片道200kmを超える普通回数乗車券

東京都区内⇔金谷の普通回数券です。

 

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この回数券の運賃計算経路は東京(東海道本線)金谷です。

片道の営業キロ212.9km、運賃は3670円(消費税率8%時点。以下同)ですので普通回数乗車券の発売額は36700円です。

 

東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第39条第1項では、普通回数乗車券は片道200kmまでの区間に限ると規定しています。

 

この普通回数乗車券は前述の規定に反する発売かというとそうとも言い切れず、同条第3項では「特に必要と認める場合」では、片道300kmまでの区間でも発売するとも規定されています。

そして東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第63条ではその条件は「駅長の判断」で行うものとされています。

 

指定席券売機は駅長の判断がされたものとして片道200kmを超える普通回数乗車券の発売も認めているのでしょうか。そうとは考えにくいです。

 

この普通回数乗車券は、指定席券売機で蒲田→金谷(営業キロ198.5km)の区間で操作した結果発券されたものです。初めから東京→金谷で操作しても発売できません。

 どうも指定席券売機は入力された区間が200kmを超えているかどうかで判定しているようで、特定都区市内適用の結果として営業キロが200kmを超えても発売不可とはしないようです。誰が操作しても購入は可能ですが、指定席券売機のチェック漏れの可能性もありそうです。

 

【旅客営業規則】

(普通回数乗車券の発売)

第39条 旅客が片道200キロメートル以内の区間の各駅相互間(ただし、山陽本線(新幹線)中新下関・小倉間及び鹿児島本線(新幹線)中小倉・博多間にかかわるものを除く。)を乗車する場合は、当該区間に有効な11券片の普通回数乗車券を発売する。

2 略

3 第1項の規定にかかわらず、当社が特に必要と認める場合は、片道200キロメートルを超え300キロメートルまでの区間に対しても普通回数乗車券を発売することがある。

 

【旅客営業取扱基準規程】

(制限距離を超える普通回数乗車券の発売の承諾)
第63条 規則第39条第3項の規定による200kmを超える普通回数乗車券の発売は、事情やむを得ないと認められる場合に限つて行い、その決定は、駅長において行うものとする。
(注) 300kmを超える普通回数乗車券は、発売しない。

 

 

区間変更時の変更区間起点における特定都区市内の適用(基準規程第235条)

新大阪から広島市内への区間変更券です。

JR西日本の改札補充券で発行されました。

 

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この区間変更券は、和歌山→名古屋市内262.7km 4750円(消費税率8%のときの運賃。以下同じ)の片道乗車券を原券に、新大阪から先の方向を変え、広島までに変更したものです。西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、旅客規則)第249条第1項第2号に規定される区間変更です。

原券の経路は和歌山(阪和線)天王寺(大阪環状線)大阪(東海道本線)新大阪(東海道新幹線)名古屋、変更区間の経路は新大阪(山陽新幹線)広島です。

 

原券が片道100kmを超え、かつ大都市近郊区間内相互の乗車券でないため、同条第2項第1号のイの(ロ)により扱われ、不乗区間と変更区間の差額を収受して変更となります。

この場合の不乗区間は新大阪→名古屋で188.6km 3350円、変更区間は新大阪→広島市内(旅客規則第86条の規定により運賃計算は大阪→広島の337.8km)で5620円、差額の2270円が収受額となります。

 

変更区間が片道200kmを超えていますので終点側は広島市内となっていますが、起点側は大阪市内ではなく新大阪です。

これは西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第235条第3号のエの規定により、特定都区市内、東京山手線内、大阪・新大阪を適用する場合であっても、発着駅以外は特定都区市内を適用せず単駅とする規定によるものです。

このため、変更区間の起終点がともに特定都区市内に属し、中心駅間の営業キロが片道200kmを超える変更であっても片側は単駅、他方は特定都区市内という少し変わった券面となります。

変更の起点側には特定都区市内は適用されていませんので、この区間変更券では経路上の大阪市内各駅を含む広島市内以外の各駅で途中下車が可能です。

 

なお、和歌山→広島市内は阪和線大阪環状線東海道本線・新大阪・新幹線経由で417.7kmですので、はじめから通しで買えば6800円、4日間有効です。

区間変更は旅客規則第246条の規定により、原券の有効日数から経過日数(変更の当日は含めない)を引いたものよりも変更区間から経過日数(変更の当日は含めない)を引いたものの方が多い場合を除き、原券の有効日数から経過日数(変更の当日は含めない)を引いた日数となります。

 

今回の場合、原券は3日有効、変更区間も3日有効、経過日数は0日(変更の当日は含めない)ですので区間変更券も3日間有効です。原券4750円と区間変更の収受額2270円をあわせて合計支払い額は7020円です。

通しで買うより高く、有効日数も短くなってしまいました。

 

なお、券面の強引な訂正や原券欄、収受額の微妙な数字(基準規程第195条第1項第4号但し書き)など気になることが多い区間変更券ですので、発行箇所は伏せておきます。新大阪駅ではありません。

 

基準規程

(乗車券類の訂正方)
第195条 乗車券類に表示した事項は、次の各号に掲げる事項に限つて、発行の際までに訂正することができる。この場合における訂正を要する原記入文字(数字の場合はその一連の全部)は、明読できる範囲でまつ線2条を引くものとする。
(1) 他駅から配付を受けた乗車券類を発売する場合の発駅名、着駅名又は発行駅名
(2) 他駅乗車の補充乗車券を発売する場合の発駅名又は着駅名
(3) 他駅乗車の急行券、特別車両券、寝台券又は座席指定券を発行する場合の乗車駅名、下車駅名又は発時刻
(4) 複写式のもので、各片を同時に一筆で訂正できる場合。ただし、出札補充券、改札補充券、料金専用補充券及び車内補充券の領収額欄に記入した金額(記事欄に記入した概算金額を含む。) を訂正することはできない。
2 前項の場合、訂正箇所に駅名小印(乗務員にあつては、認印)を押さなければならない。
 
(一般用特別補充券の各欄の記入方)
第235条 出札補充券、改札補充券、料金専用補充券及び車内補充券の各欄の記入方は、次の各号に定めるとおりとする。
(1)〜(2) 略
(3) 収受又は変更区間欄は、次により記入する。
ア〜ウ 略
エ 変更区間に対して、規則第86条から同第88条までの規定を適用する場合、発駅名又は着駅名以外は、「品川」の例により記入する。
(以下略)
 

 

 

町田から南町田グランベリーパークへの片道乗車券

町田から南町田グランベリーパークへの片道乗車券です。JR東日本東急電鉄の連絡乗車券で、出札補充券で発売されました。

先日の乗車券と同じ区間ですが2019年10月1日以降に購入しており、着駅名が変更されています。社名も変更されています。

 

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経路は町田(横浜線)八王子(中央本線)新宿(山手線)田端(東北本線)上野(東北新幹線・東京折返)神田(中央本線)代々木(山手線)渋谷(田園都市線)南町田グランベリーパークです。

2019年10月に消費税率が変更されました。

この区間の運賃はJR線JR線83.6km 1450円、東急線29.2km 310円の合計1760円ですが、この乗車券は2019年9月30日以前に購入した乗車券を原券に乗車券類変更をおこなったため、旧運賃(JR1420円、東急300円)での発売となっています。

2日間有効で途中下車可能です。東急電鉄線内での途中下車も可能です。

なお、券面への[乗変]の記載は漏れてしまったようです。

 

 

マルス券でも購入しました。

町田から南町田グランベリーパークへの片道乗車券です。

 

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経路は町田(横浜線)東神奈川(東海道本線)品川(山手線)渋谷(田園都市線)南町田グランベリーパークです。

マルス券で発券できるよう最短経路で購入しました。JR線50.3km 940円、東急線29.2km 310円で合計79.5km 1250円です。片道100kmを超えていませんので当日限り有効で下車前途無効となります。

大都市近郊区間とそれに接続する連絡会社線相互の区間ですので、JR線区間においては大都市近郊区間内の選択乗車が可能となり、新幹線区間を除く上記の出札補充券と同じ経路での利用が可能です。

 

町田から南町田への片道乗車券

町田から南町田への片道乗車券です。

渋谷を接続駅とするJR東日本東京急行電鉄(当時の社名)の連絡乗車券です。出札補充券で発売されました。

 

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この乗車券の経路は町田(横浜線)八王子(中央本線)新宿(山手線)田端(東北本線)上野(東北新幹線・東京折返)神田(中央本線)代々木(山手線)渋谷(田園都市線)南町田です。

JR線83.6km 1420円、東急線29.2km 300円で合計112.8km 1720円です。

片道100kmを超え、大都市近郊区間に含まれない東北新幹線を経路に含むため2日間有効で途中下車可です。

 

南町田駅は2019年10月1日に南町田グランベリーパーク駅に駅名を変更しました。この乗車券は駅名変更前のものです。金額入力の自・社区間で発券できそうですが、出札補充券での発売となりました。

なおJR東日本が発売する場合、南町田(現:南町田グランベリーパーク)を発着駅にできるのは渋谷接続に限られます。最短経路で需要もありそうな長津田接続はどういうわけか連絡範囲外となっています。

 

岡山から津山への片道乗車券(中国高速線経由)

岡山から津山への片道乗車券です。

区間だけ見ると津山線経由のJR線単独のようにも見えますが、新大阪接続の西日本JRバス(中国高速線経由)の連絡乗車券です。

 

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西日本JRバスの中国高速線(中国ハイウェイバス)は大阪・新大阪・津山接続でJR西日本の各駅と連絡運輸を扱っていますが、存在自体が殆ど知られていない上に社線運賃の登録のない区間、駅名(バス停名)自体が登録されていない駅など発売が困難な区間も多く、さらに近年は中国ハイウェイバス交通系ICカードが使えるようになったことから実際の連絡乗車券の需要はほぼないと言っていいでしょう。

なお、バスの指定券はJR西日本の駅では発券できず、連絡乗車券を西日本JRバスの出札窓口に提示して交付を受ける必要があります。

 

なお、新大阪接続の津山はマルスシステムに社線運賃が登録されており、85mm券での発券が可能です。新幹線を含め自動改札機にも対応しています。

 

この乗車券の経路は岡山(山陽本線)神戸(東海道本線)新大阪(中国高速線)津山です。

JR線176.5km 3020円(西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第88条(西日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則第45条で準用)により、運賃計算は岡山→大阪)と西日本JRバス線158.9km 2830円で、合わせて5850円です。

有効日数は鉄道区間営業キロによる2日と、自動車線による1日で3日間有効となります。

 

この乗車券では大阪と新大阪で途中下車しました。JR線単独の乗車券では岡山→大阪・新大阪となるので大阪または新大阪のどちらかで下車した時点で旅行終了となり、両方での下車はできません。

自動車線内での途中下車可否は不明ですが、過去の資料では美作インターに限り途中下車を扱うようです。現在も扱っているのかどうかはわかりません。

姫路から姫路への片道乗車券

姫路から姫路への片道乗車券です。

 

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この乗車券の経路は以下のとおりです。智頭〜上郡間で智頭急行線を経由しています。

姫路(姫新線)東津山(因美線)智頭(智頭線)上郡(山陽本線)姫路

JR線は前後の営業キロを通算して157.4km(運賃計算キロ169.7km) 3020円、智頭急行線56.1km 1300円で、合計4320円です(消費税8%の運賃)。

営業キロは合わせて225.8kmですので3日間有効、途中下車も可能です。

 

この乗車券、マルスシステムでは上記の通り運賃計算ができて発券も可能ですが、佐用駅をJR線と智頭急行線で2度通過しています。

JR線と連絡会社線にまたがる8の字乗車券の発売は環状線一周を超えることから片道乗車券として成立しないとも解釈できますが、この乗車券を購入したときはJR線と社線で別であるとの解釈から発売されました。

片道乗車券の発売を規定している西日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則第16条第1号では打ち切り条件を旅客規則により営業キロ等を打ち切る場合(=JR線区間環状線一周等)に限定しており、JR線と連絡会社線環状線一周となるケースは含まれないとも解釈できます。

今回発売されたのは上記のような判断がなされたのでしょうか。単にマルスで運賃計算できただけのような気もします。

 

なお、券面のとおり佐用駅では2度途中下車しました。1回目はJR線として、2回目は連絡会社線としてです。

佐用駅は構造上改札が1箇所しかなく、1回目も2回目も同じ係員の方でした。同じ駅の途中下車印が並ぶというよくわからない状況でしたが、特に止められることもなく途中下車は可能でした。

 

(普通乗車券の発売)

第16条 旅客が列車等に乗車船する場合は、次の各号に定めるところにより、片道乗車券、往復乗車券又は連続乗車券を発売する。(1)片道乗車券普通旅客運賃計算経路の連続した区間を片道1回乗車船(以下「片道乗車」という。)する場合に発売する。ただし、旅客規則第68条第4項の規定により営業キロ擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切つて計算する場合は、当該打切りとなる駅までの区間のものに限り発売する。

 (以下略)

 

 

 

普通車指定席用の回数券でのグリーン車乗車

広島→博多のAグリーン券です。

新幹線グリーン車の車内でグリーン券を購入した際に発券されました。グリーン券単独での発売です。

 

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西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第63条第1項では、特急列車のグリーン券の発売は急行券と同時に発売する場合に限ると規定されており、本来はグリーン券単独での発売は行いません。

 

 このグリーン券は、博多(市内)⇔広島(市内)の新幹線回数券(普通車用)で新幹線に乗車し、車内でグリーン車への変更を申し出た際に発売されたものです。

 

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普通車用の新幹線回数券は当然ながら普通車でしか使用できませんが、使用開始後については「乗車後車内に余席があり運輸上支障がない場合」は「所定のグリーン料金」を支払うことでグリーン車へ変更できます。 

 

この場合の「所定のグリーン料金」とは、普通車指定席特急料金4140円とグリーン車指定席特急料金7800円の差額3660円ではなく、広島→博多間280.7kmに相当するグリーン料金4190円となります。

グリーン車利用時の指定席料金相当額530円の減額がなく、グリーン料金がそのまま必要となるため割高ではあります。

車内補充券発行機はこのようなケースを想定し、グリーン券単独での発売にも対応しています。

 

(指定券の関連発売等)

第63条 旅客が、特別急行列車の指定席(特別車両の指定席及びコンパートメント個室に限る。)又は寝台を使用する場合の指定席特別車両券(A)、寝台券又はコンパートメント券は、指定席特急券と同時に購入するときに限って発売する。