旅客営業規則第70条区間の迂回乗車

小山から立川への片道乗車券です。経由欄は「小山・新幹線・東京・中央東」とあります。
上から「東京」「品川」「新宿」と3つ途中下車印が押印されています。


東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第70条の規定により、同条で定められた区間(以下、70条区間)を通過する場合は最短経路で運賃・料金を計算しますので、運賃計算上は小山(東北本線)赤羽(赤羽線)池袋(山手線)新宿(中央本線)立川と同じとなります。営業キロは104.9km、運賃は1890円です。2014年4月1日以降の運賃は1940円です。
片道100kmを超え、新幹線経由ですので2日間有効となり、途中下車可です。


ところでこの経路の乗車券を指定席券売機で購入しようとすると、確認画面で以下のように表示されます。
「東京駅を含む折返し区間では、途中下車できません。」

これは東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第151条において、折り返し区間で途中下車をしないことを条件に区間外乗車が認められているためなのですが、一方で規則第159条では70条区間内を迂回して乗車できると定められています。途中下車できる乗車券であれば、迂回乗車中の途中下車も可能です。
したがって購入時に指定席券売機で「東京で途中下車できない」と表示されるものの、券面の途中下車印のとおり東京→品川→新宿の順に途中下車するような迂回乗車での利用が可能です。
ただし東京で直接中央線に乗り換えて新宿方面に向かうような場合は、券売機で表示されるとおり東京での途中下車は認められない場合があります(※)。
※東京駅では乗り換え待ちの間に改札外の店舗を利用したいという需要が相当あることからか、都区内発着の乗車券や神田〜東京区間外乗車の乗車券でも便宜的に出場を認めることがあるようです。

磁気情報上は小山(東北本線)神田(中央本線)代々木(山手線)新宿(中央本線)立川となっているようで、東京駅・品川駅の自動改札機では区間外として途中下車できませんでした。

【旅客営業規則】
第70条 第67条の規定にかかわらず、旅客が次に掲げる図の太線区間を通過する場合の普通旅客運賃・料金は太線区間内の最も短い営業キロによつて計算する。この場合、太線内は、経路の指定を行わない。
(以下略)

(特定区間を通過する場合のう回乗車)
第159条 旅客は、普通乗車券、普通回数乗車券又は団体乗車券によつて、第70条に掲げる図の太線区間を通過する場合には、この区間をう回して乗車することができる。
(以下略)

【旅客営業取扱基準規程】
(分岐駅通過列車に対する区間外乗車の取扱いの特例)
第151条 次に掲げる区間の左方の駅を通過する急行列車へ同駅から分岐する線区から乗り継ぐ(急行列車から普通列車への乗継ぎを含む。)ため、同区間を乗車する旅客(定期乗車券を所持する旅客を除く。)に対しては、当該区間内において途中下車をしない限り、別に旅客運賃を収受しないで、当該区間について乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。
 (略)
 神田・東京間
(以下略)