旅客営業規則第57条の2(乗車券への乗継証明)

宇多津から米原への片道乗車券です。

宇多津駅の自動券売機で購入しました。

 

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JR四国の一部の駅では自動券売機に長距離の口座も設定されており、いずれも自由席の四国内在来線特急券と岡山乗換の新幹線特急券と合わせた発売も行っています。

乗車券を含めたすべての券面に「乗継」が印字されています。

 

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四国旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第57条の2の第3号においては、乗継割引は関係する乗車券と急行券を同時に購入、または乗車券を呈示し先乗列車と後乗列車の急行券を同時に購入し、これに証明※を受けることを求めています。

※規則第188条第1項第10号により[乗継]です。

 

規定上は乗車券にも「乗継」の証明が必要なのですが、マルスシステムが対応していないのか乗継が印字されている乗車券は今まで見たことがありませんでした。

乗車券への証明は規定上のみ存在するものだと思っていましたが、まさか近距離券売機で証明が印字された乗車券が発売されるとは予想外でした。

 

(乗継急行券の発売)
第57条の2
旅客が、急行列車相互間に乗継ぎをする場合で、次の各号に該当するとき(以下「乗継条件」という。)は、第1号に規定する○印の1個の急行列車に対して割引の急行券を発売する。ただし、設備定員が複数の寝台個室及び別に定める特別急行列車の個室に乗車する場合に発売する特別急行券については、割引の取扱いをしない。

(1)〜(2) 略

(3)当該乗車に必要な乗車券及び急行券を同時に購入し、又は当該乗車に必要な乗車券を呈示して、先乗列車及び後乗列車の急行券を同時に購入し、これに相当の証明を受けた場合。

 

(旅客運賃・料金の割引等に対する表示)
第188条
旅客運賃・料金の割引等を行う乗車券類には、その証として、関係券片の表面(第8号に規定する記号については表面)に、ゴム印の押なつにより、次の各号に定める記号等の表示を行う。ただし、特に設備する乗車券類、第8号に規定する記号については、これと異なる表示方をし、又はこの表示を省略することがある。
(1)〜(9) 略

(10)第57条の2又は第61条の2の規定により証明をする乗車券、急行券及び座席指定券に対するもの  乗継

(以下略)

 

JR西日本の指変券

JR西日本の車内補充券発行機で発行された指定券(指変)です。

区間は「******→******」となっています。

 

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一見したところどういう券なのか分かりづらいですが、これは予め所持していた自由席特急券を指定席に変更した際に発行されたものです。

 

所持していたのは米子から出雲市への自由席特急券です。

A特急料金区間営業キロ61.6kmですので特急料金は1180円です。これを指定席に変更しました。

 

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自由席特急券から指定席特急券への変更は、「指定券変更」として西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則第252条第9項に規定されており、同条第8項の規定により既に収受した料金と、実際の乗車区間営業キロ又は同区間に対する料金との差額(過剰時は返金なし)を収受します。

今回の場合、米子〜出雲市の通常期普通車指定席特急料金1700円と、原券1180円の差額である520円を収受します。

指変で区間を******とする根拠はよくわかりませんが、自由席から指定席への指定席変更で区間が変更とならない場合は、車内補充券の発行方を定めた西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程(以下、基準規程)第236条第1項第4号のクの(カ)で「原券欄、変更区間欄及び記事欄の記入を省略し、当該各欄にまつ線を引いて発行することができる」と規定しています。

******はまつ線ではありませんが、この規定が根拠となっているのかもしれません。

 

自由席特急券を指定席に変更する場合、原券を回収の上で新たに指定席特急券を発行するケースが多いのですが、区間が変更とならない場合はこのような指変券を発行し、原券とともに所持させる方法を取ることもできます。

なお、実際には枚数が1枚で済むため、特に理由がなければ指定席特急券の発行で処理されることがほとんどです。 

 

指定席特急券発行で処理されたケースです。

江津から出雲市への自由席特急券(株主優待割引適用)を指定席特急券に変更した際の指変券・特急券です。

 

江津〜出雲市間69.7kmの自由席特急料金1180円が株主優待割引適用で590円、同区間の通常期指定席特急料金1700円の半額850円との差額260円が収受額となります。

原券の自由席特急券を回収の上、新たに指定席特急券が発行されました。株主優待割引を示す[西優5割65]が券面に印字されます。

 

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JR西日本の車内補充券発行機では、指定席料金相当額に株主優待割引を適用した金額での指変券だけの発券ができないようで、株主優待が関係する場合はこの方法しか取れないようです。

なお「指変」は指定券変更を表す略号で、基準規程第235条第1号カに規定されています。

 

【旅客営業規則】

(指定券変更)

第252条 指定急行券、指定特別車両券、寝台券、コンパートメント券又は座席指定券を所持する旅客は、使用開始後に、あらかじめ係員に申し出て、その承諾を受け、1回に限って、当該乗車券類について区間又は利用施設の変更(これらの変更を「指定券変更」という。)をすることができる。ただし、のぞみ号等及びはやぶさ号等の指定席、東京・京都間の新幹線停車駅と新鳥栖鹿児島中央間の新幹線停車駅との相互間の指定席並びにグランクラスへの変更を除く。

2〜7 略

8 指定券変更の取扱いをする場合は、原乗車券類に対するすでに収受した料金と、実際の乗車区間営業キロ又は同区間に対する料金(未指定特急券にあっては、原未指定特急券に適用した指定席特急料金によって計算した実際の乗車区間に対する指定席特急料金)とを比較し、不足額は収受し、過剰額は払いもどしをしない。

9 指定急行券以外の急行券又は自由席特別車両券を所持する旅客は、使用開始後にあらかじめ係員に申し出て、その承諾を受け、当該急行券又は自由席特別車両券を指定券(急行・指定席特別車両券(A)、急行・寝台券、急行・コンパートメント券及び急行・座席指定券を含む。)に変更することができる。この場合は、前各項の規定を準用する。

 

【旅客営業取扱基準規程】

(一般用特別補充券の各欄の記入方)
第235条 出札補充券、改札補充券、料金専用補充券及び車内補充券の各欄の記入方は、次の各号に定めるとおりとする。
 (1) 事由欄は、次に掲げる略号を記入(略号が記入されている場合は、○でかこむ。) することができる。この場合、異なる種類のものを一葉として発行するときは、それぞれの略号を組み合わせて「片道特急」の例により記入する。ただし、乗車券類の代用として発行するとき及び前途の他列車に対して発行するときは、略号の後に「券」をつけるものとする。
  ア〜オ 略
  カ 指定券変更 指変
(以下略)
 
(一般用特別補充券の発行方)
第236条 一般用特別補充券は、次の各号に定めるところにより発行し、甲片は旅客に交付し、乙片(払いもどしの取扱いをするものを除き、旅客から回収した乗車券類とも)は別に定める改札日報、乗車券簿又は車掌区収入日報に添附して審査課長に提出する。この場合、不使用証明用として発行する車内補充券は、変更終了後、旅客に交付するものとする。
 (1)〜(3) 略
 (4) 車内補充券
  ア〜キ 略
  ク 各欄の記入方は、前条の規定によるほか、次による。
   (ア)〜(オ) 略
   (カ) 自由席特急券から指定席特急券への指定券変更(乗車区間が変更とならない場合に限る。) の取扱いをする場合は、原券欄、変更区間欄及び記事欄の記入を省略し、当該各欄にまつ線を引いて発行することができる。
(以下略)

券面日付の西暦表示

2018年10月1日にみどりの券売機で購入した、津和野から新山口へのSLやまぐち号の指定席券です。
発行箇所の表示が「2018.10.-1陽)横川駅MK1(4− )」と西暦表示になっています。


JRにおけるきっぷの日付表示は長らく元号表記となっていましたが、今年初頭から近距離券売機などで西暦表記への一本化が進められており、この度10月1日からはマルス券においても西暦表示となりました。
きっぷの様式は西日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第183条〜第227条に規定されていますが、マルス券の様式を定めた規則第223条第4号、同第5号の特殊指定共通券第4種(85mmマルス券)、第5種(120mmマルス券)は改定されておらず、現在も元号表示のままです(2018/10/6現在)。
ただし規則第183条第2項において「元号表示のものを西暦表示に、西暦表示のものを元号表示とすることがある」と規定しているため、現行規定でも特に問題はありません。


POS端末などではマルス端末に先行して西暦表示が行われていました。

POS端末設置の姫路駅播但線姫新線乗換改札の姫路→京口の片道乗車券、可部線梅林駅の梅林〜緑井間の普通回数券、梅林駅入場券です。


前回の記事で掲載した、車内補充券発行機で発売されたあき亀山新尾道の片道乗車券です。


いずれも2018年8月の時点で、西暦表示となっています。

(乗車券類の表示事項)
第183条 乗車券類の表面には、次の各号に掲げる事項を表示する。
(1)旅客運賃・料金額
(2)有効区間
(3)有効期間
(4)発売日付
(5)発売箇所名
2 前項第3号及び第4号について、元号表示のものを西暦表示に、西暦表示のものを元号表示とすることがある。
(以下略)

(特殊指定共通券の様式)
第223条 特殊指定共通券は、普通乗車券、普通回数乗車券(第4種に限る。)、定期乗車券(第6種に限る。)、団体乗車券(第2種及び第5種に限る。)、指定券(急行・指定席特別車両券(A)、急行・寝台券、急行・コンパートメント券及び急行・座席指定券を含む。以下この条において同じ。)、自由席特急券、特定特急券普通急行券若しくは別に定める乗車券類又は普通乗車券と指定券として発売するものとし、その様式は、次のとおりとする。
(以下略)

JR西日本車内補充券発行機でのクレジットカード決済

あき亀山から新尾道への片道乗車券です。
JR西日本の車内補充券発行機で発売されました。

経路はあき亀山(可部線)横川(山陽本線)広島(山陽新幹線)新尾道営業キロ101.5km(運賃計算キロ103.1km)、運賃は1940円です。
片道100kmを超えているため2日間有効で途中下車も可能です。

券面の[西車C]は車内補充券発行機(車発機)でクレジット決済を行ったときの表示です。

JR西日本は最近、車発機の更新を行っており、新型の車発機ではクレジットカード決済による乗車券類の発売も可能です。
端末下部にカード読み取り用の溝があり、そこにクレジットカードを通して決済を行います。
サインは車発機の画面にスタイラスペンで記入する方式でした。
券面の日付印字が西暦表示になっています。ただし、有効期間は有効日数を表示する「2日間有効」のままでした。


クレジットカードご利用票です。


払い戻しについての記載がありますが、実際どのように扱われるのかはよくわかりません。
R通番の印字があるためマルス端末設置のみどりの窓口のある駅でしか扱えないような気はします。
マルスに通せない非磁気券ですので、他社JRでの払い戻しは不可かもしれません。

呉から海田市への片道乗車券

呉から海田市への片道乗車券です。呉線経由で営業キロは20.0km、運賃は320円です。


呉線平成30年7月豪雨の影響により8月1日までは三原〜海田市間の全線で運転を見合わせ、バスによる代行輸送を行なっていました。
この代行輸送は主に広島駅と呉線内の駅の輸送に重点が置かれた運行形態となっており、以下の区間での運転となっていました。

・広島駅〜矢野駅・坂駅
・広島駅〜呉駅(普通、水尻駅〜呉駅間各駅)
・広島駅〜呉駅(特急、ノンストップ)
・広島駅〜広駅(特急、ノンストップ)
・広駅〜呉駅

このため、天神川〜海田市間、矢野・坂、水尻〜広間の相互間の場合は、一旦広島駅を経由しないと到達できない状態となっていました。

このような場合は発駅から着駅までの直通の乗車券で、バス同士またはバスと鉄道の乗り継ぎのための広島駅での折返しの乗車が認められていました。

上記の乗車券の場合、呉、代行バス、広島、山陽本線海田市の利用が可能でした。
8月2日からは呉線 坂〜海田市間の運転が再開され、バスの乗り継ぎは坂駅に変更されたため、このような折り返し乗車は不要となりました。


なお、呉線は8月20日から広〜呉間で暫定的な列車の運転を開始しています。9月9日からは広〜坂間で列車の運転を再開する予定です。

渋谷からつくし野への連絡乗車券

渋谷からつくし野への連絡乗車券です。JR東日本の出札補充券により発売されました。


通常、この区間であれば東急線完結26.8km 290円(当時。現行運賃300円)が一般的です。
この乗車券はJR東日本東京急行電鉄の連絡乗車券です。接続駅は横浜です。

経由は記事欄に「山手・赤羽線・東北・上野・新幹線・東京・西大井・向河原・新子安・横浜・東急東横・大井町線田園都市線」とあります。
駅名が列挙されている区間がやや分かりづらいですが、以下の経路です。

渋谷(山手線)池袋(赤羽線)赤羽(東北本線)上野(東北新幹線)東京(東海道本線)品川(東海道本線[品鶴線])武蔵小杉(南武線)川崎(東海道本線)横浜(東横線)自由が丘(大井町線)二子玉川(田園都市線)つくし野

品川・鶴見間は東日本旅客鉄道株式会社旅客営業規則第69条第1項第4号に規定される経路特定区間が設定されており、運賃・料金計算は大井町経由東海道本線で行われますが、今回は東海道本線東海道本線(品鶴線)の両方を南武線を介して経由しているため、経路特定区間は適用されないとのことでした。
同じようなケースは同条同項第3号、赤羽(東北本線[埼京線])武蔵浦和(武蔵野線)南浦和(東北本線)大宮や、第5号東京(総武本線)西船橋(京葉線[二俣支線])南船橋(京葉線)蘇我などでも見られます。
東北本線(埼京線)と東北本線は、戸田公園与野本町経由東北本線と川口・浦和経由東北本線武蔵野線を挟んだ両側が規定されており解釈の齟齬は生じませんが、東海道本線(品鶴線)と東海道本線は西大井経由東海道本線大井町経由東海道本線と規定しており、品川(東海道本線)川崎(南武線)武蔵小杉(東海道本線[品鶴線])鶴見という解釈もできてしまいそうです。東海道本線(品鶴線)の武蔵小杉駅が開業した際に南武線を挟んだ東西で駅名を列挙する規定に改めたほうが良かったのかもしれません。
もっと言うと、南武線鶴見線経由も考えられますが、さすがに無理がありすぎます。

JR線61.8km 1050円(現行1080円)、東急線38.7km 360円(現行370円)で合計100.5km 1410円(現行1450円)です。東北新幹線経由であることから大都市近郊区間内相互発着の乗車券でなく、片道100kmを超えているので2日間有効となり途中下車が可能です。

この乗車券は、JR線をマルスシステム上の経路で示すと渋谷(1.山手線)代々木(2.中央東線)新宿(3.山手線2)池袋(4.赤羽線)赤羽(5.東北本線2)田端(6.山手線2)日暮里(7.東北本線)8.上野乗換(9.東北新幹線)10.東京乗換(11.東海道本線)品川(12.東海道本線3)武蔵小杉(13.南武線)川崎(14.東海道本線)横浜と14経路となります。
横浜接続つくし野はマルスシステムに運賃が登録されていませんので金額入力操作が必要になりますが、自・社区間入力操作における経路入力数は8までとなり、9経路以上はマルスシステムでは発券できません。このため出札補充券での発売となりました。
社線内での途中下車も可能でしたが、東急線の駅には途中下車印は無いようで、そのまま下車を認めたり駅名小印で代用したりと扱いは様々でした。

横浜を接続駅とするJR東日本東京急行電鉄の連絡範囲は以下のとおりです。
JR東日本東海道本線、山手線、赤羽線南武線鶴見線武蔵野線横浜線根岸線横須賀線、相模線、伊東線中央本線 東京〜甲府間、青梅線五日市線東北本線 東京〜宇都宮間・尾久・北赤羽〜北与野間、常磐線(日暮里-水戸間)、川越線高崎線両毛線総武本線京葉線外房線内房線成田線
東京急行電鉄東横線目黒線多摩川線、大井町線田園都市線 二子玉川〜つくし野間、池上線

なお2014年4月1日以降、東京急行電鉄ではJR線連絡乗車券において新幹線経由となるものは発売できなくなりました。したがってこの乗車券の逆経路を東京急行電鉄では発売できないことになります。
この乗車券の発売当時(平成25年、2013年)では新幹線経由でも発売可能でした。


この乗車券では、武蔵小杉をJR線と東急線とで2回通過しています。
2回目(東急線)で環状線一周となりそれ以上は片道で発売できないとの解釈もあるようですが、東日本旅客鉄道株式会社 旅客連絡運輸規則第16条第1号に規定される片道乗車券の打ち切り条件は「旅客規則第68条第4項の規定により営業キロ擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する場合」、すなわちJR線で環状線一周や折返しとなる場合に限られます。
この乗車券の場合も、JR線と連絡会社線環状線一周となるケースは打ち切り条件に当たらないとのことでした。

【旅客営業規則】
(旅客運賃・料金計算上の営業キロ等の計算方)
第68条 営業キロ又は擬制キロを使用して旅客運賃を計算する場合は、別に定める場合を除いて、次の各号により営業キロ又は擬制キロを通算して計算する。
(中略)
4 前各項の規定により、旅客運賃・料金を計算する場合で次の各号の1に該当するときは、当該各号に定めるところによって計算する。
(1)計算経路が環状線1周となる場合は、環状線1周となる駅の前後の区間営業キロ擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する。
(2)計算経路の一部若しくは全部が復乗となる場合は、折返しとなる駅の前後の区間営業キロ擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する。
(3)新下関・博多間の新幹線の一部又は全部と同区間山陽本線及び鹿児島本線の一部又は全部とを相互に直接乗り継ぐ場合は、次により計算する。
 ア 山陽本線新下関・門司間及び鹿児島本線中門司・小倉間の一部又は全部(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)と山陽本線(新幹線)中新下関・小倉間(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)とを新下関又は小倉で相互に直接乗り継ぐ場合は、新下関又は小倉で営業キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する。
 イ 鹿児島本線中小倉・博多間の一部又は全部(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)と鹿児島本線(新幹線)中小倉・博多間(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)とを小倉又は博多で相互に直接乗り継ぐ場合、小倉又は博多で営業キロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する。
(注)東海道本線中金山・名古屋間と中央本線中金山・名古屋間とは同一の線路である。

(特定区間における旅客運賃・料金計算の営業キロ又は運賃計算キロ)
第69条 第67条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間の普通旅客運賃・料金は、その旅客運賃・料金計算経路が当該各号末尾のかっこ内の両線路にまたがる場合を除いて、○印の経路の営業キロ(第9号については運賃計算キロ。ただし、岩国・櫛ヶ浜間相互発着の場合にあっては営業キロ)によって計算する。この場合、各号の区間内については、経路の指定を行わない。
(1)〜(2)略
(3)赤羽以遠(尾久、東十条又は十条方面)の各駅と、大宮以遠(土呂、宮原又は日進方面)の各駅との相互間
 戸田公園与野本町経由東北本線
○川口・浦和経由東北本線
(4)品川以遠(田町又は大崎方面)の各駅と、鶴見以遠(新子安又は国道方面)の各駅との相互間
 西大井経由東海道本線
大井町経由東海道本線
(5)東京以遠(有楽町又は神田方面)の各駅と、蘇我以遠(鎌取又は浜野方面)の各駅との相互間
 京葉線
総武本線外房線
(以下略)

【旅客連絡運輸規則】
(普通乗車券の発売)
第16条 旅客が列車等に乗車船する場合は、次の各号に定めるところにより、片道乗車券、往復乗車券又は連続乗車券を発売する。
(1)片道乗車券
普通旅客運賃計算経路の連続した区間を片道1回乗車船(以下「片道乗車」という。)する場合に発売する。ただし、旅客規則第68条第4項の規定により営業キロ擬制
ロ又は運賃計算キロを打ち切って計算する場合は、当該打切りとなる駅までの区間のものに限り発売する。
(以下略)

海田市・広島間の新幹線利用時の分岐駅通過列車特例を適用しない乗車券

端岡から呉ポートピアへの片道乗車券です。
JR四国のPOS端末で発売されました。


経路は端岡(予讃線)宇多津(本四備讃線)茶屋町(宇野線)岡山(山陽新幹線)広島(山陽本線)海田市(呉線)呉ポートピアです。
営業キロ241.4km、運賃は4610円です。
端岡駅はPOS端末設置駅ですがクレジットカード決済も可能ですので、長距離の乗車券でも買いやすくなっています。
POS端末自体にはクレジットカード決済機能はなく、併設されているクレジットカード端末による決済です。

この区間は、一般的には次に示す経路で運賃計算した乗車券が発売されます。

端岡(予讃線)宇多津(本四備讃線)茶屋町(宇野線)岡山(山陽本線)海田市(呉線)呉ポートピア
営業キロ228.6km 運賃4180円


海田市・広島間には四国旅客鉄道株式会社 旅客営業取扱基準規程第151条第1項に規定される分岐駅通過列車の特例があり、同第151条の2において新幹線利用時も特例が適用できる旨が規定されています。
ただし、三原・広島間は四国旅客鉄道株式会社 旅客営業規則(以下、規則)第16条の2第2項第6号の規定により、同区間内(三原・広島を除く)を発着または接続駅とする場合は線路が異なるものとして扱うとも規定されています。

つまり、
(1)広島を経路に含む三原、新幹線、広島、山陽本線海田市呉線経由の乗車経路通りの乗車券
(2)海田市・広島間の折り返し特例により三原、新幹線、海田市呉線経由の折り返し特例適用の乗車券
はどちらも規定上正当な乗車券ということになります。

ただし、マルスシステムは運賃が安くなり得る(2)の特例適用の乗車券の発売にしか対応しておらず、(1)の経路通りの乗車券については出札補充券での発売となります。

一方でPOSシステムは旅客会社ごとに挙動が異なっており、JR東日本マルスシステムと同じく(2)のみ対応で(1)は非対応、JR西日本は(1)も(2)も対応となっています。
JR四国のPOSシステムの挙動は不明でしたが、JR西日本と同じく(1)も(2)も対応となっていることが確認できました。


三原から安芸阿賀への区間変更券です。
新幹線経由で三原から広島への片道乗車券を、新幹線車内で呉線安芸阿賀まで区間変更しました。


原券は片道100km以下であるため、規則第249条第2項第1号ロの(ロ)の規定により、原券運賃と実際の乗車区間の運賃の差額(過剰時は返金なし)で区間変更を行います。
収受・変更区間の経由欄に「三原・新幹線・広島・山陽線海田市呉線」とあり、広島経由の乗車経路通りの区間変更券です。
三原(山陽新幹線)広島、71.4km 1340円と三原(山陽新幹線)広島(山陽本線)海田市(呉線)安芸阿賀、101.9km 1940円の差額の620円が収受額となります。
なお、特例を適用した場合は三原、新幹線、海田市呉線安芸阿賀、89.1kmですので有効当日限り・下車前途無効の乗車券(区間変更券)となります。

JR西日本の車内補充券発行機も広島折返しの特例を適用させない運賃計算に対応していることがわかります。

【旅客営業取扱基準規程】
(分岐駅通過列車に対する区間外乗車の取扱いの特例)
第151条 次に掲げる区間の左方の駅を通過する急行列車へ同駅から分岐する線区から乗り継ぐ(急行列車から普通列車への乗継ぎを含む。)ため、同区間を乗車する旅客(定期乗車券を所持する旅客を除く。)に対しては、当該区間内において途中下車をしない限り、別に旅客運賃を収受しないで、当該区間について乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。
(中略)
 海田市・広島間
(以下略)

(海田市・広島間に係る区間外乗車の取扱いの特例)
第151条の2 矢野以遠(坂方面)の各駅と三原以遠(糸崎方面)の各駅相互間を乗車する旅客が、新幹線に乗車(広島・東広島間を除く。)する場合は、規則第16条の2第2項の規定にかかわらず、三原・広島間を同一の線路とみなして、広島・海田市間において、途中下車をしない限り、別に旅客運賃を収受しないで当該区間について乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。

【旅客営業規則】
(東海道本線(新幹線)、山陽本線(新幹線)、東北本線(新幹線)、高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)、信越本線(新幹線)及び鹿児島本線(新幹線)に対する取扱い)
第16条の2 次の各号の左欄に掲げる線区と当該右欄に掲げる線区とは、同一の線路としての取扱いをする。
(略)
2 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる区間内の駅(品川、小田原、三島、静岡、名古屋、米原、新大阪、西明石、福山、三原、広島、徳山、福島、仙台、一ノ関、北上、盛岡、熊谷、高崎、越後湯沢、長岡、新潟、博多、久留米、筑後船小屋及び熊本の各駅を除く。)を発駅若しくは着駅又は接続駅とする場合は、線路が異なるものとして旅客の取扱いをする。
(1)〜(5)略
(6)三原・広島間
(以下略)


(区間変更)
第249条 普通乗車券、自由席特急券、特定特急券普通急行券又は自由席特別車両券を所持する旅客は、旅行開始後又は使用開始後に、あらかじめ係員に申し出て、その承諾を受け、当該乗車券類に表示された着駅、営業キロ又は経路について、次の各号に定める変更(この変更を「区間変更」という。)をすることができる。
 (1)着駅又は営業キロを、当該着駅を超えた駅又は当該営業キロを超えた営業キロへの変更
 (2)着駅を、当該着駅と異なる方向の駅への変更
 (3)経路を、当該経路と異なる経路への変更
2 区間変更の取扱いをする場合は、次の各号に定めるところにより取り扱う。
 (1)普通乗車券
 イ 次により取り扱う。この場合、原乗車券が割引普通乗車券(学生割引普通乗車券を除く。)であって、その割引が実際に乗車する区間に対しても適用のあるものであるときは、変更区間及び不乗区間に対する旅客運賃を原乗車券に適用した割引率による割引の普通旅客運賃によって計算する。
  (イ)前項第1号に規定する場合は、変更区間に対する普通旅客運賃を収受する。
  (ロ)前項第2号及び第3号に規定する場合は、変更区間(変更区間が2区間以上ある場合で、その変更区間の間に原乗車券の区間があるときは、これを変更区間とみなす。以下同じ。)に対する普通旅客運賃と、原乗車券の不乗区間に対する普通旅客運賃とを比較し、不足額は収受し、過剰額は払いもどしをしない。
 ロ イの場合において、原乗車券(学生割引普通乗車券を除く。)が次のいずれかに該当するときは、原乗車券の区間に対するすでに収受した旅客運賃と、実際の乗車区間に対する普通旅客運賃とを比較し、不足額は収受し、過剰額は払いもどしをしない。この場合、原乗車券が割引普通乗車券であって、その割引が実際に乗車する区間に対しても適用のあるものであるときは、実際の乗車区間に対する普通旅客運賃を原乗車券に適用した割引率による割引の普通旅客運賃によって計算する。
  (イ)大都市近郊区間内にある駅相互発着の乗車券で、同区間内の駅に区間変更の取扱いをするとき。
  (ロ)片道の乗車区間営業キロが100キロメートル以内の普通乗車券で区間変更の取扱いをするとき。