湘南新宿ラインの乗車券・グリーン券

赤羽から保土ヶ谷への普通列車自由席グリーン券です。
料金専用補充券による発行です。休日の利用ですので記事欄に「ホリデー」の記載があります。


湘南新宿ラインの自由席グリーン券なのですが、事由欄にあるとおり「15 Bグ」として発売されます。
東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第18条(3)ではグリーン券として特別車両券(A)、特別車両券(B)が定められています。
Aは急行列車(新幹線・特急・急行)、Bは普通列車(普通・快速・ライナーなど)のグリーン券を指します。それぞれ「14 Aグ」「15 Bグ」となります。


赤羽から保土ヶ谷への湘南新宿ラインでの経路は以下のとおりです。
赤羽(東北本線)田端(山手線)品川(東海道本線[横須賀品鶴線])鶴見(東海道本線)保土ヶ谷
営業キロは51.7kmとなります。

湘南新宿ラインは田端・品川を経由しませんが、上中里駒込間で経由する田端信号場は田端と同一扱いとされ、大崎〜西大井間の通称大崎支線には営業キロが設定されていないため品川経由でそれぞれ運賃・料金が計算されます。湘南新宿ラインは運賃・料金の計算に例外が多数あるため、以下運賃と料金に分けてそれぞれ考察してみます。

【運賃】
大都市近郊区間内相互発着ですので、東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第157条第2項の規定により、以下の最短経路の乗車券での乗車が可能です。

赤羽(東北本線)東京(東海道本線)保土ヶ谷
営業キロは45.0km、運賃は690円です。

赤羽から保土ヶ谷への片道乗車券です。経由は東北・山手・東北・東海道とあります。
マルスシステム上、経路は赤羽(東北本線2)田端(山手線2)日暮里(東北本線)東京(東海道本線)保土ヶ谷となるため、一見関係ない「山手」が経由に印字されます。



【料金】
グリーン料金には運賃のような最短経路で計算する特例はありませんので、原則どおり乗車経路によります。
東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第70条には、同条に規定される区間(以下、70条区間)を通過する場合は最短の営業キロで運賃・料金を計算すると定められていますが、今回は赤羽〜保土ヶ谷間ですので70条区間は通過しておらず、この規定は適用されません。
ただし赤羽〜池袋間は東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第110条(1)の規定に従い、田端経由(東北・山手線)であっても板橋経由(赤羽線)で運賃・料金を計算します(列車特定区間 ※)。
さらに、品川〜鶴見間は東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第69条の規定により西大井経由(横須賀品鶴線)であっても、大井町経由(東海道本線)で運賃・料金を計算します(経路特定区間)。
(※)JR東日本:きっぷに関するご案内では成田エクスプレス号の利用時に限られるような記載となっていますが、下記に示す条文の通り同区間を直通運転する列車(急行列車に限らない)が適用条件です。


従って赤羽〜保土ヶ谷間のグリーン料金計算経路は以下のとおりです。

赤羽(赤羽線)池袋(山手線)品川(東海道本線)保土ヶ谷
営業キロは45.9kmです。平成24年7月8日(日)は休日で、事前料金ですのでグリーン料金は550円となります。

このように実際の乗車経路(51.7km)、運賃計算経路(45.0km)、料金計算経路(45.9km)が全て異なっています。
これは東京都心部に特例が多数設定されていることによるものです。


今回の運賃・料金計算に関係する旅客営業規則・旅客営業取扱基準規程を以下に示します。

(特定列車に対する旅客運賃及び料金の計算経路の特例)
第110条 次の各号に掲げる場合で、当該各号の末尾のかつこ内の上段の区間を乗車するときは、その区間内において途中下車しない限り、規則第67条の規定にかかわらず、○印の経路の営業キロによつて旅客運賃、急行料金及び特別車両料金を計算することができる。この場合、乗車券の券面の経路は、旅客運賃の計算の経路を表示する。
(1) 赤羽以遠(川口方面)の各駅と池袋以遠(目白方面)の各駅との相互間を、東北本線及び山手線経由で直通運転する列車に乗車するとき
  東北本線及び山手線
 ○赤羽線

(特定区間における旅客運賃・料金計算の営業キロ又は運賃計算キロ)
第69条 第67条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間の普通旅客運賃・料金は、その旅客運賃・料金計算経路が当該各号末尾のかつこ内の両線路にまたがる場合を除いて、○印の経路の営業キロ(第9号については運賃計算キロ。ただし、岩国・櫛ヶ浜間相互発着の場合にあつては営業キロ)によつて計算する。この場合、各号の区間内については、経路の指定を行わない。
(4)品川以遠(田町又は大崎方面)の各駅と、鶴見以遠(新子安又は国道方面)の各駅との相互間
  西大井経由東海道本線
 ○大井町経由東海道本線

(選択乗車)
第157条
2 大都市近郊区間内相互発着の普通乗車券及び普通回数乗車券(併用となるものを含む。)所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、同区間内の他の経路を選択して乗車することができる。

いずれの条文も、遠回りの経路を通っても近い方の経路で計算する、とだいたい同じような内容を定めています。
旅客営業取扱基準規程第110条と旅客営業規則第69条の違いは、「特定列車に対する旅客運賃及び料金の計算経路の特例」においては適用される列車が「東北本線及び山手線経由で直通運転する列車」と指定されているという点です。乗り換えての乗車では適用されないという意味です。また途中下車をしないという条件がある点も異なります。

なお、このグリーン券を利用した7月8日は湘南新宿ライン浦和駅ホーム工事により、湘南新宿ラインが大崎・新宿と大宮・上野での折り返し運転となっていました。
上野〜東京間を山手線・京浜東北線を挟んで2列車のグリーン車を乗り継ぐ利用をしてきました。通常このような連続しないグリーン車の乗継は認められていませんので、工事という特殊な事情下での特例です。

湘南新宿ライン工事のご案内にも上野〜東京間を経由して連続しないグリーン車の乗継のことが書かれていました。