東京から東京への嘘乗車券

東京から東京への片道乗車券です。山手線を10周する乗車券です。
過去にご紹介したものと似ていますが、経路が異なります。


今回の経路は以下のとおりです。
東京(東北本線)田端(山手線)品川(東海道本線)東京(東北本線)田端(山手線)品川(東海道本線)東京(東北本線)田端(山手線)品川(東海道本線)東京(東北本線)田端(山手線)品川(東海道本線)東京(東北本線)田端(山手線)品川(東海道本線)東京(東北本線)田端(山手線)品川(東海道本線)東京(東北本線)田端(山手線)品川(東海道本線)東京(東北本線)田端(山手線)品川(東海道本線)東京(東北本線)田端(山手線)品川(東海道本線)東京(東北本線)田端(山手線)品川(東海道本線)東京

東京から東京まで山手線を10周する経路ですが、このような乗車券は東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下「規則」)第68条第4項第1号の規定により、環状線一周を超えるところで打ち切られてしまい発売できませんでした。
しかしながら、平成25年4月1日の旅客営業規則偽改訂によりこの規則は廃止されました。

このため、環状線一周を超え何周もするような経路の乗車券の発売が可能となりました。

経由印字を見てみます。
経由は東京(東北本線)田端(山手線)品川(東海道本線)東京の繰り返しなのですが、券面上の印字は「東北・中央東・東海道」の繰り返しとなっています。
これはマルスシステム上、東京(東北本線)日暮里(山手線2)新宿(中央東線)代々木(山手線1)品川(東海道本線)東京として扱われ、山手線1・2がどちらも印字が省略されるため、このようになっています。
東北本線・山手線2・中央東線・山手線1・東海道本線と一周5経路ですので、10周で50経路となりますが、平成25年4月1日未明にマルスシステムの改修も行われたようで、経路数の多い乗車券でも印字を縮小してマルス券として発売できるようになっているようです。
これによりマルスシステムで対応できない複雑な経路を出札補充券で発売するケースも少なくなると思われます。




さて、山手線の運転系統にしたがった1周は営業キロ34.5kmですので、この乗車券は営業キロ345.0kmとなります。
せっかくなので運賃を計算してみます。

規則第77条第1号の規定により、運賃は300kmまでの運賃と301〜600kmまでの運賃で分割し、合算となります。
規則第77条第2項第3号の規定により、345.0kmは350kmとして扱われます。

東京山手線内相互発着ですので、規則第78条第1号、第2号から第1地帯(300kmまで)の賃率は13.25円/km、第2地帯(301〜600km)までの賃率は12.15円/kmです。合計すると13.25×300+12.15×50=3975+607.5=4582.5円です。

100kmを超えているため、規則第77条第1号により、10の位で四捨五入して4600円です。
規則第77条第2号により消費税5%が加算され4830円となります。

(旅客運賃・料金計算上の営業キロ等の計算方)
第68条 営業キロ又は擬制キロを使用して旅客運賃を計算する場合は、別に定める場合を除いて、次の各号により営業キロ又は擬制キロを通算して計算する。
4 前各項の規定により、旅客運賃・料金を計算する場合で次の各号の1に該当するときは、当該各号に定めるところによつて計算する。
(1)計算経路が環状線1周となる場合は、環状線1周となる駅の前後の区間営業キロ擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する。


(幹線内相互発着の大人片道普通旅客運賃)
第77条 幹線内相互発着となる場合の大人片道普通旅客運賃は、次の各号により計算した額を合計した額とする。
ただし、北海道旅客鉄道会社線四国旅客鉄道会社線又は九州旅客鉄道会社線内発又は着若しくは通過となる場合を除く。

(1)発着区間営業キロを次の営業キロに従つて区分し、これに各その営業キロに対する賃率を乗じた額を合計した額。この場合、発着区間営業キロが100キロメートル以下のときは、10円未満の端数を10円単位に切り上げた額とし、100キロメートルを超えるときは、50円未満の端数を切り捨てて、又は50円以上の端数を切り上げてそれぞれ100円単位とした額とする。
(幹線の賃率は略)
(2)前号の規定により計算した額に 100分の5を乗じ10円未満のは数を円位において四捨五入して10円単位とした額(以下この方法を「四捨五入」という。)

2 前項の規定によるほか、幹線内相互発着の大人片道普通旅客運賃は、次の各号に定める営業キロのものを適用する。
(1)(2)略
(3)101キロメートルから600キロメートルまで
101キロメートルから20キロメートルごとに区分し、101キロメートルから120キロメートルまでは110キロメートルとし、121キロメートル以上は、これに1区分を増すごとに20キロメートルを加えた営業キロとする。
以下略


電車特定区間内等の大人片道普通旅客運賃)
第78条 次の各号に掲げる区間内相互発着の場合の大人片道普通旅客運賃は、第77条に規定する賃率にかかわらず、当該各号に定める賃率によつて、同条の規定を適用して計算し た額とする。
(1)第86条第1号に掲げる図中の太線区間(以下「東京山手線内」という。)及び同条第5号に掲げる図中の太線区間(以下「大阪環状線内」という。)の駅相互発着のときの賃率は、次のとおりとする。
300キロメートル以下の営業キロ(第1地帯)/1キロメートルにつき13円25銭

(2)東京附近及び大阪附近における電車特定区間内相互発着(前号に規定する東京山手線内及び大阪環状線内相互発着となるときを除く。)のときの賃率は、次のとおりとする。
300キロメートル以下の営業キロ(第1地帯)/1キロメートルにつき15円30銭
300キロメートルを超え、600キロメートル以下の営業キロ(第2地帯)/1キロメートルにつき12円15銭
以下略