上野東京ラインとグリーン料金

赤羽から東戸塚への普通列車グリーン券です。
どちらも同じ区間で同じホリデー料金適用日にもかかわらず、発売額が異なっています。


これは2015年3月14日以降は上野東京ラインが開通し、同区間グリーン車利用時の最短経路が短縮されたことによるものです。3月7日のグリーン券は湘南新宿ライン経由、3月14日のグリーン券は上野東京ライン経由で料金が計算されており、経路が異なるため料金も差が発生しています。赤羽・品川間において、湘南新宿ライン上野東京ラインの運賃・料金計算上の営業キロの差は0.9kmです。
JR東日本えきねっとの乗換・運賃案内でも同様の結果が回答されます。

具体的には3月7日のグリーン券の場合、料金計算上赤羽(赤羽線)池袋(山手線)品川(東海道本線)東戸塚営業キロ50.8kmでホリデー事前料金は780円です。3月14日のグリーン券は赤羽(東北本線)東京(東海道本線)東戸塚営業キロ49.9kmでホリデー事前料金は570円です。
東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第70条では、同条に規定される区間を通過する場合の運賃・料金は最短経路で計算と定められていますが、赤羽発着の場合は通過とならないため乗車経路通りのグリーン券が必要となります(※)。
※赤羽・池袋間は東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第110条第1号により、区間内で途中下車しない条件において赤羽線経由でグリーン料金を計算できると定められています。
一方で規則においては、3月14日乗車分から有効となる急行券・特別車両券において赤羽駅と品川以遠を池袋・大崎経由で、品川駅と赤羽以遠を大崎・池袋経由で利用可能と定められています(規則第172条、第175条)。
すなわち安い東京経由で発売し、遠回りとなる新宿経由での利用が認められるようになります。3/7のものは湘南新宿ラインでしか使えませんが、3/14のものは湘南新宿ラインでも上野東京ラインでも使用できることになります。70条通過でないから乗車経路通りとすると乗車する列車によりグリーン料金が異なってしまい、取扱いが煩雑となってしまうことを回避するためと思われます。

規則の条文では品川と赤羽以遠にも同じ趣旨の定めがあります。湘南新宿ラインは品川駅を経由(通過)していることにはなっていますが、運行の実態として品川に停車することはありませんのでこのようなケースは現在のところ赤羽発着となるものでしか起こりえないように思われます。

【旅客営業規則】
第70条 第67条の規定にかかわらず、旅客が次に掲げる図の太線区間を通過する場合の普通旅客運賃・料金は太線区間内の最も短い営業キロによつて計算する。この場合、太線内は、経路の指定を行わない。
(以下略)

(急行券の効力)
第172条
(中略)
8 次の各号に掲げる各駅相互間内にある駅発又は着となる急行券(いずれも併用となるものを含む。)を所持する旅客は、次の各号の末尾に記載した経路をう回して乗車することができる。
(1)赤羽駅と品川以遠(大井町又は西大井方面)の各駅との相互間(池袋、大崎経由)
(2)品川駅と赤羽以遠(川口又は北赤羽方面)の各駅との相互間(大崎、池袋経由)

(特別車両券の効力)
第175条
(中略)
4 第172条第8項の規定は、特別車両券を所持する旅客がう回して乗車する場合に準用する。

【旅客営業取扱基準規程】
(特定列車に対する旅客運賃及び料金の計算経路の特例)
第110条 次の各号に掲げる場合で、当該各号の末尾のかつこ内の上段の区間を乗車するときは、その区間内において途中下車しない限り、規則第67条の規定にかかわらず、○印の経路の営業キロによつて旅客運賃、急行料金及び特別車両料金を計算することができる。この場合、乗車券の券面の経路は、旅客運賃の計算の経路を表示する。
(1) 赤羽以遠(川口方面)の各駅と池袋以遠(目白方面)の各駅との相互間を、東北本線及び山手線経由で直通運転する列車に乗車するとき
( 東北本線及び山手線
 ○赤羽線
(以下略)