青春18きっぷと新幹線代替輸送

平成30年夏の青春18きっぷです。

 

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発行箇所は「○日 シャープ内」とありますが、これは金券ショップで購入したものですのでどのような経緯で持ち込まれたのか詳細はわかりません。1回余らせてしまいました。

 

平成30年7月に発生した豪雨により、中国地方の在来線には大きな影響がでました。山陽本線においても長期間の運休が発生しバス代行もできない区間も存在したため、山陽新幹線での代替輸送が実施されていました。

ただし無制限に利用を認めるというものではなく、救済の対象は「平成30年7月6日以前に購入した乗車券等」に限られていました。

代替輸送は有効な乗車券を提示し「新幹線代替輸送乗車票」を受け取って乗車、下車駅で乗車券(定期乗車券は除く)と乗車票を改札係員に渡すことで行われていました。

区間は当初福山〜広島間、新岩国〜徳山間でしたが、在来線の運転再開に伴い徐々に縮小され、全線運転再開に伴い終了しました。

 

この代替輸送は定期乗車券の旅客を対象にしたものと考えられますが、定期乗車券以外の普通乗車券・普通回数乗車券に加え、特別企画乗車券も対象となっていました。特別企画乗車券の1つである青春18きっぷも平成30年7月6日以前に購入したものであれば新幹線代替は認められていましたが、広島地区はJR西日本が「旅行見合わせのお願い」を出していたこともあり、青春18きっぷで新幹線が利用できると明確に記載した資料は、少なくともウェブ上にはなかったように見えました。

 

ただし、関係する駅には混乱を避けるためか掲出されていました。以下は三原駅に掲出されていたものです。

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青春18きっぷでの三原・広島間の新幹線利用について、平成30年7月6日以前発売のものでは追加の支払い不要、平成30年7月7日以降発売のものでは乗車券・特急券合わせて2290円が必要と大きく効力が異なっていました。

なお、山陽本線 八本松・瀬野間はバス代行も行っていなかったため(※)、三原・広島間は山陽本線経由での行き来ができない状態となっていました。

※実際には広島バスセンターと西条を結ぶ芸陽バスの路線バスで移動は可能でしたが、本数が少ないためか代替交通手段としては扱われていませんでした。

 

 

新幹線代替輸送乗車票です。

自由席のみ利用可能で差額を支払っても指定席・グリーン車は利用不可、「新幹線(ひかり・こだま)代替輸送乗車票」とあるとおり、福山・広島間においてものぞみ号・さくら号の利用は認められていませんでした。

区間外に跨って利用、またはひかり号・こだま号以外を利用すると乗車全区間の乗車券・特急券が必要でした。

 

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鬼無駅の乗車券類

鬼無から大阪市内への片道乗車券です。

鬼無駅の常備乗車券で発売されました。 

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経由欄には何も書いてありませんが、鬼無(予讃線)宇多津(本四備讃線)茶屋町(宇野線)岡山(山陽新幹線)新大阪または鬼無(予讃線)宇多津(本四備讃線)茶屋町(宇野線)岡山(山陽本線)神戸(東海道本線)大阪で、営業キロ242.2km、運賃は4620円※です。

なぜ経由欄は何も書かれていないのでしょうか……。

瀬戸大橋線の加算運賃100円を含む。四国旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第85条の2第5号。

 

 

鬼無駅は2018年3月31日までは中華料理店に併設された出札窓口が営業していました。運賃・料金確認用にPOS端末は設置されていましたが発券機能はなく、乗車券類の発売は常備券または補充券で行われていました。

現在は出札窓口の営業は終了し、下り高松方面行きホームにのみ自動券売機が設置されています。ICOCAエリア内ですので交通系ICカードでの利用も可能です。

 

岡山から新大阪への新幹線自由席特急券です。乗車券を含め東京(都区内)までのものもありました。

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常備券のない区間については補充券での発売となりますが、こちらから申し出れば補充券で発売いただくことも可能でした。

鬼無から高松への片道乗車券です。出札補充券で発売されました。

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高松から宇多津への自由席特急券です。料金専用補充券で発売されました。

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鬼無から四国会社線小児100円区間の片道乗車券です。鬼無からだと端岡・国分が該当します。

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(加算普通旅客運賃の適用区間及び額)
第85条の2
大人加算普通旅客運賃の適用区間及び額は、次の各号に定めるとおりとする。
(1)南千歳・新千歳空港間 140円
(2)日根野りんくうタウン間 150円
(3)日根野関西空港間 220円
(4)りんくうタウン関西空港間 170円
(5)児島・宇多津間 100円
(6)田吉宮崎空港間 120円

 

 

旅客営業規則第57条の2(乗車券への乗継証明)

宇多津から米原への片道乗車券です。

宇多津駅の自動券売機で購入しました。

 

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JR四国の一部の駅では自動券売機に長距離の口座も設定されており、いずれも自由席の四国内在来線特急券と岡山乗換の新幹線特急券と合わせた発売も行っています。

乗車券を含めたすべての券面に「乗継」が印字されています。

 

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四国旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第57条の2の第3号においては、乗継割引は関係する乗車券と急行券を同時に購入、または乗車券を呈示し先乗列車と後乗列車の急行券を同時に購入し、これに証明※を受けることを求めています。

※規則第188条第1項第10号により[乗継]です。

 

規定上は乗車券にも「乗継」の証明が必要なのですが、マルスシステムが対応していないのか乗継が印字されている乗車券は今まで見たことがありませんでした。

乗車券への証明は規定上のみ存在するものだと思っていましたが、まさか近距離券売機で証明が印字された乗車券が発売されるとは予想外でした。

 

(乗継急行券の発売)
第57条の2
旅客が、急行列車相互間に乗継ぎをする場合で、次の各号に該当するとき(以下「乗継条件」という。)は、第1号に規定する○印の1個の急行列車に対して割引の急行券を発売する。ただし、設備定員が複数の寝台個室及び別に定める特別急行列車の個室に乗車する場合に発売する特別急行券については、割引の取扱いをしない。

(1)〜(2) 略

(3)当該乗車に必要な乗車券及び急行券を同時に購入し、又は当該乗車に必要な乗車券を呈示して、先乗列車及び後乗列車の急行券を同時に購入し、これに相当の証明を受けた場合。

 

(旅客運賃・料金の割引等に対する表示)
第188条
旅客運賃・料金の割引等を行う乗車券類には、その証として、関係券片の表面(第8号に規定する記号については表面)に、ゴム印の押なつにより、次の各号に定める記号等の表示を行う。ただし、特に設備する乗車券類、第8号に規定する記号については、これと異なる表示方をし、又はこの表示を省略することがある。
(1)〜(9) 略

(10)第57条の2又は第61条の2の規定により証明をする乗車券、急行券及び座席指定券に対するもの  乗継

(以下略)

 

JR西日本の指変券

JR西日本の車内補充券発行機で発行された指定券(指変)です。

区間は「******→******」となっています。

 

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一見したところどういう券なのか分かりづらいですが、これは予め所持していた自由席特急券を指定席に変更した際に発行されたものです。

 

所持していたのは米子から出雲市への自由席特急券です。

A特急料金区間営業キロ61.6kmですので特急料金は1180円です。これを指定席に変更しました。

 

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自由席特急券から指定席特急券への変更は、「指定券変更」として西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第252条第9項に規定されており、同条第8項の規定により既に収受した料金と、実際の乗車区間営業キロ又は同区間に対する料金との差額(過剰時は返金なし)を収受します。

今回の場合、米子〜出雲市の通常期普通車指定席特急料金1700円と、原券1180円の差額である520円を収受します。

指変で区間を******とする根拠はよくわかりませんが、自由席から指定席への指定席変更で区間が変更とならない場合は、車内補充券の発行方を定めた西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程(以下、基準規程)第236条第1項第4号のクの(カ)で「原券欄、変更区間欄及び記事欄の記入を省略し、当該各欄にまつ線を引いて発行することができる」と規定しています。

******はまつ線ではありませんが、この規定が根拠となっているのかもしれません。

 

自由席特急券を指定席に変更する場合、原券を回収の上で新たに指定席特急券を発行するケースが多いのですが、区間が変更とならない場合はこのような指変券を発行し、原券とともに所持させる方法を取ることもできます。

なお、実際には枚数が1枚で済むため、特に理由がなければ指定席特急券の発行で処理されることがほとんどです。 

 

指定席特急券発行で処理されたケースです。

江津から出雲市への自由席特急券(株主優待割引適用)を指定席特急券に変更した際の指変券・特急券です。

 

江津〜出雲市間69.7kmの自由席特急料金1180円が株主優待割引適用で590円、同区間の通常期指定席特急料金1700円の半額850円との差額260円が収受額となります。

原券の自由席特急券を回収の上、新たに指定席特急券が発行されました。株主優待割引を示す[西優5割65]が券面に印字されます。

 

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JR西日本の車内補充券発行機では、指定席料金相当額に株主優待割引を適用した金額での指変券だけの発券ができないようで、株主優待が関係する場合はこの方法しか取れないようです。

なお「指変」は指定券変更を表す略号で、基準規程第235条第1号カに規定されています。

 

【旅客営業規則】

(指定券変更)

第252条 指定急行券、指定特別車両券、寝台券、コンパートメント券又は座席指定券を所持する旅客は、使用開始後に、あらかじめ係員に申し出て、その承諾を受け、1回に限って、当該乗車券類について区間又は利用施設の変更(これらの変更を「指定券変更」という。)をすることができる。ただし、のぞみ号等及びはやぶさ号等の指定席、東京・京都間の新幹線停車駅と新鳥栖鹿児島中央間の新幹線停車駅との相互間の指定席並びにグランクラスへの変更を除く。

2〜7 略

8 指定券変更の取扱いをする場合は、原乗車券類に対するすでに収受した料金と、実際の乗車区間営業キロ又は同区間に対する料金(未指定特急券にあっては、原未指定特急券に適用した指定席特急料金によって計算した実際の乗車区間に対する指定席特急料金)とを比較し、不足額は収受し、過剰額は払いもどしをしない。

9 指定急行券以外の急行券又は自由席特別車両券を所持する旅客は、使用開始後にあらかじめ係員に申し出て、その承諾を受け、当該急行券又は自由席特別車両券を指定券(急行・指定席特別車両券(A)、急行・寝台券、急行・コンパートメント券及び急行・座席指定券を含む。)に変更することができる。この場合は、前各項の規定を準用する。

 

【旅客営業取扱基準規程】

(一般用特別補充券の各欄の記入方)
第235条 出札補充券、改札補充券、料金専用補充券及び車内補充券の各欄の記入方は、次の各号に定めるとおりとする。
 (1) 事由欄は、次に掲げる略号を記入(略号が記入されている場合は、○でかこむ。) することができる。この場合、異なる種類のものを一葉として発行するときは、それぞれの略号を組み合わせて「片道特急」の例により記入する。ただし、乗車券類の代用として発行するとき及び前途の他列車に対して発行するときは、略号の後に「券」をつけるものとする。
  ア〜オ 略
  カ 指定券変更 指変
(以下略)
 
(一般用特別補充券の発行方)
第236条 一般用特別補充券は、次の各号に定めるところにより発行し、甲片は旅客に交付し、乙片(払いもどしの取扱いをするものを除き、旅客から回収した乗車券類とも)は別に定める改札日報、乗車券簿又は車掌区収入日報に添附して審査課長に提出する。この場合、不使用証明用として発行する車内補充券は、変更終了後、旅客に交付するものとする。
 (1)〜(3) 略
 (4) 車内補充券
  ア〜キ 略
  ク 各欄の記入方は、前条の規定によるほか、次による。
   (ア)〜(オ) 略
   (カ) 自由席特急券から指定席特急券への指定券変更(乗車区間が変更とならない場合に限る。) の取扱いをする場合は、原券欄、変更区間欄及び記事欄の記入を省略し、当該各欄にまつ線を引いて発行することができる。
(以下略)

券面日付の西暦表示

2018年10月1日にみどりの券売機で購入した、津和野から新山口へのSLやまぐち号の指定席券です。
発行箇所の表示が「2018.10.-1陽)横川駅MK1(4− )」と西暦表示になっています。


JRにおけるきっぷの日付表示は長らく元号表記となっていましたが、今年初頭から近距離券売機などで西暦表記への一本化が進められており、この度10月1日からはマルス券においても西暦表示となりました。
きっぷの様式は西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第183条〜第227条に規定されていますが、マルス券の様式を定めた規則第223条第4号、同第5号の特殊指定共通券第4種(85mmマルス券)、第5種(120mmマルス券)は改定されておらず、現在も元号表示のままです(2018/10/6現在)。
ただし規則第183条第2項において「元号表示のものを西暦表示に、西暦表示のものを元号表示とすることがある」と規定しているため、現行規定でも特に問題はありません。


POS端末などではマルス端末に先行して西暦表示が行われていました。

POS端末設置の姫路駅播但線姫新線乗換改札の姫路→京口の片道乗車券、可部線梅林駅の梅林〜緑井間の普通回数券、梅林駅入場券です。


前回の記事で掲載した、車内補充券発行機で発売されたあき亀山新尾道の片道乗車券です。


いずれも2018年8月の時点で、西暦表示となっています。

(乗車券類の表示事項)
第183条 乗車券類の表面には、次の各号に掲げる事項を表示する。
(1)旅客運賃・料金額
(2)有効区間
(3)有効期間
(4)発売日付
(5)発売箇所名
2 前項第3号及び第4号について、元号表示のものを西暦表示に、西暦表示のものを元号表示とすることがある。
(以下略)

(特殊指定共通券の様式)
第223条 特殊指定共通券は、普通乗車券、普通回数乗車券(第4種に限る。)、定期乗車券(第6種に限る。)、団体乗車券(第2種及び第5種に限る。)、指定券(急行・指定席特別車両券(A)、急行・寝台券、急行・コンパートメント券及び急行・座席指定券を含む。以下この条において同じ。)、自由席特急券、特定特急券普通急行券若しくは別に定める乗車券類又は普通乗車券と指定券として発売するものとし、その様式は、次のとおりとする。
(以下略)

JR西日本車内補充券発行機でのクレジットカード決済

あき亀山から新尾道への片道乗車券です。
JR西日本の車内補充券発行機で発売されました。

経路はあき亀山(可部線)横川(山陽本線)広島(山陽新幹線)新尾道営業キロ101.5km(運賃計算キロ103.1km)、運賃は1940円です。
片道100kmを超えているため2日間有効で途中下車も可能です。

券面の[西車C]は車内補充券発行機(車発機)でクレジット決済を行ったときの表示です。

JR西日本は最近、車発機の更新を行っており、新型の車発機ではクレジットカード決済による乗車券類の発売も可能です。
端末下部にカード読み取り用の溝があり、そこにクレジットカードを通して決済を行います。
サインは車発機の画面にスタイラスペンで記入する方式でした。
券面の日付印字が西暦表示になっています。ただし、有効期間は有効日数を表示する「2日間有効」のままでした。


クレジットカードご利用票です。


払い戻しについての記載がありますが、実際どのように扱われるのかはよくわかりません。
R通番の印字があるためマルス端末設置のみどりの窓口のある駅でしか扱えないような気はします。
マルスに通せない非磁気券ですので、他社JRでの払い戻しは不可かもしれません。

呉から海田市への片道乗車券

呉から海田市への片道乗車券です。呉線経由で営業キロは20.0km、運賃は320円です。


呉線平成30年7月豪雨の影響により8月1日までは三原〜海田市間の全線で運転を見合わせ、バスによる代行輸送を行なっていました。
この代行輸送は主に広島駅と呉線内の駅の輸送に重点が置かれた運行形態となっており、以下の区間での運転となっていました。

・広島駅〜矢野駅・坂駅
・広島駅〜呉駅(普通、水尻駅〜呉駅間各駅)
・広島駅〜呉駅(特急、ノンストップ)
・広島駅〜広駅(特急、ノンストップ)
・広駅〜呉駅

このため、天神川〜海田市間、矢野・坂、水尻〜広間の相互間の場合は、一旦広島駅を経由しないと到達できない状態となっていました。

このような場合は発駅から着駅までの直通の乗車券で、バス同士またはバスと鉄道の乗り継ぎのための広島駅での折返しの乗車が認められていました。

上記の乗車券の場合、呉、代行バス、広島、山陽本線海田市の利用が可能でした。
8月2日からは呉線 坂〜海田市間の運転が再開され、バスの乗り継ぎは坂駅に変更されたため、このような折り返し乗車は不要となりました。


なお、呉線は8月20日から広〜呉間で暫定的な列車の運転を開始しています。9月9日からは広〜坂間で列車の運転を再開する予定です。