S-TRAIN指定券

西武鉄道は2017年3月25日から40000系電車を使用した全席指定列車「S-TRAIN」の運行を開始しました。平日は所沢〜豊洲間、休日は西武秩父元町・中華街間と日によって運行ルートが異なっています。

休日は西武鉄道東京メトロ東京急行電鉄横浜高速鉄道の4社にまたがる運行であり、指定券も各社で発売しています。
券面の様式などから、横浜高速と東急、メトロと西武で同じような様式となっています。
発売できる区間は限定されており、平日は西武線内・東京メトロ線内完結の指定券が、休日は東京メトロ線内・横浜高速鉄道線内完結の指定券がそれぞれ発売できません。

今回は同一列車で4社の指定券を購入してみました。
自社線完結の指定券を発売しない社があるため、どの区間で区切るかは少々工夫が必要です。

横浜高速鉄道みなとみらい駅発売の元町・中華街から自由が丘への列車指定券です。
みなとみらい線では各駅の自動券売機で発売しています。停車駅であるみなとみらいと元町・中華街では駅窓口でも発売しています。
指定料金は東急線完結と同額の350円(※)です。
横浜高速鉄道連絡の場合の東急線内の指定料金は通常料金から100円を引いた額とされています(東京急行電鉄株式会社 旅客営業規則第139条の2)。つまり東急線250円、みなとみらい線100円です。
なお、元町・中華街行きのS-TRAINで横浜〜元町・中華街間のみが運休となった場合、指定料金の払い戻しはありません

(座席指定料金)
第139条の2 第61条の規定によって発売する座席指定料金は、次のとおりとする。
大人350円
小児180円
ただし、東横線横浜高速鉄道線を同一の列車で乗車する場合は、上記で定めた座席指定料金から大人100円、小児50円を差し引いた額とする。


東京急行電鉄渋谷駅発売の自由が丘から新宿三丁目への列車指定券です。
指定料金は東急線350円と東京メトロ線210円の合計で560円です。
東急では東横線各駅の券売機で発売しています。停車駅である渋谷・自由が丘・横浜では駅窓口及び改札内の指定券券売機でも発売します。

券面に[乗変]の印字があります。
S-TRAIN指定券は1回のみ別の列車への変更が可能で、東急以外でも同じ扱いです。



東京メトロ新宿三丁目駅発売の新宿三丁目から石神井公園への列車指定券です。
指定料金は東京メトロ線210円と西武線300円の合計で510円です。
副都心線での発売は新宿三丁目のみです。渋谷は東急の管理、池袋は降車専用のため券売機・窓口とも取扱がありません。
有楽町線では飯田橋・有楽町・豊洲で発売します。池袋では同じく取扱いません。


西武鉄道国分寺駅発売の石神井公園から所沢への列車指定券です。指定料金は300円です。
西武鉄道池袋線池袋・練馬と石神井公園から西武秩父までの各駅、狭山線下山口・西武球場前、新宿線西武新宿・高田馬場・田無〜本川越間各駅、拝島線玉川上水・拝島、国分寺線国分寺の駅窓口で発売します。
指定券券売機はS-TRAIN停車駅の石神井公園保谷・所沢・入間市・飯能・西武秩父のみ設置です。

西武鉄道の指定券のみ発売額に「合計」「料金」の欄があります。西武鉄道の出札端末は特急券と乗車券を一葉で発売できるためこのような表記になっているのだと思いますが、S-TRAIN指定券と乗車券の一葉券が発売できるかどうかはよくわかりません。
西武〜東京メトロ〜東急〜みなとみらいは通しの連絡乗車券を発売していないため、一葉券では発売できないように思います。

なお、元町・中華街〜所沢の指定料金は通しで購入すると860円です。今回は4枚合計で1720円ですのでちょうど2倍です。
このような購入は通常考えられませんね。



S-TRAIN指定券は端末券・券売機券だけでなく車内でも発売しますが、車内では通常の料金に200円を加算して発売(東急の場合、旅客営業規則第139条の2第2項)となります。
このため事前に購入することを強く勧めています。通常は購入することはないでしょう。なお加算は複数の社に跨る場合でも1回のみです。

(座席指定料金)
第139条の2 略
2 第61条第3項の規定により、係員の承諾を得ないで乗車した旅客に対し、車内で座席指定券を発売する場合は、当社線または当社線と連絡会社線を通じ、旅客1人につき前項に定める料金に200円を加算した額とする。

以下は車内で購入した「車内列車指定券」です。各社とも地紋の色以外、同じ様式です。
座席は完全におまかせでしたので指定されたりされなかったりしています。旅客営業規則上では、車内で指定券を購入する場合は座席が指定されない場合がある、としています(例:東京急行電鉄株式会社 旅客営業規則第61条第3項)。

(座席指定券の発売)
第61条 座席指定券は、座席指定列車に乗車する旅客に対して、乗車日、列車、号車、座席、乗車駅および乗車区間を指定し、かつ、旅客が乗車する前に発売する。
2 団体旅客に対する座席指定券は、団体用座席指定券兼補充団体乗車券によって発売する。
3 座席指定列車に、座席指定券を事前に購入しないで乗車した旅客に対しては、当該列車の車内で、座席、乗車駅及び乗車区間を指定した座席指定券を発売する。この場合、座席割当、もしくは旅客が座席を指定することができない場合がある。

車内で発売する場合は、本来発売できない東京メトロ線・みなとみらい線内完結の指定券も発売できます(東京メトロの場合、東京地下鉄株式会社 旅客営業規程第41条)。
渋谷から新宿三丁目の指定券という事前購入では発売できない区間も車内であれば発売可能です。もちろん200円が加算された料金での発売です。

(特別急行券及び座席指定券の発売範囲の制限)
第41条 当社線内各駅間相互を有効区間とする特別急行券及び座席指定券は発売しない。ただし、第40条第4項に規定する車内特別急行券及び前条第3項に規定する車内座席指定券については、この限りでない。

各社乗務員は境界駅で交代しています。みなとみらい線内は東急の乗務員が通しで乗務しているようで、横浜高速鉄道の車内列車指定券というものは存在しないのかもしれません。


なお、各社とも旅客営業規則上は指定券の特別補充券(※)が規定されていますが、どのような状況で使われるのかはわかりません。
※例えば、東京急行電鉄は旅客営業規則第221条の2「座席指定特別補充券」、東京メトロは旅客営業規程第110条の2「座席指定列車専用特別補充券」