東京メトロの特例運賃

亀有から秋葉原への片道乗車券です。
北千住〜西日暮里間で千代田線を経由しています。JR1〜東京メトロ〜JR2となる通過連絡運輸の形態となっています。
経路は亀有(常磐線)北千住(千代田線)西日暮里(東北本線)秋葉原です。

乗車区間は以下のとおりです。
JR1:亀有〜北千住 4.7km
東京メトロ:北千住〜西日暮里 4.3km 160円
JR2:西日暮里〜秋葉原 4.3km

東京メトロ千代田線 北千住〜西日暮里経由は通過連絡運輸が行われており、JR線はJR1とJR2を合算した営業キロに対する運賃となります。
JR1+JR2で9.0kmで160円となり、東京メトロ160円と合算で320円が発売額となります。

北千住〜綾瀬間はJR東日本の路線図において常磐線として扱われていますが、過去の開業の経緯から東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第16条の5に定める通り、JR6社では同区間相互となる乗車券を発売しません。

常磐線北千住・綾瀬間相互発着となる旅客の取扱い)
第16条の5 常磐線北千住・綾瀬間相互発着となる旅客に対しては、乗車券類の発売を行わないものとする。

北千住〜綾瀬間相互の乗車券(普通乗車券、回数乗車券、定期乗車券)の発売は東京メトロのみですが、同区間に跨るまたは通過となるJR線利用の場合はJR6社が発売します。
今回の乗車券は綾瀬以遠(亀有方面)である亀有からの利用ですので、綾瀬〜北千住を含む亀有〜北千住間がJR線として扱われます。JRと東京メトロの接続駅は綾瀬ではなく北千住となります。

北千住〜西日暮里間経由の通過連絡運輸の範囲は以下のとおりです。
綾瀬は連絡範囲外ですので、通過連絡運輸として発売できません。

JR東日本武蔵野線 吉川〜南流山間・新八柱常磐線 亀有〜取手間
東京メトロ:千代田線 北千住・西日暮里間(経由)
JR東日本東海道本線 東京〜横浜間(※)、山手線、赤羽線根岸線 桜木町・関内、中央本線 神田〜三鷹間、東北本線 秋葉原〜大宮間・尾久・北赤羽〜北与野間
東京メトロの場合は東京・横浜を連絡範囲に含んでいても、連絡範囲外の東京都区内・横浜市内の各駅は連絡範囲とはなりません。



上記の通過連絡範囲には綾瀬が含まれません。
それでは綾瀬から千代田線経由、西日暮里乗り換えで秋葉原まで利用するとどのようになるのでしょうか。

綾瀬から千代田線経由東日本線西日暮里→150円区間の片道の連絡乗車券です。
JR線秋葉原までの乗車券として購入したものです。

綾瀬は前述の通過連絡運輸の範囲に含まれません。
このため、運賃計算は以下のように通過連絡運輸にはなりません
綾瀬(常磐線)北千住(千代田線)西日暮里(東北本線)秋葉原

運賃計算は以下の経路です。通過連絡運輸ではなく、東京メトロJR東日本の2社連絡の乗車券です。
綾瀬(千代田線)西日暮里(東北本線)秋葉原


営業キロ東京メトロ6.9km、JR東日本4.3kmです。
発売額は「特例310円」とあります。
JR部分が150円、東京メトロは190円となり、合算すると340円350円となってしまい計算が合いません。
これは、綾瀬で西日暮里からJR線に連絡する乗車券をあらかじめ購入するか、綾瀬からの乗車券を西日暮里駅の精算所で変更した場合にのみ綾瀬〜西日暮里間を160円とする特例運賃が適用されているためです。これはいわゆる「乗継割引」とは異なる性格のもののようです。
東京メトロ160円(特例)とJR東日本150円の合算で310円となります。これは東京メトロ→JRだけでなく逆方向でも条件を満たせば適用されます。

この特例運賃の根拠ですが、東京地下鉄株式会社 旅客営業規程では定められていないようです。
東京メトロの駅で配布している「営業のご案内」では以下のように解説されています。


今回は綾瀬から乗車し、北千住以遠で東京メトロの路線である千代田線を利用するため、綾瀬〜北千住は東京メトロとして運賃を計算します。

もっとも、綾瀬から秋葉原へは以下の東京メトロ線完結の経路が運賃190円で最も安価ではあります。
綾瀬(千代田線)北千住(日比谷線)秋葉原


この特例はあらかじめ連絡乗車券を購入していない場合でも、西日暮里で変更することで適用されます。

西日暮里の精算所で発行された区間変更券です。
券面には「千代田線経由 綾瀬→秋葉原」とあります。

この区間変更券は、西日暮里の精算所で綾瀬→190円の乗車券を原券として変更を申し出ました。
東京メトロ完結となる綾瀬→西日暮里の場合は特例は適用されず、運賃は190円となります。この乗車券をJR連絡に変更することで特例が適用され、前述のとおり合算運賃(東京メトロ線は特例適用)310円と原券190円との差額120円が領収額となります。区間変更券についても「特例310円」が券面に印字されています。


なぜJRへの連絡の場合はこのような特例があるのでしょうか。
仮に東京メトロの特例がないとすると、綾瀬〜西日暮里〜秋葉原東京メトロ190円とJR東日本150円で340円となり、綾瀬より遠い金町から秋葉原のほうが320円と安価となるという逆転現象が発生してしまいます。
この運賃の逆転を解消するため、綾瀬〜西日暮里に限ってJR線連絡時は東京メトロに特例運賃を適用していると思われます。

綾瀬〜秋葉原間で通過連絡運輸が適用されたとすると、JR1 綾瀬〜北千住(2.5km※)、JR2 西日暮里〜秋葉原(4.3km)で6.8km(160円)、東京メトロ 北千住〜西日暮里(160円)ですので320円となり金町〜秋葉原と同額ですが、東京メトロ特例の方が安価となります。
※北千住〜綾瀬間の営業キロについて、JR東日本は2.5kmですが、東京メトロは2.6kmと0.1kmの差があります。

西日暮里を接続駅とするJR東日本東京メトロの連絡範囲は以下のとおりです。綾瀬発着、西日暮里経由の場合は綾瀬〜西日暮里間が東京メトロ線として扱われます。

JR東日本東海道本線 東京〜横浜間・西大井・新川崎、山手線、赤羽線南武線 尻手〜武蔵小杉間、根岸線 桜木町・関内、中央本線 神田〜三鷹間、東北本線 秋葉原〜大宮間・尾久・北赤羽〜北与野間
東京メトロ:千代田線 北綾瀬二重橋前