山手線を一周する乗車券

当ブログで最初にご紹介した乗車券は「東京→東京」の片道乗車券でした。
今回はこの一周乗車券をもう少し掘り下げてみます。


東京から東京への片道乗車券です。

山手線外回り電車の運転系統(以下、単に山手線と表記)に沿った一周乗車券で、経路は東京(東海道本線)品川(山手線)田端(東北本線)東京、経由欄は「東海道・中央東・東北」とあります。
過去にも記事にしましたが、マルスシステム上は経由欄に「山手線」が印字されず(例外あり)、代々木・新宿間が「中央東」となる都合上、一見関係のない「中央東」が印字されます。
営業キロ34.5km、運賃は480円です。大都市近郊区間内相互の乗車券ですので、発売には補正禁止を指定する必要があります(以下、一周乗車券では全て同じ)。
なお、外回り経路での発売ですが、大都市近郊区間の特例により内回り電車で東京→東京を利用することも可能です。


山手線の一周乗車はこれよりも安価な乗車券でも可能です。

東京から東京の片道乗車券です。

経由は「総武・東北」とあります。
この乗車券の経路は東京(総武本線)錦糸町(総武本線[御茶ノ水支線])秋葉原(東北本線)東京で、営業キロは10.2km、運賃220円です。
経由欄には「総武本線[御茶ノ水支線]」が印字されないため、印字は「総武・総武・東北」ではなく「総武・東北」です。
東京から東京を錦糸町秋葉原経由で一周する乗車券ですが、この乗車券でも山手線の一周乗車が可能です。



なお、東京発着に拘らなければさらに安価な一周乗車券が発売可能です。
神田から神田への片道乗車券です。

経由印字は「中央東・東北」、経路は神田(中央本線)御茶ノ水(総武本線[御茶ノ水支線])秋葉原(東北本線)です。
営業キロ2.9km、運賃は140円です。この区間はJR線で唯一の初乗り運賃で一周乗車券が発売出来る区間でもあります。
神田に限らず秋葉原発着でも山手線の一周乗車は可能ですが、御茶ノ水は山手線の駅でないため、御茶ノ水発着では山手線の一周乗車には使えません。



ところで、「東京→東京、経由:東海道・中央東・東北」の券面表示からは山手線一周乗車の他に、以下のような経路も考えられます。

東京(東海道本線)品川(山手線)代々木(中央本線)御茶ノ水(総武本線[御茶ノ水支線])秋葉原(東北本線)東京


実際に上記の経路で購入したのが以下の乗車券です。
東京から東京、東海道・中央東・東北経由の乗車券です。


営業キロは26.6km、運賃は410円です。
区間、経由印字とも480円の一周乗車券と同じで、一見したところ区別がつきません。
C符合は異なっていますが、この数字から何線経由かを求めることはできません。


2枚の東京から東京への乗車券を並べてみます。

この2枚の乗車券は券面表示が(有効開始日、発行箇所等を除き)全く同じなのになぜ運賃が異なるか、即答することは困難と思います。山手線一周の運賃は480円、ということを知っていれば何とかなるかもしれません。


ところで、東京から東京への運賃410円の乗車券には以下のようなものもあります。

東京から東京への乗車券です。

運賃は410円、経由は「東海道・中央東」という新たなパターンです。
この乗車券の経路は東京(東海道本線)品川(山手線)代々木(中央本線)神田(東北本線)東京ですが、マルスシステムにおいては東京・神田間は「東北本線(トウホ)」と「中央東線(チユト)」の2個の路線が設定されており、代々木から東京までを一括で「中央東線(チユト)」として要求することも可能です。
※「経由:東海道・中央東・東北」と「経由:東海道・中央東」の乗車券ではC符号が同じになっています。偶然なのかどうかは残念ながらわかりません。



東京・神田間の経由印字の違いについて、次の2枚を示します。

東京から神田への片道乗車券です。
同じ区間・運賃ではありますが、経由印字は「中央東」と「東北」で異なっています。


マルスシステムに対し「中央東線(チユト)」で要求したものと、「東北本線(トウホ)」で要求したものです。
効力としては同じですが、券面の経由印字が異なっています。C符号も別であり、マルスシステム上はこれら2枚の乗車券は別物ということになります。

なお、指定席券売機えきねっと等においては東京・神田間は「東北本線(トウホ)」で要求するようです。マルス端末においても経路入力操作で「山手線」や「京浜東北線」を指定すると同じく「東北本線(トウホ)」で要求します。
この区間のみをマルス券で購入することはまず考えられず、購入したとしても「経由:東北」と印字される場合がほとんどと思います。
東京→神田の乗車券で「経由:中央東」と印字される乗車券を手にする機会は少ないのではないでしょうか。