JR線・BRT線経由の三陸鉄道線連絡乗車券

新月から吉浜への片道乗車券です。
経由欄は「大船渡線気仙沼・BRT線・BRT盛」とあります。

2013年3月2日から運行を開始した大船渡線のBRT区間と、2013年4月3日から盛〜吉浜間で運転を再開した三陸鉄道南リアス線を通る経路となっています。
このような乗車券がいつから発売可能になったかはよくわかりませんが、南リアス線が運転を再開した2013年4月3日からと思われます。

この乗車券の経路は以下のとおりです。

新月(大船渡線)気仙沼(JR東日本BRT線※1)盛(南リアス線)吉浜
※1 BRT大船渡線


JR線(鉄道)、JR線(BRT)、三陸鉄道線の連絡乗車券の形態となっています。
マルスシステムにおいては、BRT線は連絡会社線として扱われているようですので、システム的にはJR→社1→社2の3社連絡乗車券としての発売です。
2012年12月から気仙沼線でBRTによる運転が開始された際は、BRT区間を含む会社線連絡乗車券(JR〜BRT〜JR〜社、BRT〜JR〜社)は発売できませんでした。
大船渡線は盛において三陸鉄道 南リアス線と接続していますが、気仙沼線と同様に連絡運輸は扱わないものと思っていました。しかし今回は盛駅で直接接続しているためか、BRTと三陸鉄道の連絡乗車券が発売可能となっています。

営業キロ、運賃は以下のとおりです。
JR線(鉄道):新月気仙沼 200円(6.7km)
JR線(BRT):気仙沼〜盛 820円(43.7km)
三陸鉄道線:盛〜吉浜 680円(21.6km)

単純に合計すると1700円ですが、発売額は1600円となっています。これは特定の範囲(※2)で鉄道とBRTを乗り継ぐと、合計運賃から100円(小児50円)が割り引かれるためです。すなわち、JR線920円(200+820-100)と三陸鉄道線680円の合算ということになります。
営業キロは合計72.0kmですので、1日間有効で下車前途無効となります。
※2 東北本線 仙台〜有壁間・岩切〜利府間、東北新幹線 古川〜くりこま高原間、仙石線 あおば通陸前原ノ町間・福田町〜石巻間、仙山線 仙台〜東照宮間、石巻線陸羽東線 小牛田〜鳴子御殿湯間、気仙沼線(鉄道) 前谷地〜柳津間、大船渡線(鉄道) 一ノ関〜気仙沼

過去にご紹介したJR〜BRT〜JRの通過連絡乗車券は、前後のJR線運賃を通算するためか乗継割引の範囲内であっても割引はありませんでした。
今回も鉄道〜BRT〜鉄道の形態ではありますが、JR線としては新月〜盛で運賃計算が打ち切られるため乗継割引が適用されるものと思われます。



BRT線への接続駅は気仙沼だけでなく柳津も引き続き扱われています。
仙台から恋し浜への片道乗車券です。柳津〜盛間でBRT線を経由しています。

この乗車券の経路は以下のとおりです。

仙台(東北本線)小牛田(石巻線)前谷地(気仙沼線)柳津(JR東日本BRT線※2)盛(南リアス線)恋し浜
※2 BRT気仙沼線・BRT大船渡線

営業キロ、運賃は以下のとおりです。
JR線(鉄道):仙台〜柳津 1280円(73.5km)
JR線(BRT):気仙沼〜盛 1800円(99.0km)
三陸鉄道線:盛〜吉浜 380円(12.0km)

合計3460円ですが、この場合もJR線〜BRT線の乗継割引が適用されますので100円が引かれ、発売額は3360円となります。
営業キロ合計は184.5kmですので、2日間有効となります。BRT線、三陸鉄道線を含めた全区間で途中下車が可能となります。

三陸鉄道の連絡運輸はJR東日本のみであり、連絡範囲も岩手県内を中心とした範囲の駅に限られます。
例えば気仙沼線からの連絡範囲はBRT区間である本吉〜不動の沢間に限られており、鉄道線である前谷地〜柳津から三陸鉄道線への連絡乗車券は発売できません。



続いては乗継割引が適用されない例です。
仙台から三陸への片道乗車券です。先ほどの例と同じく柳津〜盛間でBRT線を経由しています。

経由は「仙台・新幹線・古川・陸東・石巻線気仙沼線・柳津」とあり、印字が入りきらないBRT線と盛は手書きで追記されています。
印字の都合か、陸羽東線が陸東と省略されています。

経路は以下のとおりです。
仙台(東北新幹線)古川(陸羽東線)小牛田(石巻線)前谷地(気仙沼線)柳津(JR東日本BRT線※2)盛(南リアス線)三陸
※2 BRT気仙沼線・BRT大船渡線

営業キロ、運賃は以下のとおりです。
JR線(鉄道):仙台〜柳津 1450円(82.9km)
JR線(BRT):気仙沼〜盛 1800円(99.0km)
三陸鉄道線:盛〜三陸 520円(17.0km)

合計3770円です。この乗車券には乗継割引はありません。
JR線区間は先程の例と同じ仙台〜柳津間ですが、JR東日本盛岡支社のプレスリリースにあるとおり、仙台〜古川間(東北新幹線経由)は乗継割引の対象外であるため運賃は割引されません。
営業キロの合計は198.9kmで、2日間有効となり途中下車も可能です。

このようなJR〜BRT〜三陸鉄道の形態となる乗車券が発売できるかどうかですが、駅の方からマルス指令に確認頂いたようで発売自体は問題ないとのことでした。JR〜BRT〜JR〜会社線となるものは引き続き扱わないようですが、マルスシステムで発券できないというのが理由として大きいと思われます。



今回の大船渡線BRTの運行開始に際して、2013年3月2日から有効となるよう東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第17条が改定されました。改定内容はJR九州の公式サイトにおいて公開されています。
とはいえ、気仙沼線BRTの時と同様に詳細には言及していないものとなっています。改定部分を太字で強調してあります。

気仙沼線柳津・気仙沼及び大船渡線気仙沼・盛間の特殊取扱)
第17条 気仙沼線柳津・気仙沼及び大船渡線気仙沼・盛間の一部又は全部の区間を乗車する旅客の取扱い等については、別に定める。

JR東日本三陸鉄道の連絡範囲は以下のとおりです。
東日本大震災後も連絡範囲は縮小されていないようですが、発売できるのは両社とも営業中の区間に限られます。

JR東日本東海道本線 東京(都区内)、東北本線 仙台(※3)・油島〜盛岡間、気仙沼線 本吉〜不動の沢間、大船渡線北上線 柳原〜矢美津間、釜石線田沢湖線 大釜〜赤渕間、山田線、岩泉線八戸線
三陸鉄道:各駅(北リアス線南リアス線とも)
※3 仙台市内の各駅を含む。