JR西日本の指変券

JR西日本の車内補充券発行機で発行された指定券(指変)です。

区間は「******→******」となっています。

 

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一見したところどういう券なのか分かりづらいですが、これは予め所持していた自由席特急券を指定席に変更した際に発行されたものです。

 

所持していたのは米子から出雲市への自由席特急券です。

A特急料金区間営業キロ61.6kmですので特急料金は1180円です。これを指定席に変更しました。

 

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自由席特急券から指定席特急券への変更は、「指定券変更」として西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第252条第9項に規定されており、同条第8項の規定により既に収受した料金と、実際の乗車区間営業キロ又は同区間に対する料金との差額(過剰時は返金なし)を収受します。

今回の場合、米子〜出雲市の通常期普通車指定席特急料金1700円と、原券1180円の差額である520円を収受します。

指変で区間を******とする根拠はよくわかりませんが、自由席から指定席への指定席変更で区間が変更とならない場合は、車内補充券の発行方を定めた西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程(以下、基準規程)第236条第1項第4号のクの(カ)で「原券欄、変更区間欄及び記事欄の記入を省略し、当該各欄にまつ線を引いて発行することができる」と規定しています。

******はまつ線ではありませんが、この規定が根拠となっているのかもしれません。

 

自由席特急券を指定席に変更する場合、原券を回収の上で新たに指定席特急券を発行するケースが多いのですが、区間が変更とならない場合はこのような指変券を発行し、原券とともに所持させる方法を取ることもできます。

なお、実際には枚数が1枚で済むため、特に理由がなければ指定席特急券の発行で処理されることがほとんどです。 

 

指定席特急券発行で処理されたケースです。

江津から出雲市への自由席特急券(株主優待割引適用)を指定席特急券に変更した際の指変券・特急券です。

 

江津〜出雲市間69.7kmの自由席特急料金1180円が株主優待割引適用で590円、同区間の通常期指定席特急料金1700円の半額850円との差額260円が収受額となります。

原券の自由席特急券を回収の上、新たに指定席特急券が発行されました。株主優待割引を示す[西優5割65]が券面に印字されます。

 

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JR西日本の車内補充券発行機では、指定席料金相当額に株主優待割引を適用した金額での指変券だけの発券ができないようで、株主優待が関係する場合はこの方法しか取れないようです。

なお「指変」は指定券変更を表す略号で、基準規程第235条第1号カに規定されています。

 

【旅客営業規則】

(指定券変更)

第252条 指定急行券、指定特別車両券、寝台券、コンパートメント券又は座席指定券を所持する旅客は、使用開始後に、あらかじめ係員に申し出て、その承諾を受け、1回に限って、当該乗車券類について区間又は利用施設の変更(これらの変更を「指定券変更」という。)をすることができる。ただし、のぞみ号等及びはやぶさ号等の指定席、東京・京都間の新幹線停車駅と新鳥栖鹿児島中央間の新幹線停車駅との相互間の指定席並びにグランクラスへの変更を除く。

2〜7 略

8 指定券変更の取扱いをする場合は、原乗車券類に対するすでに収受した料金と、実際の乗車区間営業キロ又は同区間に対する料金(未指定特急券にあっては、原未指定特急券に適用した指定席特急料金によって計算した実際の乗車区間に対する指定席特急料金)とを比較し、不足額は収受し、過剰額は払いもどしをしない。

9 指定急行券以外の急行券又は自由席特別車両券を所持する旅客は、使用開始後にあらかじめ係員に申し出て、その承諾を受け、当該急行券又は自由席特別車両券を指定券(急行・指定席特別車両券(A)、急行・寝台券、急行・コンパートメント券及び急行・座席指定券を含む。)に変更することができる。この場合は、前各項の規定を準用する。

 

【旅客営業取扱基準規程】

(一般用特別補充券の各欄の記入方)
第235条 出札補充券、改札補充券、料金専用補充券及び車内補充券の各欄の記入方は、次の各号に定めるとおりとする。
 (1) 事由欄は、次に掲げる略号を記入(略号が記入されている場合は、○でかこむ。) することができる。この場合、異なる種類のものを一葉として発行するときは、それぞれの略号を組み合わせて「片道特急」の例により記入する。ただし、乗車券類の代用として発行するとき及び前途の他列車に対して発行するときは、略号の後に「券」をつけるものとする。
  ア〜オ 略
  カ 指定券変更 指変
(以下略)
 
(一般用特別補充券の発行方)
第236条 一般用特別補充券は、次の各号に定めるところにより発行し、甲片は旅客に交付し、乙片(払いもどしの取扱いをするものを除き、旅客から回収した乗車券類とも)は別に定める改札日報、乗車券簿又は車掌区収入日報に添附して審査課長に提出する。この場合、不使用証明用として発行する車内補充券は、変更終了後、旅客に交付するものとする。
 (1)〜(3) 略
 (4) 車内補充券
  ア〜キ 略
  ク 各欄の記入方は、前条の規定によるほか、次による。
   (ア)〜(オ) 略
   (カ) 自由席特急券から指定席特急券への指定券変更(乗車区間が変更とならない場合に限る。) の取扱いをする場合は、原券欄、変更区間欄及び記事欄の記入を省略し、当該各欄にまつ線を引いて発行することができる。
(以下略)