錦川鉄道の入場券・乗車券

錦川鉄道 錦町駅硬券入場券です。

様式自体は一般的なものですが、駅名にちなみ中央に金色で「錦」と印字された記念品的意味合いの強い入場券です。
錦町駅では「地元に錦を飾る入場券」と紹介されています。

錦町駅錦川鉄道 錦川清流線の終着駅で、分岐駅を含め唯一の有人駅です。
他の駅はホームに屋根だけ、待合室だけという簡素な造りですが、錦町駅には駅舎内に自動券売機と出札窓口があり、乗車券・回数券・定期券などが購入できます。JR線との連絡乗車券も発売しています。


錦町から徳山への連続乗車券です。錦川鉄道の出札補充券による発売です。
JRの出札補充券に似た様式ですが、原券欄や経由コード欄が無いため縦幅が短くなっています。

実際のところ、錦町から徳山への片道乗車券は錦町駅の自動券売機で発売していますが、この補充券はいわゆる趣味発券頂いたものではありません。


自動券売機で発売している徳山への乗車券は、以下の経路です。以下「最短経路」と呼称します。
錦町(錦川清流線)川西(岩徳線)櫛ヶ浜(山陽本線)徳山

合計74.2km、1750円です。
錦川鉄道32.7km(930円)、JR西日本 地方交通線38.1km(換算キロ41.9km)、幹線3.4kmで運賃計算キロ45.3km(820円)

この乗車券は最も安価な経路ではあるのですが、錦川鉄道岩徳線とも列車本数は少なく、更に川西駅における錦川鉄道(岩国方面)→岩徳線(徳山方面)の連絡はあまり良くないため、岩国で山陽本線に乗り換えたほうが徳山への所要時間は短くなることが多いです。
勿論、乗り継ぎ列車がある場合はこの乗車券が最も合理的ではあります。


岩国、山陽本線経由の場合、経路は以下のようになります。以下「実乗車経路」とします。
錦町(錦川清流線)川西(岩徳線)岩国(山陽本線)徳山

これは合計107.1km、2210円となります。
片道100kmを超えているので、2日間有効となり途中下車が可能となります。
錦川鉄道32.7km(930円)、JR西日本 地方交通線5.6km(換算キロ6.2km)、幹線68.8kmで運賃計算キロ75.0km(1280円)



ところで、岩国〜櫛ヶ浜間は東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第69条に規定される特定区間です。

(特定区間における旅客運賃・料金計算の営業キロ又は運賃計算キロ)
第69条 第67条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間の普通旅客運賃・料金は、その旅客運賃・料金計算経路が当該各号末尾のかつこ内の両線路にまたがる場合を除いて、○印の経路の営業キロ(第9号については運賃計算キロ。ただし、岩国・櫛ヶ浜間相互発着の場合にあつては営業キロ)によつて計算する。この場合、各号の区間内については、経路の指定を行わない。
(9)岩国以遠(和木方面)の各駅と、櫛ヶ浜以遠(徳山方面)の各駅との相互間
   山陽本線
  ○岩徳線

これは長い山陽本線経由でも、短い岩徳線経由で運賃・料金を計算する、というものです。

岩国以遠ですので岩国駅も含まれますが、「実乗車経路」は川西〜岩国〜徳山の経路であるため「岩国以遠(和木方面)」に該当せず、さらに岩徳線山陽線を経由するため「かつこ内の両線路にまたがる場合」にも該当し、第69条は適用できません。


そこで本乗車券の記事欄に記載されているような経路での利用を考えてみます。以下「特例適用経路」とします。
連続1:錦町(錦川清流線)川西(岩徳線)岩国
連続2:岩国(岩徳線)櫛ヶ浜(山陽本線)徳山

川西〜岩国間が重複となるため片道乗車券ではなく連続乗車券での発売となります。
連続2が第69条を満たすため、この連続乗車券で「実乗車経路」と同じ錦町(錦川清流線)川西(岩徳線)岩国(山陽本線)徳山の経路で乗車できます。

合計85.4km、2060円となり、錦町〜岩国〜徳山の片道乗車券よりも安くなります。
ただし、連続1・2とも片道100kmを超えていませんので、全区間で途中下車ができません。
連続1:38.3km(1110円):錦川鉄道32.7km(930円)、JR西日本 地方交通線5.6km(180円)
連続2:47.1km(950円):JR西日本 地方交通線43.7km(換算キロ48.1km)、幹線3.4km、運賃計算キロ51.5km(950円)


以上をまとめると以下のようになります。
(1)「最短経路」最短・最安経路、ただし乗り継ぎは悪く本数も少ない
 錦川鉄道岩徳線経由 1750円、1日間有効、下車前途無効
(2)「実乗車経路」全区間で途中下車可、ただし最も運賃が高くなる
 錦川鉄道、岩国、山陽本線経由 2210円、2日間有効、途中下車可
(3)「特定適用経路」(2)と同じ経路で乗車可能、ただし運賃打ち切り駅の岩国を除き、途中下車不可
 錦川鉄道、岩国、岩徳線経由連続乗車券 2060円、2日間有効、下車前途無効

なお「最短経路」で示した経路は第69条が適用されないので、山陽本線経由での乗車はできません。


錦町駅の出札窓口には「岩国経由で徳山への乗車券は窓口で発売します」と表示があり、購入を申し出ると出札補充券での発券に取り掛かって頂けました。書き慣れていた様子でしたので、それなりに需要があるのかもしれません。
なお、錦町駅の自動券売機で発売しているのは当日限り有効・下車前途無効区間に限られます。今回のような連続乗車券や、営業キロの関係で2日間有効となる乗車券は出札補充券による発売となります。
途中下車を希望すると、錦町〜徳山間が「実乗車経路」で発売されるのかどうかが気になるところです。


JR西日本から錦川鉄道の連絡範囲は以下のとおりです。
JR西日本山陽本線 西条・広島(※)〜徳山間・防府新山口呉線 呉、可部線岩徳線
錦川鉄道:各駅

※特定都区市内である広島市内の中心駅である広島が連絡範囲ですので、通常は広島市内の各駅が連絡範囲となるのですが、上記に含まれない広島以東の山陽本線呉線芸備線の駅では連絡運輸を行なっていないようです。
可部線(全駅が広島市内に含まれる)がわざわざ連絡範囲に記載されていることも、広島市内各駅が連絡範囲ではないことを示しているといえます。

なお、錦川鉄道 御庄駅山陽新幹線 新岩国駅徒歩7分と隣接しており実際に乗換案内も行なってはいるのですが、連絡運輸は行なわれておらず、御庄新岩国接続の連絡乗車券は発売できません。御庄駅は2013年3月に「清流新岩国駅」への改称が予定されています。