旅客連絡運輸規則第76条

五反田から大井町への片道乗車券と、大井町から大崎→東日本会社線140円区間の片道乗車券です。
どちらも大崎接続のJR東日本と東京臨海高速鉄道の連絡乗車券です。マルス券でりんかい線大井町は「臨海大井町」と印字されます。

 


いずれも片道100km以下ですので1日間有効で下車前途無効ですが、大崎駅の途中下車印が押印されています。
東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則(以下、連規)第76条では連絡乗車券の途中下車は原則可とし、途中下車できない条件を個別に定めています。その場合も「連絡接続駅を除く」とあり、途中下車できない乗車券であっても接続駅においては例外的に可となっています。
これは改札外を経ないと乗り換えできないような乗り換え駅を想定しているものと思いますが、連規上は駅設備で途中下車可否を判定していないため、改札内で繋がっていたり乗換改札がある駅でも、一旦改札外に出た後に乗り換えるという利用は可能(※)ということになります。
※金額式の連絡乗車券について、JR東日本が発売する連絡乗車券は大崎駅での途中下車に対応、東京臨海高速鉄道が発売する連絡乗車券は非対応、旅行終了として回収となっていました(2015年8月の挙動)。発売会社により自動改札機の挙動が異なることになります。

連規上可能であるとはいえ「下車前途無効」と乗車券にはっきり印字されており改札での途中下車の申し出はなかなかしづらいのですが、大崎駅改札係員に伺ってみたところどちらの乗車券の場合でも接続駅なので、との理由で途中下車可でした。自動改札機が対応していれば確実ですが、どちらとも言えない状況ですので大崎駅で途中下車するのであれば連絡乗車券を購入しない、または初めからICカードで乗車するというのが無難かもしれません。

なお、大崎駅周辺では夏・冬の特定の期間において大崎駅西口商店会 新規事業室が実施する「大崎コミ割」が開催されています。
その時のキャッチコピーが「りんかい線からJRに乗り継いでも料金が変わらない大崎」(※)でしたので、連絡乗車券で下車出来るかどうか気になったというのが今回の記事の発端です。「100万人が素通り」という悲しすぎるコピーはなかなか作れるものではありません。
※直通列車で通過しても、大崎で下車して乗り換えても運賃同額、の意と思います。




JR東日本が発売する場合の東京臨海高速鉄道への連絡範囲は以下のとおりで、りんかい線の直通区間(通過駅含む)と一致しています。
JR東日本:山手線 五反田〜池袋間、赤羽線東北本線 北赤羽〜大宮間、川越線 日進〜川越間
東京臨海高速鉄道:各駅

東京臨海高速鉄道が発売する場合に限り、更に山手線 大塚〜駒込間と中央本線 大久保〜高円寺間も連絡範囲です。
ただしこれらの駅はJRと共通の連絡範囲内の駅と運賃が同額で、更にりんかい線の券売機が発売する連絡乗車券は金額式であるため、「大井町から大崎→高円寺」のような乗車券が発売されることはありません。駅の運賃表にも山手線 大塚〜駒込間、中央本線 大久保〜高円寺間の表示はありません。
なぜJRと社で発売範囲が異なるのか、よく分からないのが正直なところです。


なお、りんかい線の各駅運賃表には以下のように本来は連絡範囲外の「品川」の運賃の表示があります。
これは品川までの運賃が大崎〜五反田・目黒(東日本会社線140円)と同額であるための便宜的な案内表示であり、連絡範囲の拡大というわけではないようです。


社線発の連絡乗車券を原券にJR線で乗り越した場合(連絡範囲外への乗り越しを含む)は、連規第92条の2の規定により接続駅を原券発駅とみなして区間変更することになっています。
りんかい線大井町から大崎→東日本会社線140円区間の乗車券を原券に連絡範囲外の品川へ乗り越した場合、原券を「大崎→東日本会社線140円区間」とみなして区間変更ですので結果過不足なし、収受額は0円です。

もっとも、りんかい線・大崎・山手線経由での大井町から品川という需要は所要時間・運賃のいずれの面からも考えられません。
大井町以外でも大井町乗換の方が安い場合が多いですが、りんかい線大井町駅が地下深いところにありますので乗換の利便性では大崎に分があります。

(途中下車)
第76条 旅客は、旅行開始後、その所持する乗車券によって、その券面に表示された発着区間内の着駅(旅客運賃が同額のため2駅以上を共通の着駅とした乗車券については最終着駅)以外の駅に下車して出場した後、再び列車等に乗り継いで旅行すること(以下「途中下車」という。)ができる。ただし、次の各号に定める駅(連絡接続駅を除く。)においては、途中下車をすることができない。
(以下略)

(連絡会社線の駅を発駅とする普通乗車券による区間変更の特例)
第92条の2 連絡会社線の駅を発駅とし、旅客会社線の駅を着駅とする原乗車券(学生割引普通乗車券を除く。)に対して、旅客会社線内において第91条第2項第1号ロ(イ)又は同(ロ)の取扱いを行う場合で、変更区間が旅客会社線内のみ又は第1条第2項に規定する区間となるときは、連絡会社線と旅客会社線の接続駅を原乗車券の発駅とみなし、区間変更として取り扱う。
2 前項の規定は、変更後連絡運輸とならない場合であっても、連絡会社線と旅客会社線の接続駅から変更後の着駅までの区間が旅客会社線内のみ又は第1条第2項に規定する区間となるときに準用する。