特例を適用しない広島経由の乗車券(POS端末発行)

有年駅発行の有年→天応の片道乗車券です。
同駅はみどりの窓口のない駅ですがPOS端末設置の出札窓口があります。


この乗車券の経路は有年(山陽本線)岡山(山陽新幹線)広島(山陽本線)海田市(呉線)天応です。
営業キロ240.7km、運賃は4430円です。
東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程(以下、基準規程)第151条第1項の規定により、海田市を通過する列車に乗車する場合は分岐駅通過の特例が適用され、折り返し区間で途中下車しない条件で券面区間外の乗車が認められています。同第151条の2により三原・広島間新幹線利用時にも適用されます。

一方で三原・広島間は東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第16条の2第2項第6号により同区間内(三原・広島を除く)を発着駅または接続駅とする場合は新幹線と並行在来線を別の線路として扱うとも規定しています。

今回のような経路の場合、通常は営業キロが短く運賃が安くなりうる基準規程を適用させた乗車券が発売されます。通常は運賃が安い方を発売すれば事足りますが、基準規程を適用させた乗車券は海田市・広島間で途中下車しないことが条件です。広島で途中下車したい場合は基準規程を適用せず規則通り別の線路として扱った広島経由の乗車券を発売するか、特例適用の乗車券と折り返し区間の往復乗車券が必要となります。

しかしながらマルスシステムは広島経由の乗車券の発売に対応していません。基準規程の適用が強制され広島経由を指定しても自動的に海田市呉線経由で運賃計算された乗車券が発売されます。大都市近郊区間のような運賃計算経路を補正した結果ではないためか、マルス端末上の補正禁止により運賃計算経路を固定させることはできません。広島経由で発売する場合は出札補充券での発売となります。

一方でJR西日本のPOS端末においては補正禁止を指定できるようで、新幹線、広島、海田市経由の三原以遠と矢野以遠の相互間の乗車券を端末で発売することが可能です。新幹線経由、海田市・広島間の折り返し特例区間に関してはPOS端末の方が柔軟に発売できるといえます。
JR西日本以外のPOS端末で今回のような経路の乗車券が発売できるかどうかは確認できていません。

なお、有年〜天応間で基準規程の特例を適用した場合、運賃計算上は有年(山陽本線)海田市(呉線)天応と同じ経路となり営業キロ227.9km 運賃4000円です。広島〜海田市は片道200円、往復400円ですので下車したい駅が広島だけの場合、この区間については往復乗車券を別に買ったほうが安くなります。

有年駅の出札窓口営業時間は毎日5:30〜23:00です。料金専用補充券による指定券の発売は行っていません。
※2018/1/19追記:有年駅は2017/10/1以降、終日無人駅となりました。

【旅客営業規則】
(東海道本線(新幹線)、山陽本線(新幹線)、東北本線(新幹線)、高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)、信越本線(新幹線)及び鹿児島本線(新幹線)に対する取扱い)
第16条の2 次の各号の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区とは、同一の線路としての取扱いをする。

(1) 東海道本線山陽本線中神戸・新下関 東海道本線(新幹線)及び山陽本線(新幹線)中新神戸新下関
(2) 東北本線 東北本線(新幹線)
(3) 高崎線上越線及び信越本線 高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)及び信越本線(新幹線)
(4) 鹿児島本線中博多・新八代間及び川内・鹿児島中央 鹿児島本線(新幹線)中博多・新八代間及び川内・鹿児島中央

2 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間内の駅(品川、小田原、三島、静岡、名古屋、米原、新大阪、西明石、福山、三原、広島、徳山、福島、仙台、一ノ関、北上、盛岡、熊谷、高崎、越後湯沢、長岡、新潟、博多、久留米、筑後船小屋及び熊本の各駅を除く。)を発駅若しくは着駅又は接続駅とする場合は、線路が異なるものとして旅客の取扱いをする。
(1)〜(5) 略
(6)三原・広島間
(以下略)


【旅客営業取扱基準規程】
(分岐駅通過列車に対する区間外乗車の取扱いの特例)
第151条 次に掲げる区間の左方の駅を通過する急行列車へ同駅から分岐する線区から乗り継ぐ(急行列車から普通列車への乗継ぎを含む。)ため、同区間を乗車する旅客(定期乗車券を所持する旅客を除く。)に対しては、当該区間内において途中下車をしない限り、別に旅客運賃を収受しないで、当該区間について乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。
(中略)
海田市・広島間
(以下略)

(海田市・広島間に係る区間外乗車の取扱いの特例)
第151条の2 矢野以遠(坂方面)の各駅と三原以遠(糸崎方面)の各駅相互間を乗車する旅客が、新幹線に乗車(広島・東広島間を除く。)する場合は、規則第16条の2第2項の規定にかかわらず、三原・広島間を同一の線路とみなして、広島・海田市間において、途中下車をしない限り、別に旅客運賃を収受しないで当該区間について乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。