車券を所持する旅客に対しては、当該乗車券の往片及び復片について同時に乗車券類変更の申出があった場合に限り、その取扱いをする。

(区間変更)
第249条 普通乗車券、自由席特急券、特定特急券普通急行券又は自由席特別車両券を所持する旅客は、旅行開始後又は使用開始後に、あらかじめ係員に申し出て、その承諾を受け、当該乗車券類に表示された着駅、営業キロ又は経路について、次の各号に定める変更(この変更を「区間変更」という。)をすることができる。
 (1)着駅又は営業キロを、当該着駅を超えた駅又は当該営業キロを超えた営業キロへの変更
 (2)着駅を、当該着駅と異なる方向の駅への変更
 (3)経路を、当該経路と異なる経路への変更
2 区間変更の取扱いをする場合は、次の各号に定めるところにより取り扱う。
 (1)普通乗車券
 イ 次により取り扱う。この場合、原乗車券が割引普通乗車券(学生割引普通乗車券を除く。)であって、その割引が実際に乗車する区間に対しても適用のあるものであるときは、変更区間及び不乗区間に対する旅客運賃を原乗車券に適用した割引率による割引の普通旅客運賃によって計算する。
  (イ)前項第1号に規定する場合は、変更区間に対する普通旅客運賃を収受する。
  (ロ)前項第2号及び第3号に規定する場合は、変更区間(変更区間が2区間以上ある場合で、その変更区間の間に原乗車券の区間があるときは、これを変更区間とみなす。以下同じ。)に対する普通旅客運賃と、原乗車券の不乗区間に対する普通旅客運賃とを比較し、不足額は収受し、過剰額は払いもどしをしない。
 ロ イの場合において、原乗車券(学生割引普通乗車券を除く。)が次のいずれかに該当するときは、原乗車券の区間に対するすでに収受した旅客運賃と、実際の乗車区間に対する普通旅客運賃とを比較し、不足額は収受し、過剰額は払いもどしをしない。この場合、原乗車券が割引普通乗車券であって、その割引が実際に乗車する区間に対しても適用のあるものであるときは、実際の乗車区間に対する普通旅客運賃を原乗車券に適用した割引率による割引の普通旅客運賃によって計算する。
  (イ)大都市近郊区間内にある駅相互発着の乗車券で、同区間内の駅に区間変更の取扱いをするとき。
  (ロ)片道の乗車区間営業キロが100キロメートル以内の普通乗車券で区間変更の取扱いをするとき。
(以下略)

阪急電鉄の特別補充券

阪急電鉄の特別補充券です。


この補充券を購入した当時は割引のない大人1名の片道区間を補充券で発売頂けましたが、現在の阪急電鉄は特別補充券の発券・回収とも非常に厳しく、券売機で発売できる区間の趣味目的での発券は行っていません。券面は加工してあります。

A4の紙をレーザープリンターに挿入し、駅ナビ端末と呼ばれる端末を操作し発券します。
A4の半分(A5サイズ)が補充券本券、残り半分がA6サイズ2枚に分かれ、旅客用の領収書と駅の控えとなります。

様式としては、「発駅→着駅」ではなく金額式乗車券と同じ「発駅→○○円区間」という表示になっているのが特徴です。機械発券の補充券というのは北総鉄道つくばエクスプレスなど他社でも例がありますが、車内補充券などの入鋏式以外で金額式の補充券というのは珍しいように思います。
なお阪急電鉄では普通乗車券での阪急→JR西日本への連絡乗車券を発売していません。阪神電気鉄道と同じく普通乗車券の連絡乗車券はJRからの片発売のみとなっています。駅ナビ端末で他社連絡乗車券が発売出来るかどうかはよく分かりません。

コミックマーケット92でコピー本を頒布します

2017年8月13日、コミックマーケット92 3日目に当ブログのコピー本をサークルJさん(X-10a)に委託して頒布します。
頒布予定価格は100円、フルカラー7ページくらいを予定しています。よろしくお願いします。

2017/8/13 13:20追記
完売しました。ありがとうございました。

片道から往復への区間変更

西立川〜呉の往復の区間変更券です。


券面の経由は「青梅線・中央東・東京・新幹線・矢野」とあります。西立川(青梅線)立川(中央本線)新宿(山手線)代々木(中央本線)神田(東北本線)東京(東海道新幹線)新大阪(山陽新幹線)広島(山陽本線)海田市(呉線)呉の経路です。
一方で東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第70条の規定により新宿〜品川間は最短経路である山手線経由で運賃計算し、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程(以下、基準規程)第151条及び第152条により海田市〜広島間の区間外乗車が認められています。
これらの規定により、運賃計算上の経路は西立川(青梅線)立川(中央本線)新宿(山手線)品川(東海道本線)神戸(山陽本線)海田市(呉線)呉と同じです。
片道904.7km 運賃11990円で、片道601km以上なので往復の場合は往復割引が適用され21580円となります。

この区間変更券は西立川→東日本会社線640円区間(東京まで)を原券に、東京駅改札内JR東日本みどりの窓口で呉への往復乗車券に変更を申し出たものです。

西立川駅は改札係員が配置された駅ではありますが出札窓口の営業はなく、指定席券売機も設置されていません。自動券売機で発売する乗車券以外は購入できません。
西立川から呉は券売機に設定がないため発売できず、本来は規則第27条、及び基準規程第44条の規定に従って、乗車券券面に◯ムの証明を行い途中駅で買換えの扱いとなりそうなところですが、券面に証明はありません。

東京駅では西立川〜呉の往復割引運賃21580円と原券640円との差額である20940円を収受して往復の区間変更券が発券されました。差額はクレジットカードでの決済も可能です。

なお旅客営業規則上、片道から往復への旅行開始後の変更は規定されておらず、旅客営業取扱基準規程にも定めは見当たりません。
規定上の根拠は不明ですが、片道601km以上の区間は往復乗車券では往復割引が適用されます。実務として片道から往復への変更ができないと旅客への不利益となることから区間変更が扱われているのだと思います。


【旅客営業規則】
(普通乗車券の特殊発売)
第27条 旅客が列車内において普通乗車券の発売を請求する場合、当該列車の係員が携帯する普通乗車券ではその請求に応じられないときは、普通旅客運賃(旅客が旅客運賃割引証を所持する場合又は旅客の請求する区間について旅客運賃割引の取扱いができる場合であっても、無割引の普通旅客運賃)を収受して、係員がその携帯する普通乗車券によって乗車方向の最遠の駅又は乗継駅までのものを発売し、同乗車券の券面に、途中駅まで発売した旨を表示する。
2 前項の規定は、第21条の2の規定により乗車券の発売区間に制限のある駅において、その発売区間外の普通乗車券の発売の請求があった場合に準用する。
3 前各項の規定によって発売した乗車券を所持する旅客に対しては、前途の駅又は車内において、これと引換に旅客の請求する区間の普通乗車券を発売する。この場合、既に収受した旅客運賃と旅客の請求する区間の普通旅客運賃(旅客が旅客運賃割引証を提出した場合又は旅客の請求する区間について旅客運賃割引の取扱いができる場合は、割引の普通旅客運賃)とを比較して不足額を収受し、過剰額は駅(取扱箇所が車内の場合にあっては前途の駅)において払いもどしをする。

第70条 第67条の規定にかかわらず、旅客が次に掲げる図の太線区間を通過する場合の普通旅客運賃・料金は太線区間内の最も短い営業キロによつて計算する。この場合、太線内は、経路の指定を行わない。
(以下略)

【旅客営業取扱基準規程】
(普通乗車券の特殊発売方)
第44条 規則第27条第1項又は同条第2項の規定により普通乗車券を発売する場合は、その乗車券の表面に「(ム)」の表示をして発売するものとする。この場合、前途の駅又は車内においてその乗車券と引換えに旅客の請求する全区間の乗車券を発売する(以下これを「買替え」という。)旨を案内しなければならない。
2 前項の場合、旅客が旅客運賃割引証を提出したときは、全区間のものを発売する前途の駅又は車内までこれを所持するように案内するものとする。
3 規則第27条第3項の規定により旅客から全区間の乗車券を請求された場合は、原乗車券を回収し、常備片道乗車券、補充片道乗車券又は特別補充券によつて発売するものとする。この場合の有効期間は、全区間に対する所定の有効期間からすでに経過した日数(取扱いの当日は含めない。)を差し引いた残余の日数とし、常備片道乗車券を使用する場合に有効期間の訂正を要するときは、第195条の規定を準用して取り扱うものとする。
4 前項の場合、旅客の所持する乗車券が金額式の普通乗車券で、かつ、車内において取り扱うときは、原乗車券を回収しないで、特別補充券とともに所持させることができる。

渋谷から押上の片道乗車券(半蔵門線経由)

渋谷から押上への片道乗車券です。経由は半蔵門線とあります。
営業キロ16.7km、運賃は230円です。現在は消費税増税により値上げされ240円(IC237円)です。

渋谷から押上のルートで日暮里や北千住乗換という一般的でないルートの連絡乗車券をご紹介しましたが、乗換不要で運賃・所要時間とも最も利便性の高い半蔵門線経由が一般的でしょう。

半蔵門線副都心線の渋谷駅は東横線田園都市線と合わせて東京急行電鉄が管理し、東京メトロの管理は銀座線部分のみです。
この乗車券を購入した当時は東急の改札で東京メトロの補充券(一般用特別補充券)の発行を行っていました。発行箇所は「東急渋谷駅」、入鋏印も「入鋏済/渋谷駅/東急」となっています。メトロの地図式の補充券(特殊区間用特別補充券)はあったのか、現在も補充券の発売を行っているのか、よく分からないままです。

東京山手線内と東京都区内の共存

甲府から[区]東京都区内への区間変更券です。

原券は[山]東京山手線内→小淵沢(経由:中央東)の片道乗車券でした。
甲府から先を身延線・静岡・新幹線経由で東京に変更しました。変更後の区間が片道200kmを超えているため、東京都区内が適用されます。


東京山手線内に含まれる駅と、東京から片道営業キロが100kmを超え200kmまでの駅との乗車券は「[山]東京山手線内」となります。東京都区内に含まれる駅と、東京から片道営業キロが200kmを越える駅との乗車券は「[区]東京都区内」となります。

東京山手線内と東京都区内は排他的なものであり、両方が同時に適用されることはありません。
東京から東京の乗車券の場合、片道100km以下(または東京山手線内・東京都区内再通過の経路)の場合は「東京→東京」、片道100kmを超え200kmまでの場合は「[山]東京山手線内→[山]東京山手線内」、片道200kmを越える場合は「[区]東京都区内→[区]東京都区内」です。

東京山手線内・東京都区内が適用される場合もされない場合も発着両方が同じ表記となるのが普通です。
ただし、1つの券面に[山]東京山手線内と[区]東京都区内が同時に印字されるようなケースはあり得ます。

原券は大都市近郊区間内相互ですが、変更後の区間は大都市近郊区間内相互ではありません。
従って東海旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第249条第2項第1号のイの(ロ)に規定される区間変更となり、不乗区間と変更区間の運賃の差額(過剰額は返金なし)での区間変更となります。

不乗区間甲府(中央本線)小淵沢、39.6km 670円、変更区間甲府(身延線)富士(東海道本線)静岡(東海道新幹線)東京、302.6km(運賃計算キロ311.4km) 5400円、差額の4730円が収受額です。

「[山]東京山手線内→小淵沢」の甲府より先を「甲府→[区]東京都区内」に変更した区間変更券においては、[山]東京山手線内と[区]東京都区内が1つの券面に印字されています。


旅行開始後の乗車券の変更ですので車内でも駅でも変更は可能ですが、不乗区間と変更区間の差額の区間変更はマルスが対応していないこと、精算窓口がない駅が多いことからこのような変更は車内で申し出たほうがスムーズなことが多いです。
車内補充券発行機ではこのような区間変更にも対応しています。


なお、初めから[区]東京都区内→[区]東京都区内(経由:中央東・身延線東海道・静岡・新幹線)の乗車券を購入した場合は営業キロ436.7km(運賃計算キロ445.5km)、運賃7340円です。
今回の支払額は原券の[山]東京山手線内→小淵沢173.7km 3020円と甲府→[区]東京都区内の区間変更4730円の合計で7750円でしたので、通しで買うよりかなり割高な変更となってしまいました。